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http://www.chunichi.co.jp/article/feature/09_sousenkyo/all/CK2009080602000176.html
トヨタ動かず? グループ幹部「選挙より黒字化」
2009年8月6日
トヨタ自動車幹部と話す古賀誠・自民党選対本部長代理(右)=7月29日午後、愛知県豊田市の同社で
2005年の「郵政解散選挙」でグループ挙げて自民党を支援したトヨタ自動車が「今回は前ほど動かないのでは」との見方が地元政財界で広がっている。09年3月期決算で赤字に転落し、6月には創業家の豊田章男氏が社長に就任。「車づくり同様、政治的にも原点回帰する」(グループ中堅幹部)との見方が強く、民主党との政権を懸けた選挙で、背水の陣を敷く与党側からは嘆き節が漏れる。
7月29日夕、愛知県豊田市のトヨタ本社で、古賀誠・自民党選対本部長代理が一丸陽一郎副社長に頭を下げた。
「今日は党を代表して来た。なんとか前回並みのご支援を」
一丸副社長は「よく分かりました」と答えたというが、それが「前回並み」を保障するのかは不明だ。
同席した地元県議は「私とトヨタの協力関係は今まで通り。だが、他の選挙区でトヨタがどう動くかは分からない」と声を潜める。
前回衆院選でトヨタは奥田碩会長(当時)の号令の下、政治と距離を置いてきた従来の立場をかなぐり捨て、小泉首相が率いた自民党を徹底的に推した。
グループ各社の役員らが、愛知県内各地の選挙事務所開きに参加し、支持を明言。管理職には「10回以上の事務所回り」などが課せられた。グループ会社課長は「休日をつぶして演説会に顔を出し、事務所に名刺を置いていく。仕事そのものだった」と苦笑する。
だが、今回はトヨタ自身の状況が違う。
グループ中核企業の幹部は「今は黒字化が最優先。選挙どころではない」と話す。元トヨタ役員の中部財界関係者も「前回は(孫請けの下の)3次下請けにまで自民支持を指示する“禁じ手”を使い、反発も起きた。その反省はある」と語った。
もちろん、トヨタは自民離れの姿勢を明確には見せていない。今回も、各地の同党候補予定者の事務所開きに役員らが参加し、後援会の名簿集めに協力。「(トヨタも)エコカー減税の恩恵を受けている。実質的な支援は前回以上」と語る同党愛知県連幹部もいる。
ただ、前回ほどの“熱気”がないのは確かだ。
古賀氏の来訪の2日前、名古屋市内のホテルで開かれた章男社長の就任パーティーに衆院選立候補予定者らの姿はなく、政治色は一切排除されていた。この日、章男社長と話した知人は「前回のようなことはしない」との言葉を聞いている。
パーティー後、与党県議は天を仰いだ。「トヨタは明らかに引き気味。おれたちのことも考えてほしいよ」