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エコカーブームは短命? 政府支援頼みの自動車業界
8月12日12時6分配信 産経新聞
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トヨタ自動車の「プリウス」をはじめ、環境対応車への期待は大きい(写真:産経新聞)
新車販売に復調の兆しが出てくるなど、「どん底」(豊田章男トヨタ自動車社長)からは何とか脱出した自動車業界。もっとも、復調はエコカー減税や買い替え補助による政府支援のおかげだ。支援を追い風にした空前のエコカー・ブームも、「需要の先食い」との見方が根強い。このまま本格的な回復軌道に乗れるかは不透明で、視界は晴れない。
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■7、8月は30%増
「7月は販売目標台数を3割近く上回るペースで推移している。今後も大いに期待できる」
首都圏のホンダ系列ディーラーの店長は、ホクホク顔だ。足元の新車販売は活気にあふれている。
自動車メーカー主要8社がまとめた今年上期(1〜6月)の国内生産台数は、全社で過去最大の下落率を記録した。しかし、エコカー減税対象車の売れ行きが好調なうえ、中国市場も急回復しており、工場の休日出勤を再開するなど、徐々に明るさが戻りつつある。
日産自動車の志賀俊之最高執行責任者(COO)も「6月中旬ぐらいから受注ベースで前年を30%以上も上回っている」と明かす。
ホンダの近藤広一副社長は、ハイブリッド車(HV)のインサイトについて、「当初計画は国内販売6万台だったが、最低でも10万台は売りたい」と鼻息が荒い。
トヨタ自動車も、発売以来の受注台数が25万台を突破し絶好調の新型プリウスの国内販売計画を10万台も上方修正した。
政府支援の追い風は国内だけではない。各社の稼ぎ頭である米国市場でも、回復の動きが出てきた。
■米国でも購入者殺到
トヨタの伊地知隆彦専務は「サプライズ! われわれの想定以上の(販売支援の)効果が出ているのでは…」と驚きを隠さない。
7月の米新車販売台数は前年同月比12・2%減の99万8000台となり、マイナス幅が昨年の8月以来11カ月ぶりに20%を下回る水準まで縮小。年換算では1124万台となり、昨年12月以来7カ月ぶりに1000万台の大台を超えた。
米政府が7月下旬に低燃費車への買い替え補助制度を導入。消費者がディーラーに殺到し、短期間で販売を押し上げた。補助金はあっという間に底をつき、米政府はすかさず20億ドル増額する法案を成立させた。
買い替え補助は、燃費性能の優れた日本車への恩恵は特に大きく、制度を利用した新車販売のうち、日本車がトップ10の半分を占めたほど。
トヨタ、ホンダが平成21年4〜6月期の決算発表に合わせ、平成22年3月期の通期予想を上方修正したのも、国内市場にとどまらず、米国でも回復の動きが出てきたためだ。
■低い利益率
だが、先行きへの不安材料も依然として多い。足元の販売回復は、日米ともに政府の支援頼みというのが実情だ。「いずれ買い替えよう」と考えていた消費者が、前倒しで購入しているだけという可能性が高く、こうした需要が一巡した後も、回復基調を維持できる保証はない。
若者を中心に、「クルマは不要」という消費者は増えており、エコカー・ブームが短命で終わる懸念はぬぐえない。
しかも、過度のエコカーへの依存は、リスクを伴う。電気モーターや電池を搭載するHVは、コストが高く利益率は低い。特に、ホンダのインサイトは189万円、トヨタのプリウスも205万円という、利益を極限まで削った戦略的な価格設定にしている。HVが売れた分、利益率の高い他のガソリン車が売れなくなる懸念もあり、収益構造が悪化するのは必至だ。
岡三証券の岩元泰晶アナリストは「メーカーがエコカーを目玉として売る場合、それ以外の車の品ぞろえをよくして相乗効果を生む必要がある」と指摘する。政府支援のエコカー頼みでは、とても先行きを楽観できない。(鈴木正行、山口暢彦)
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