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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2009121202000071.html
スズキ・VW 提携が開く中・印市場
2009年12月12日
スズキが独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)と資本・業務提携した。背景には、中国、インドで互いに持つ販売力がある。次世代自動車の開発でも協力し、エコカー市場での覇権を目指す。
スズキはVWとの包括的な提携を発表した五日前、米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)との提携解消を発表したばかり。一企業の経営判断ではあるが、それは自動車市場の主役が米国から中国、インドなどの新興国に移っている現実を映している。
スズキは、一九八一年にGMと資本・業務提携をし、小型車の開発、生産、販売で協力してきた。GMは一時、スズキ株の20%を保有していたが、GMの経営悪化により、昨年十一月に資本関係を解消。今月四日には、両社が合弁で設立したカナダの自動車生産会社の株式をスズキが手放すことを公表した。
GMに代わるパートナーとしてVWが登場したのは、世界の自動車市場の盛衰を象徴する出来事だ。スズキ、VW提携の動きは半年ほど前から独メディアが伝えており、唐突な話ではないが、形としてGMからVWへと一週間もたたないうちにパートナーが代わったのは劇的でもある。
スズキはインドで約50%の市場占有率(シェア)を誇る。一方のVWは、米国を抜いて自動車販売台数が世界一になることが確実な中国に八〇年代半ばに進出し、同国市場で販売台数首位の座にある。中印で両社が持つブランド力、販売網を相互活用する効果は大きく、この点だけでも双方にメリットがある。
提携のもう一つの狙いは、次世代自動車開発での協力だ。スズキは、ハイブリッド車や電気自動車などの開発で後れを取っている。しかし、もともと技術志向が強いメーカーであり、VWとの共同開発がうまくいけば、エコカー市場での劣勢を一気に挽回(ばんかい)できる可能性もある。
スズキ、VWを合わせた世界販売台数は今年一〜九月で六百四十九万台で、首位のトヨタ自動車の五百六十四万台を軽く超える。ここに提携効果が加われば、新興国市場で伸び悩んでいるトヨタにとっても脅威となる。
軽自動車に強いスズキと、中・小型車が得意なVWは補完関係にある。国境を超えた企業提携には常に困難もつきまとうが、この二社の連合が世界の自動車業界の活性化にもつながってほしい。
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