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http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090908ddm002010045000c.html
ドキュメント・政権交代:混迷・波紋・落日
<世の中ナビ NEWS NAVIGATOR>
◆混迷
◇「閣僚委員会」資料提示なし 社民「連立、本気か」
衆院で巨大政党となった民主党。だが、参院では社民党、国民新党の協力を得て過半数に達する。両党との連立を急ぐ根本的な理由はここにあるが、大詰めを迎えた連立協議が7日、混迷した。
「民主党から資料、来ましたか」「来てないよ」。7日午後、社民党の重野安正幹事長と国民新党の亀井静香代表が電話でこんなやりとりをした。
「資料」とは、与党の政策協議機関のあり方などについて民主党の考え方をまとめたもの。岡田克也幹事長が重野氏らに送る約束をし、社民党は資料提示を受けて、同日夕の幹部会で対応を協議する予定だった。
しかし、資料の提示は結局なかった。約2時間にわたる幹部会では、社民党の外交・安全保障政策に関する提案を取り込む姿勢を民主党が示さないことに批判が噴出。重野氏は終了後、記者団に「我々は誠実に議論しているのに、『主人』は全部拒否。本気で連立政権を構成しようとしているのか」と民主党への不快感をあらわにした。
民主党に腹案はある。党首クラスから成る「閣僚委員会」がそれだ。だが、鳩山由紀夫代表が記者団に「党としてそういう提案をすると思う」と表明したにもかかわらず、この日の提示は見送った。幹部は「党首級に加え関係閣僚や国家戦略局担当相が入る。必ずしも各党の代表だけではない」と指摘しており、社民党などの望む形にならないとの懸念が残るためとみられる。
混乱は民主党人事にも波及した。
鳩山氏「福島(瑞穂・社民党党首)さんから電話がきました」
小沢一郎代表代行「おれのところにもきた」
7日夕、民主党本部での幹部会。連立協議のもたつきへの社民党のいらだちが話題に上った。幹部会では主要閣僚人事を内定、公表する予定だった。しかし、鳩山氏は終了後、記者団に「小沢幹事長」の承認だけを発表し、閣僚人事は先送りした。「まだ連立の協議が調ってないじゃないかという話もありましたから」
一方、小沢氏は7日、来年夏の参院選に向けて始動した。東京・神田駿河台の総評会館で開かれた連合の地方連合会代表者会議。小沢代表代行はこうあいさつした。「参院はまだ過半数ではありません。来年の参院選はこれまた何としても勝利しなければいけない。ぜひともお力添えを」
小沢氏をよく知る自民党参院幹部は7日こう警戒感を示した。「ここぞとばかりに引き締めにかかるだろうから相当厳しい」
◆波紋
◇強大な権力、戦略局 財務省「下請けか」
「鳩山政権」が新設する国家戦略局の担当相に菅直人・民主党代表代行が内定した。政権運営の基本方針を担い、新内閣をコントロールする中枢機能だ。7日、強大な権力機関の出現に「霞が関」に波紋が広がった。
「今までの官僚制に対する批判もあってこういう選挙結果になった。初心にかえって国民目線でやっていかなければいけない」
環境省の小林光事務次官は7日の記者会見で、菅氏が首相官邸の中枢に座ることに対し、「謙虚」な態度を強調してみせた。菅氏は「官僚政治」打破の急先鋒(せんぽう)。短気な性格とも言われ、「イラ菅」の呼び名もある。政治家操縦にたけるとされる官僚といえども、手ごわい相手になるのは間違いない。
守勢に回るのは、予算編成と税制改正を握り、「官庁の中の官庁」と言われるほど絶大な権限を持ち続けた財務省だ。主要閣僚人事が続々と内定する中、テレビでは財務相内定がなかなか報道されず、同省幹部は「うちは主要ではないのか」とつぶやいた。
財務相は旧蔵相時代から大物政治家が就任することが多いが、鳩山政権では、予算編成の基本方針は菅氏が率いる国家戦略局に移る。別の幹部は「菅さんは副総理も兼ねるので財務相は格下。財務省は要というより下請け部隊になるのでは」と嘆いた。
強大な権限を持つとされる国家戦略局だけに、他省庁からも不安の声が上がる。経済産業省幹部は「どんな組織になるのか見えない」と具体像を探りあぐね、国土交通省幹部は「省庁は政策は考えなくていいということなのか」と漏らした。
◆落日
◇津島派、額賀氏に再建託す
「党再生」を議論する両院議員総会前日の7日。自民党では、かつて小沢氏や鳩山氏が所属し、「数の力」で政界を牛耳った田中派、竹下派の流れをくむ津島派の領袖が「代替わり」した。引退した津島雄二会長を引き継ぐのは額賀福志郎元財務相(65)。当選9回のベテランで「派閥のプリンス」と呼ばれてきたが、衆院選では茨城2区で民主党新人に敗れ、比例代表で復活当選した。
だが、落日ぶりは見る影もない。衆院は45人から13人に激減、第4派閥に落ち込んだ。派内では石破茂農相が総裁選の有力候補に挙がり、自らの「出番」があるかは微妙だ。
衆参合計で第1派閥の座を守った町村派(計49人)。麻生太郎首相批判を繰り返して執行部と対立した中川秀直元幹事長の呼び掛けで、東京・衆院赤坂宿舎に武部勤元幹事長、塩崎恭久元官房長官らが集まった。
しかし、中川氏は森喜朗元首相に「比例代表復活組は出馬すべきではない」と該当者の自身も総裁選に出馬しない考えを伝えていた。出席者も総裁選立候補に必要な推薦人20人に満たない約15人。終了後、田村耕太郎参院議員は「まとまりそうもない」と漏らした。
山本一太参院議員ら中堅・若手約30人も夜、衆院赤坂宿舎で総裁選への対応を協議したが、独自候補絞り込みには至らなかった。
無力感は地方にも広がる。すでに18道府県連で会長が辞任を決めた。額賀氏のおひざ元・茨城に22年間君臨、麻生首相に近い山口武平氏は7日、「私は辞めるからあとはよろしく頼むということだ」と淡々と語った。
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毎日新聞 2009年9月8日 東京朝刊