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【コラム】テレビが没落し、ウェブが「第一のメディア」になる…池田信夫/経済学者
1 : ◆PENGUINqqM @お元気で!φ ★:2009/10/09(金) 06:56:05 ID:???0
■テレビ局の「報道番組強化」の実態は…
先月、総務省のまとめた放送局の収支状況によれば、地上波テレビ・ラジオ計195社の最終損益が
大幅に減少し、初めて地上波局全体として赤字に転落した。この最大の原因は昨年からの急速な景気
の落ち込みだが、これがV字型に回復すると見る向きは少ない。むしろ企業はこれをきっかけに、
高コストのテレビ広告を見直し、インターネットにシフトする動きが出ている。
今年はインターネット広告費が新聞を抜いてテレビに次ぐと予想されているが、テレビ広告費の
シェアは約28%と、まだインターネット(約10%)の2.8倍ある(電通調べ)。しかし前者が前年比4%
下がったのに対して、後者は年率2%ずつ増えているので、遅くとも10年以内に両者が逆転するだろう。
つまり遠からず、インターネットは広告の売り上げベースでも最大のメディアになるのだ。
こうした動きは世界的に見られる。イギリスでは、昨年テレビ広告費がインターネットに抜かれた
(IAB調べ)。アメリカでは、テレビ広告費のシェアが約30%と微減なのに対して、インターネット
広告費はここ3年で倍増して19%になった(ニールセンなど調べ)。日本のテレビが相対的に強いのは、
ケーブルテレビや通信衛星などの多メディア化を妨害し、地上波局の独占を守ってきたためだが、
欧米諸国で20年ぐらい前から起こっていたテレビの没落がようやく始まったのだ。
これにともなって、番組の内容にも欧米と似た現象が起こっている。「情報番組の拡大」である。
番組単価で見ると、もっとも高価なのはドラマで、安いのはスタジオ収録のバラエティ番組だが、
スタジオでお笑い芸人が騒ぐだけだと飽きられてしまうので、クイズを入れたり芸能情報を入れたり
して、「情報番組」に仕立てる。この秋の新編成で民放各局が「報道の強化」をうたっているのも、
実はこういうコストダウンが狙いだ。
(>>2以降に続く)
▽総務省のデータより、地上波局の収支状況
http://ascii.jp/elem/000/000/465/465760/ikeda_o_.jpg
▽ASCII.jp
http://ascii.jp/elem/000/000/465/465739/
2 : ◆PENGUINqqM @お元気で!φ ★:2009/10/09(金) 06:56:48 ID:???0
(>>1の続き)
しかし本来の意味でのニュースというのは限られているので、TBSのように夕方に3時間もニュース番組
を組むと、ネタが足りなくなってしまう。その結果、酒井法子事件のような「ニュース的な芸能ネタ」
に取材が殺到する。
またニュース素材だけでは時間が保たないので、コメンテーターと称する人々が「犯人を早く捕まえて
ほしいですね」といった無意味なコメントを延々と述べる。その結果、まともな知性のある視聴者は見なく
なる……という悪循環に入る。今年のアメリカのネットワーク局(主要4局の合計)における平均視聴率は
約9%と、史上最低を記録した。日本もこの後を追うだろう。
■ウェブの質を高めるイノベーションが必要だ
テレビというのは、非常に特殊なメディアである。活字の世界では本が100万部売れたら驚異の
ベストセラーだし、新聞が(公称)1000万部も売れるのは日本だけだ。ところがテレビの世界では1%が
100万人で、ゴールデンアワーで10%(1000万人)取れなかったら、民放では打ち切りだ。他のメディア
とは桁違いに多い客を相手にするビジネスなのだ。しかも番組がどう評価されたかは、視聴率という数値
でしかわからない。それが視聴者に高く評価されたかどうかという質を量る指標がほとんど無いからだ。
これは番組を作る側にとっても厄介だ。民放は商業ベースだから割り切って、なるべく低コストで「数字」
のとれるワイドショーやクイズ番組ばかりやっているが、NHKの場合は局内のコンセンサスが基準になる。
プロデューサーやニュース編集長(50代)を「平均的な視聴者」と考えて、彼の好みで内容を決めるしか
ないので、最先端の情報や理論的な説明は「わからん」といって切り捨てられる。「NHKスペシャル」の
ような大番組になると、仕事の半分は局内の根回しだ。
(>>3以降に続く)
3 : ◆PENGUINqqM @お元気で!φ ★:2009/10/09(金) 06:57:11 ID:???0
(>>2の続き)
要するに1000万人の人々の「平均的な好み」なんて誰にもわかりっこないので、それを想像して番組を
作ると、NHKは当たりさわりのない話ばかりになってしまうし、民放は低俗番組ばかりになってしまう。
人々の好みは多様だから、みんなを満足させようとすると、誰も満足できないのだ。だから若者がテレビを
見なくなり、PCや携帯のようなパーソナルなメディアに移るのは当たり前だ。今テレビを見ているのは、
インターネットの使い方を知らない老人ばかりで、視聴者の平均年齢は50歳を超える。
他方ウェブは極端にマイナーで、誹謗中傷や有害情報が山のように出てくる。これをネット規制みたいな
もので取り締まるのはナンセンスで、むしろ膨大なノイズの中から必要な情報だけをいかに選ぶかが今後の
ウェブの最大のイノベーションだろう。その試みの一つとして、私が編集長になってBLOGOSというブログの
ネットワークを今月から始めた。まだささやかな試みだが、没落するマスコミに代わってウェブが第一の
メディアになる日は遠くない。その質も、マスコミに負けないものにする仕組みが必要だ。
−おわり−
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