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ブッダの弟子さんの投稿にもありましたが、重要な内容だと思いましたので本文を転載します。
同日付全国紙の論調にはなかった「外資による略奪」についてもハッキリと言及しています。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2009102102000075.html
(ここから)
「郵政民営化見直し 識者の提言 外資から国民資産を守れ 経営透明化徹底を」
日本郵政本丸の“無血開城”とでも言うのだろうか。鳩山政権が発足してから一カ月余。郵政民営化見直しの基本方針を閣議決定した二十日、西川善文社長がついに辞意を表明した。今後、経営陣を一新し、株式売却の凍結や全国一律のサービス提供などに取り組むが、課題も多い。郵政ウオッチャーはどう見ているのか。
(篠ケ瀬祐司、岩岡千景)
「郵政民営化で法人税などの税収増以外は国民に利益はなかった」。独協大学の森永卓郎教授は鳩山政権の方針に理解を示して、こう話す。
郵政民営化を推し進めた小泉政権は、そのメリットを、
(1)競争原理導入と経営自由化で、事業効率やサービス内容が向上する
(2)民営会社からの法人税で税収が増える
(3)郵貯や簡保の「国民の資産」が財政投融資として非効率な特殊法人などに流れる仕組みが変わる
−などと説明してきた。
ところが郵便、貯金、簡保の三事業分割で「事業全体は非効率化した」と言う。「民営化前まで集配郵便局すべてに設置されていた時間外窓口が民営化後は統括センターの郵便局だけに限られた。東京と沖縄間のゆうパック料金や定額小為替の手数料も引き上げられた」などとサービス低下を問題視する。
二〇〇九年三月期決算で、日本郵政グループの純利益は四千二百億円。メガバンクが軒並み赤字の中で立派な数字に見えるが、森永氏は「ゆうちょ銀行やかんぽ生命保険がメガバンクと同じようなリスクの高い資産運用をしていたら、同じ目に遭っていたはずだ」と、民営化による効果とは関係がないとみる。
そのゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式は、早ければ一〇年度から上場、一七年度に完全売却される計画だったが、鳩山政権は二十六日からの臨時国会で株式売却の凍結法案を提出する方針だ。
森永氏はこれを歓迎する。
その理由とは−。
外資ファンドがゆうちょ銀行やかんぽ生命の株を買って株主提案権を持てば、現在の日本国債よりも、利回りも格付けも高い米国債での運用を求めてくる。要求をのんだ後にドルと米国債のダブル暴落がくれば、合わせて約三百兆円の国民資産に、取り返しがつかない損失が生まれる恐れがあるからだという。
「そもそも事業分割は米国側が不採算の郵便事業を嫌い、郵貯と簡保だけを欲しがっていたからではないか」と考える森永氏。鳩山政権に対し、真相を明らかにするために、日本郵政の経営陣を一新した後、グループの社員から事情聴取を始めることを求める。
一方、凍結法案について「将来的には上場は譲れない。一般株主の目にさらされることで経営の透明性が確保される」と語るのは、小泉首相の諮問機関「郵政三事業の在り方について考える懇談会」メンバーだった松原聡東洋大学教授だ。
基本方針では過疎地や山間部でも郵貯や簡保を利用できるよう義務づけるが、それには銀行法や保険業法に代わる新たな法律が必要となる。
松原氏は「ゆうちょとかんぽが政府系金融機関として、郵政グループにつなぎとめられ、約三百兆円の資産が民間に回らずに『官』の手元に残ることになる」と指摘。その資金を市場に流して経済を活性化させるには、「民間銀行を目指すべきだ」と主張する。
基本方針は、全国あまねく郵便局で三事業のサービスの利用を可能にすることを目指し、今後の「郵政改革基本法」に盛り込まれる予定だ。
経済ジャーナリストの町田徹氏は「過疎地では金融サービスはなくしてもいいという態勢から、維持する方向への大きな転換」と歓迎。ただ「最大の問題は財政的に担保し方針を実現できるか。税金を投入しては話にならない」とくぎを刺す。
町田氏は「財政基盤の確立が必要」として、固定電話で行われているようなユニバーサルサービス基金の充実などを提言する。これは採算性の低い地域で生じる赤字を他の同種事業者が拠出した資金で賄う仕組み。
「信書便事業に参入している宅配便事業者から資金を徴収するなどし、収益を上げて本質的な体力を付けなくては。西川体制下で、財政基盤は強化されなかった。それが脆弱(ぜいじゃく)なまま株式を売却しては体質改善もできず、凍結もその間の措置としては妥当」と語る。
フリージャーナリストの横田一氏も「もうかるところを切り売りし、赤字部門は捨てようという、小泉・竹中路線の狙いが透けて見えた」とした上で、過疎化・高齢化が進むなかで、郵便局が「地域のライフライン」になっていると指摘。
「三事業一体の方が地域住民にとっては使い勝手がいい。今後は地域の独居老人に声をかける『ひまわりサービス』を厚生労働省の委託事業にして、郵便局員がさらに地域の社会保障を担う方法も考えていいのではないか」と提案する。
先の松原氏も郵便事業の全国一律サービスが立ちゆかなくなる心配には理解を示して、課題として「郵便事業はOB活用などでコストを下げ、ゆうちょ銀行は小口の銀行としての特長を生かしながら全国一律サービスを維持する努力を続けるべきだ」と付け加えた。
さらに基本方針では、情報開示と説明責任の徹底も義務づけている。
町田氏は「日本郵政はゆうちょ銀行のクレジット提携事業者に、西川氏の出身母体の三井住友グループを選んだ。日通と宅配便事業を提携するために、自前の営業網を縮小した。これまで数々の不透明な提携をし、それによって経営にダメージも与えた」と、郵政改革の下で行われた不透明な経営ぶりに言及する。
「かんぽの宿や、メルパルクなど資産売却の出来レース疑惑も枚挙にいとまがないが、一つも解明されていない。新しい経営陣は徹底して追及し解明する必要がある」
ジャーナリストの佐々木実氏も「民営化には数々の疑問が指摘され、点検するには株式売却を凍結して民営化を一度、止めるということだろう」と話し、こう続ける。
「民営化は国民の資産の流れを左右する話。西川氏らはその方向性や実現のプロセスを描いていただろうが、正直に話さず、国民とのズレを生んでいた印象がある。何を目指すのか。ゼロから議論して論点を整理し、やり直す必要がある」
「郵政民営化連絡協議会」の民間委員を務めた吉野直行慶応大教授は、郵便局のネットワーク維持・活用や、三事業の連携強化での経営の効率化を評価しつつも、こう締めくくった。「民営化から国が関与する方針に転換することで、郵便もゆうちょ、かんぽも工夫をやめてしまわないか。最後は国が面倒を見てくれると思えば、第二のJALになりかねない」
<デスクメモ> 西川氏は無念だったろう。数々の修羅場を乗り越えてきた名バンカーも政権交代には逆らえなかった。要職からの引き際は難しいがそれだけ巨大組織を率いる自負や責任感も人一倍あったはず。だがまだ大きな仕事は残っている。四年の奮闘ぶりと政治とのあつれきをさらけ出して後世に残してほしい。
(呂)
(ここまで)