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http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090909ddm003010059000c.html
日本が変わる:3次官OB「駆け込み」受け、民主が天下り廃止照準(その2止)
<世の中ナビ NEWS NAVIGATOR>
<1面からつづく>
◇民主、天下り法人改革 中央職業能力開発協会、やり玉に
◇「丸投げ、二重ピンハネ」
天下り法人改革の第一歩として民主党が目をつけているのは、厚生労働省所管の特別民間法人「中央職業能力開発協会」(東京都文京区)だ。麻生内閣が09年度補正予算に盛り込んだ46基金事業の一つ、「緊急人材育成・就職支援事業」の3年分の事業費7000億円が同協会に基金として積まれた。
この事業は、雇用保険を受給できない失業者に対し、職業訓練期間中の生活費を月10万〜12万円支給するもの。7月中旬にスタートし、3年間で30万人の支給を見込む。しかし、8月末現在で受給が決まったのは約980人。このペースだと3年間の受給者数は3万人程度にとどまる。同協会幹部も「30万人はとてつもない数字」と目標の達成が困難なことを認めている。
職員130人を抱える協会の年間予算は40億円程度。役員には厚労省などのOB12人が名を連ねている。ただ、協会自体に職業訓練のノウハウはなく、コースの設定や受け入れ先の開拓などの具体的な業務は、やはり厚労省のOBの天下り先である独立行政法人「雇用・能力開発機構」が孫請けする見通しだ。
同機構は巨額の赤字で廃止が決まった職業体験施設「私のしごと館」(京都府)の運営主体。11年度までに「高齢・障害者雇用支援機構」に統合されることが決まっている。7000億円のうち、協会が受け取る3年間の事務費(人件費と業務運営費)は49億円、雇用・能力開発機構への3年間の業務委託費は289億円と見積もられている。
民主党は6月2日、「『亡国の予算』を検証する勉強会」を開き、開発協会の常務理事(当時)に事情を聴いた。常務理事も「7000億円という数字に我々も驚きました」と率直に語った。勉強会の呼びかけ人である逢坂誠二衆院議員は「初めに7000億円ありきで、麻生政権が天下り法人に能力を超えた仕事を丸投げした。その仕事をさらに廃止される天下り法人に丸投げするという二重ピンハネだ」と批判する。
これに対し、開発協会は「事業設計をしたのは厚労省であり、コメントする立場にない」。厚労省能力開発課は「これだけの大きな事業は、国が直接手がけようが、委託しようが、ある程度の人件費や業務費はかかる」と弁解する。
民主党は事業の必要性は認めており、予算組み替え後は単年度ごとに事業費を計上する方針だ。厚労省幹部は「基金を積むことが批判されるのは理解できる。新大臣の指示があれば廃止も辞さない」と話している。
◇官僚の抵抗、巧妙に
国土交通省所管の「財団法人道路保全技術センター」も、民主党が実施した「事業仕分け」で「ずさんな空洞調査により財団自身に事業実施する能力がないのは明白」と指摘された団体だ。
道路の地下部分の空洞調査や道路情報の提供などが主な業務。理事長や常勤・非常勤役員に4人、職員168人のうち47人を同省OBが占める。08年にマッサージチェア購入などの無駄遣いが発覚した同省の「道路特定財源」から、07年度に約80億円、08年度は約41億円の事業を受注した。
しかし、調査で空洞の見落としがあったと指摘され、技術力を疑問視されている。
センターを追及してきた自民党の河野太郎衆院議員は「OBを食わせるための天下り団体だ。国から受注した仕事は丸投げしており、資金の流れも不透明だ」と憤慨する。
官僚の天下りはなぜ、なくならないのか。
入省同期のうち事務次官に上りつめるのは1人。課長、審議官、局長と昇進するにつれてポストは減り、レースに敗れた者は「早期退職勧奨」という肩たたきで、定年前に役所を去るのが霞が関のおきてだ。この人事ピラミッドを維持するため、各省庁は公益法人や企業を「第二の就職先」として紹介する必要があった。
90年代には省庁と天下り先の癒着が相次いで表面化した。このため、過去の自民党内閣も天下り問題の是正=公益法人改革を、政治課題として取り上げざるを得なかった。
小渕内閣では天下り全廃に向けた「人材バンク」の創設が決まった。小泉内閣では「公務員制度改革」として天下り規制の協議が始まった。福田内閣では道路特定財源の一般財源化に伴って関連の公益法人が減らされた。麻生内閣に代わった08年末には、各省庁がそれぞれ続けてきた天下りあっせんを一元的に行う「官民人材交流センター」が発足し、7月末までの再就職先の紹介は199件に上る。
それでも天下り法人はなくなっていない。官僚側の抵抗は組織的で巧妙だった。
内閣官房関係者は「センターには各省からの出向者がいて、実質的に各省の下請け機関になっている。出身省庁の案件はやらない内部規則はあるが、骨抜きだ」と明かす。民主党はセンターを通じたあっせんについて「天下りを制度化することになる」と批判し、センターを廃止する方針だ。【立山清也、福永方人、大場伸也】
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毎日新聞 2009年9月9日 東京朝刊