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10年ほど前の記事ですが、言語学的に明らかな誤謬があったので指摘します。
元記事→http://asyura.com/sora/bd9/msg/101.html
> さらに異様なことには、あれだけの情報処理能力をもっていたヒッタイト人なのに、彼ら自身の言語をもっていなかった。少なくとも“ヒッタイト語”と呼ばれる言語の存在は、いまだに知られていないのである。
ヒッタイト語と呼ばれる言語はちゃんとあります。今呼ばれているものがそれです。
> では、ハットゥシャシュから発掘された粘土版文書は、何語で書かれていたのだろうか。スイスの言語学者エミール・フォラーは次のように書いている。
> 「ハットゥシャシュのすべての破片を検査した結果、それには少なくとも8つの異なった言語があることが明らかになった。それはシュメール語、アッカド語、それから正しくはカネシュ語と呼ばれるべきこれまで〈ヒッタイトのもの〉とみなされてきた言語、そして原インド語、フルリ語、原ハッティ語、ルヴィア語、パラー語である」
その「カネシュ語と呼ばれるべき言語」がヒッタイト語です。これは言語学者達が「聖書のヘテ人の言語だ!」と勘違いしてヒッタイト語と名付けてしまった後、「実は聖書のヘテ人とは別」ということに気付いたものの、名称の変更による混乱を避けるためにそのままにしているという事情によります。ついでに、原インド語などという言語はボアズキョイ文書には存在しません。全部で7言語です。
> いずれも古代オリエントで使用されていた、いろいろな民族の言語である。が、ではなぜ、当時、一大帝国を築いたヒッタイト人は自らの言語をもたなかったのか。ヒッタイト語というものが存在しないのか。
なので、ヒッタイト人が話していたのは「カネシュ語と呼ばれるべき言語」=ヒッタイト語です。これは歴とした彼らの言語です。
> それは彼らはまれにみる語学的天才だったが(8か国語を駆使したのだ!)、民族としては未開で自らの文字をもつに至っていなかったからだ−−といえば、うまく解釈がつくように思える。が、この理屈は全く成り立たない。
ヒッタイト人は8カ国語を駆使なんてしていません。ヒッタイト帝国では現在のアメリカのように多民族国家で、そのため現在のインドのように他言語国家だっただけです。