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http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090722-OHT1T00024.htm
衆院解散 麻生首相「上から目線」を返上し涙目演出
麻生太郎首相(68)は21日、衆院解散に踏み切り、「8月18日公示、同30日投開票」の日程で、政権選択の夏が始まった。同日夕の記者会見では「上から目線」を返上。自らの失言や自民党内の混乱を陳謝。そのうえで、民主党批判を繰り返した。同日昼の自民党両院議員懇談会では、涙目になる一幕もあった。3連休中、2005年の郵政選挙解散時の小泉純一郎首相(当時)の気迫あふれる演説を何度も見たという首相。台風級の逆風を、果たして跳ね返せるだろうか。
陳謝と涙、そして民主“口撃”で、戦いの狼煙(のろし)を上げた。
麻生首相は解散後の夕方から官邸で会見。冒頭、支持率低下や「麻生降ろし」が噴出した自民党内の混乱に触れ「党内の結束の乱れも、私が至らなかったため、国民に不信感を与えた。党総裁としておわびする」と渋い表情で語った。
さらに、「国民に問うのは政党の責任力だ」と民主党にも牙をむいた。高速道路無料化など、民主党の政策を「夢物語」「ケタ違いのばらまき」とこきおろした。
自民議員にもけじめを付けた。解散直前の21日昼の両院議員懇談会は、当初の非公開から一転、首相判断で報道陣に公開。ここでも「ぶれたと言われる言葉が、国民に政治不信を与えた」と陳謝。「党内をまとめきれなかった。私の力不足について申し訳なく思っている」と、屈辱の謝罪連発に終始した。
首相陳謝を踏まえ、予想された厳しい批判はほぼ出ず、首相が「異論があるのは当然だが、ここに一致団結ができあがった」と涙目で協力を要請。“シャンシャン”懇談会で終わったが、「首相批判を続けても民主党に利するだけ」(周辺)と党内の“あうんの呼吸”の結果だった。
この日の演説が「逆転、再浮上の最後のチャンス」ともいわれた。首相の重要性を理解したのか、解散前の3連休は公邸にこもった。迫力ある訴えで、自民大勝を呼び込んだ05年の小泉純一郎元首相の会見を何度も視聴し、原稿を仕上げた。
当初は最初に民主党の安保政策を批判し、陳謝は半ばに置いたが、周辺は「まず、謝罪から入るべき」と進言。河村建夫官房長官にも「声涙ともに下る演説が必要です」と迫られた。「上から目線」を返上し、涙の演説を勧められた首相は、河村氏には「そういうの苦手なんだよな」と照れてみせたが、この日は官房長官の望み通り、涙目を見せた。
就任時「衆院選勝利が天命」と大見えを切ってから10か月。逆風下での戦いを首相は「安心社会実現選挙」と命名した。
衆院選勝敗ラインを問われると表情を一変。「解散し、戦う決意をしている時に、勝敗ラインを私の口から申し上げるのはいかがか」と、こめかみに血管を浮かび上がらせた。だが会見後、周囲には「自民、公明党で過半数なんて低すぎるだろ」といつもの“麻生節”を言い放っていたという。