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植草ケース(その7)
2009年07月01日 | 植草ケース
6月25日、最高裁は、2006年9月に電車内で痴漢行為をしたとして東京都迷惑防止条例違反に問われていた植草一秀氏(被告)の上告を棄却する決定を下した。これによって、1、2審の懲役4ヵ月、実質2ヵ月の実刑が確定する。実質というのは、未決勾留(被疑者が逮捕されて、刑が確定するまで拘束されている期間)の132日のうちの60日あまりしか刑期として算入されないために、判決後の刑期が2ヵ月に及ぶということである。すでに132日間もの間、拘留された植草氏は、この判決によって、さらに2ヵ月間も収監されることになる。延べ収監日数は192日、6ヵ月強に及ぶ。
収監どころか、職務質問さえ受けた経験のない私にとって、6ヵ月拘禁されるということが、どういうことなのか実感がない。それがましてや無実である場合に、どれほどの精神的な苦しみを伴うものであるのか、想像できない。イメージが湧かない、というだけではない。空恐ろしくて、とても想像できない、のである。しかし、そんなことが現実に起こっている。目の前で、起こっている。
冤罪事件の被害者の方の悲痛な苦しみを、足利事件の菅家利和さんの例で、目の当たりにしたばかりである。植草氏の場合には、冤罪どころか、権力犯罪の可能性が極めて濃厚である。だから私は、この事件を「植草ケース」と呼び、戦後の三大疑獄事件といわれる下山、三鷹、松川事件と同質であると記してきた。歴史が大きく動くとき、不可解な事件が発生する、と。
足利事件の場合には、DNAの再検査が菅家さんの無実を証明する根拠となった。しかし、植草氏の場合、事件が権力犯罪であるならば、無実を証明するための壁はとてつもなく高い。実際に、植草氏の無実を証明する決定的証言は無視され、2004年4月の事件の場合には、防犯カメラの映像が証拠として採用されなかった。その挙句の、上告棄却である。どこにも救いがない。
植草氏の収監が、いつ、どのようなかたちで行われるのか、残念ながら、いまはそれを注視するしかない。
「まさか!」が、日常的に起こる社会。先に報じた、植草氏のブログへの同時多発的なアクセス制限も、まるで中国のネット統制のような監視社会へ、いよいよ日本が踏み出したかと見紛うような戦慄を覚えた。否、中国よりも陰湿で、巧妙なのかもしれない。
次に何が起こるのだろうか。2004年9月、ウクライナの大統領選挙の野党候補ユシチェンコ氏は、政敵側の国家保安局との会食の後、急病で倒れ、顔面が痘痕だらけとなった。ユシチェンコ氏の血中からは、通常の1000〜6000倍もの猛毒ダイオキシンが検出された。「まさか、日本において、同じようなことが起こるわけがない」、と、言い切る自信は、もはやない。
政権交代が目前に迫るなか、なにが起きても不思議ではない。西松建設の献金問題で小沢元民主党代表の公設第一秘書が逮捕された事件も「まさか」というものであった。この事件が検察による国策逮捕であった、ということは、やがて「歴史が証明する」だろうが、白昼堂々と、あたかもショーのごとく、市民が逮捕、拘留され、その市民をメディアが、検察側のリーク情報のみを駆使して、欠席裁判する様は、いったい、どこの国のできごとなのだろうかと、目を疑った。これでは、三大疑獄事件が連続して発生した昭和20年代と、本質的に大差がない。
いまなら、まだ間に合う。そう信じたい。ネット監視が中国並みに強化される前に、中川昭一元財務・金融担当相が盛られた薬がダイオキシンに変わる前に、司直の手が暴漢の剣に変わる前に、法治国家の機能を守らなければならない。この国に住むすべての人の人権を守らなければならない。その岐路に、いま立っているのだと強く感じるのである。
植草一秀氏を社会的、精神的に抹殺しようと謀る邪悪な意志は、植草氏をもっとも恐れている。そのものたちは、予想をはるかに超える植草氏の不撓の精神に遭遇し、たじろいでいるはずである。このまま引き下がるはずはなく、次なる罠を張り巡らしてくるだろう。植草氏をめぐる一連の“出来事”は、日本の民主主義のレベルを見極めるバロメーターであり、我々ひとりひとりの生と生活につながっている、と考える。
幸いなことに、多くのひとが、「植草ケース」の本質に気づき、植草氏を様々な形で支援されている。そして、その輪は、日々広がり続けている。私にできることは限られているが、この輪が少しでも広がるように、本ブログにおいて、「植草ケース」に関連する問題を今後も取り上げていきたいと思う。
国際政治学者の副島隆彦(そえじま たかひこ)氏と植草一秀氏との対談集「売国者たちの末路」が祥伝社から発売された。激動する世界経済の動向、危機の震源地アメリカに隷属する日本の売国勢力、その売国勢力にコントロールされる国家権力、その権力により如何に植草氏が貶められたのか、などが非常に分かりやすくまとめられている。「植草ケース」の背景から、植草氏の苦渋の闘いまでを理解できる、格好の一冊である。本書は、同時に、今日のこの国の真の姿を知り、その実態とどう向き合い、何を選択し、何を改革していくべきなのか、その道を指し示してくれる啓示書である。
『売国者たちの末路』(祥伝社)
著者:副島 隆彦、植草 一秀
Amazon.co.jpで詳細を確認する
私は“支援”ということばを何度か使ってきた。しかし、それは非常におこがましいことであった。本書を読んで、支援されているのは、実は私たち市民であることに、やっと思い至った。使命感と愛国心に溢れ、その思いを具体化できる最高の知性をもって、売国者の正面に命がけで立ちはだかっている人、その人こそ、植草一秀氏である。
だから、私たちは植草氏の言葉に、懸命に耳を傾けなければならないのである。ぜひ、「売国者たちの末路」、そして「知られざる真実―勾留地にて」を御高覧賜りたいと思う。
『知られざる真実―勾留地にて―』(イプシロン出版企画)
著者:植草 一秀
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参考:「痴漢冤罪事件最高裁不当判決について」へリンク
(ブログ:植草一秀の『知られざる真実』)
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