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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2009112202000075.html
週のはじめに考える 『見える』ということ
2009年11月22日
施策を決める過程がみんなに見えてこその民主社会。内政も外交もそうでしょう。ただし大切なのは見せた後。政府の足元がふらついては茶番です。
参院自民党の幹事長、谷川秀善氏。大阪府の副知事から参院選に出て当選三回(大阪選挙区)。歯に衣(きぬ)着せぬ、なかなかの太っ腹政治家のようです。先日、こんな発言をしました。関西弁で。
「こら、おもろいわな。国民から見て新鮮で、ヒットしとる。なんで自民党(政権)のときに、ああいうことをせなんだか」
予算編成へ向けて鳩山内閣の行政刷新会議が展開する「事業仕分け」の感想です。
自民もうらやむヒット作
政権交代を果たした民主党が、納税者の視点で予算の無駄を排除するために、と手掛けました。
要・不要を精査する作業といっても、対象は国の膨大な事業のうちの一握りなので、パフォーマンスの観も否めないのですが、これが一般の好評を得たのです。
府省庁の事業担当者と査定側の財務省主計官、仕分け人の国会議員、民間有識者らの応酬。そこにふだん見えにくい“密室”世界の一端を垣間見るからでしょう。
例えば、こんな事業にも国民の税が使われているんだとか、そこにも天下り官僚が公益法人でかかわっていること、事業の重複する縦割り行政の実態があらわです。
生活関連の大事な事業までも「不要」に仕分けてしまっては本末転倒ですけれど、長期政権下でたまった澱(おり)を一掃する新手の策が目を引きます。
野党となった自民の谷垣禎一総裁も、作業の荒っぽさを指摘しつつ「荒っぽくやらないと処理できないかもしれない。わが党は長く政権をやってきたのでいろいろなしがらみを背負って、切りたいと思っても切れなかったのも事実」と率直に語っていました。
関心を刺激した以上は…
そんな言葉を聞きますと期待がどんどん膨らみます。
社会の隅々まで網を巡らす官、官と持ちつ持たれつの族議員、業界団体が税に群がる構図−。それが、断片情報やうわさでなく、くっきりした像を結んで、鳩山政権がなすべきことを指し示しているのではありませんか。
枝葉の部分はそこそこでいい。幹や根っこに巣くう悪性腫瘍(しゅよう)をこそ削り取るべきでしょう。政権は覚悟を固めて予算づくりに当たらなければなりません。
独立行政法人や公益法人の潤沢な基金、特別会計に埋もれるお金…。一部を暴くだけでは、不合理を見てしまった国民を納得させることはできないのです。
各省予算を査定する財務官僚の天下り先にだって大なたで切り込むよう、強く注文しておきます。
新政権でそこそこ見えてきたものは、まだあります。
内閣官房報償費(機密費)。九月と十月の二カ月で計一億二千万円を国庫から引き出していることが明らかになっています。報道されてしぶしぶ認めました。
民主が野党だったときに、使途を明確にせよ、と自民党政府に迫った巨額のそれです。当時さんざん国民の関心を刺激しておきながら、いざ政権を取れば、見つかるまでダンマリ。使途については依然、口にチャックです。
年間十数億円が計上されているそうです。これこそ事業仕分けの対象ではありませんか。
米軍普天間飛行場移設問題。鳩山由紀夫首相、外務・防衛両大臣の揺れというか、発言のぶれというか、足並みの乱れが批判されています。
おかげで多くの国民は、とても難しい問題なんだろうなと、あらためて沖縄に関心を向けました。そして「最後は私が決める」という首相の口元を注視しています。
密集市街地のど真ん中で周囲を圧する軍施設。政権奪取の衆院選で「国外、県外への移設」を唱えて県民に期待を持たせておいて、結局は県内に、というなら、政権の命取りにもなりましょう。
言っていることとやることが違うとみんなが気付いています。わずか二日の審議で法案採決に走った国会運営も、そう。
やってきたことと言うことが違う自民党に「暴挙だ」と責める資格があるのか甚だ疑問ではありますが、ごく近い将来、強行に次ぐ強行の「問答無用」路線を突き進むことのないよう、小沢一郎氏ら党執行部に自制を求めます。
透明化のリスクも自覚を
隠されていたものがみんなの目に見えることは歓迎です。見せる側、見られる側は、伴うリスクを覚悟しなければなりません。
首相は所信表明で「戦後行政の大掃除」を掲げました。陰りがちな支持率をその約束が支えています。国民にも「トラストミー(私を信じて)」と言う以上、足元の偽装献金問題の掃除も、ぜひ。
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