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http://mainichi.jp/select/seiji/09shuinsen/news/20090814ddm041010070000c.html
官僚たちの憂うつ:09衆院選前夜/上 民主の追及、矢面に
「政治主導」を掲げる民主党政権が現実味を帯び、戦後日本の統治システムを支えてきた官僚たちが、じっと身構えている。命運を左右する衆院選の公示は18日。決戦前夜の東京・霞が関の表情を取材した。
◇「サンドバッグになるのか」
◇無年金調査「甘い」 「西松事件」意趣返しは…
「めちゃくちゃですね。我々が求めたのは、無年金者全体の調査なんだけど」
東京・永田町の衆院議員会館。7月7日、空調の利きの悪い会議室で開かれた民主党年金部会は、受給資格を満たしているのに年金を受け取っていない人がどのぐらいいるのかが議題になった。
抽出調査の結果を基に「資格があることを知らない無年金者は推計3万人」と答弁した社会保険庁に対し、「次の内閣」年金担当相の長妻昭衆院議員が、サンプルの取り方が恣意(しい)的で故意に数字を小さくしているとかみついた。
「いや、先生の要請の趣旨から外れた調査ではありません」。石井博史・社保庁運営部長が反論すると、山井和則衆院議員が「実際は最大90万人になるはず」と指摘。「重大な事実を報告書に書いてないじゃないか」と畳み掛けた。蒸し暑い部屋の空気が凍り付いた。
非公開が原則の自民党政調の各会合と違い、民主党の部会は公開が原則だ。年金をはじめ政府・与党の失政追及の場として、民主党は部会を重視してきた。矢面に立つのは官僚たちだ。
厚生労働省の医系技官は厚労部会に呼ばれるたび「またサンドバッグになるのか」と気が重くなったという。特に薬害肝炎問題の追及がヤマ場を迎えていた07年11月の部会は忘れられない。民主党は厚労省が418人分の感染報告を放置していた問題を取り上げ、居並んだテレビカメラの前で、技官や担当課長に「公務員をやめろ」「役立たず」と責めた。技官は「官僚いじめだと感じた」と憤る。
だが、こうした反発とは裏腹に、民主党が追及を強めるほど、党に寄せられる激励の電話やメールは増えた。長妻氏は「政官は対立するものではない。政治家が手綱を取って乗りこなす」と話す。
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「ちょっと事務所にお越し願えませんか」
衆院解散直後の7月下旬、国土交通省のある幹部は民主党の参院議員に呼び出された。特に懇意にしている議員ではなかったが、数日前に自身の異動のあいさつに行った際、秘書に名刺を託したことを思い出した。
議員会館を訪ねると、議員は穏やかな口調で言った。「君たちがいろいろやっていることは私の耳に入ってきますから、それを分かっていてくださいよね」
幹部はすぐに選挙のことだとピンときた。この議員は建設関係に詳しく、国交省に一定の影響力がある。「間違っても自民党を応援するようなことはするな」。そうクギを刺されていると幹部には聞こえた。
「まるで豆鉄砲食らったハト。今のわれわれにそんな影響力があるとはとても思えないのだが……」。幹部はいぶかしがりながらも、なりふり構わず政権を目指す党の意思を感じ取った。
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小沢一郎・民主党代表代行の秘書が逮捕された西松建設の違法献金事件。「不公正な権力行使」と民主党からの猛反発を受けた法務・検察当局には「政権交代すれば、意趣返しがあるのでは」との不安がある。検察官出身の法務省幹部は言う。「いっそクビにしてほしい」。役人をやめ、捜査や裁判の現場に戻りたいという意味だ。
「われわれ官僚だけがこの国を悪くしたのではないとも言いたいが、この20年間、国民が『少しは良くなる』と思える道筋を示せなかったことは事実」。年金問題などで民主党から追及されてきた厚労省の幹部は、率直にそう語った。