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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2009062102000049.html
【社説】
週のはじめに考える 民権が奪われている
2009年6月21日
水鳥の羽音におびえる平家の大軍のように、麻生自民党が動揺を深めます。このままでは下野だ、と。だからといって国民の投票権を奪うのは邪道です。
大臣政務官というと衆院議員なら当選二回生あたり。政治家自身も一般の人も、軽く見てしまいがちですが、大臣、副大臣に次ぐ、れっきとした内閣の一員です。
その職にある自民議員が党の代議士会で叫んだのです。それも首相の麻生太郎氏の面前で。
「自民党はこの際、大政奉還を決断して国民の懐深く(入って、原点に)戻るべきだ」と。
大政奉還? 麻生自民党に、崩壊する徳川幕府の断末魔をダブらせているのでしょうか。
◆首相に尋問の筋これあり
首相は後で「何の大政をどう奉還するのか」と戸惑っていたらしいのですが、党が握ってきた政治権力を国民へお返ししようということならば、これはもう、選挙と下野の勧めですよね。
政務官ご本人は、そういう意味じゃなかった、と弁明したそうです。ただ、総務相だった鳩山邦夫氏の更迭で「わが党は決定的に国民の信を失った」とした上での発言でしたから、こき下ろした相手が首相なのは明らかでした。
迷走した日本郵政の社長人事は、民主党の代表交代を機に再び下降線をたどりつつあった政権を追撃して、自民・公明の連立与党を慌てさせています。
内閣支持率は急降下して、政党支持率でも自民が民主にダブルスコアの差をつけられた世論調査結果もありました。
内閣を去るにあたって鳩山前総務相がのこした言葉−「政府に尋問の筋これあり」。西南戦争で明治新政府に弓を引いた西郷隆盛のものだそうですが、さしずめ「首相に尋問の筋これあり」の空気が自民にまん延してきています。非は首相にある、とばかりに。
◆総選挙先送りへ傾く与党
一連の郵政騒動の最中に参院の党幹部は「尻に火が付いているのに消さない。かちかち山のタヌキじゃあるまいし」と、処理に手間取る首相をなじっていました。お尻に火が付いているのは今や、政権党そのものなのですが。
名古屋、さいたま、千葉の市長選で民主系候補に次々と敗れ、首都決戦の東京都議選が告示へ二週間を切っています。
首都の空気はどうでしょう。自民候補の陣営から嘆き声が漏れてきます。「麻生さんはどうなるとか、政権交代とかの話題に埋もれて、選挙にならない。小泉郵政選挙の逆バージョンだ」と。
先日の党首討論の受け答えで、お世辞にも余裕があったといえない首相に、都議選で自民敗北なら退陣も、という観測が周辺から流れました。九月末に予定される党総裁選を総選挙前に実施しよう、だとか、いわゆる「麻生降ろし」の風もにわかに吹きます。
裏を返せば、これは与党に広がる衆院解散・総選挙のさらなる先送り論でしょう。ある派閥トップからは「右往左往するな。やけくそになっちゃいけない」と、首相がキレて解散権を行使してしまうのをけん制する発言も。
彼らの思惑が手に取るように見えませんか。逆風に今打って出れば負ける、ならば時間稼ぎを…。
考えてもみましょう。安倍晋三氏、福田康夫氏に続く、三年で三人目の「首のすげ替え」は恥の上塗りです。内閣改造論にしても、目先を変えるどころか、世間に足元を見透かされるのではありませんか。
海賊対処法、改正国民年金法などの成立で延長国会は峠を越えたようです。臓器移植法改正案の参院審議、北朝鮮制裁関連の法整備など、懸案は残りますが、通常なら一気に総選挙モード入りでしょう。
なのに首相も与党も煮え切らない。自民は公務員制度改革の法案審議を試みたり…。九月で衆院議員が失職する任期満了選挙も視野にしているのかもしれません。
そこで与党の皆さんへ「国民目線」を求めます。前回二〇〇五年の総選挙以降、国民は四つの自公政権の政治を経験しています。その間、全国規模の国政選挙は参院選一度だけ。総選挙の投票は何もないまま。つまり有権者は選挙権を奪われてきたのも同然です。
国民主権の民主主義社会にあって、これは由々しきことです。私たちの元に、しびれを切らす読者から怒りの投書も届いていることを付記しておきます。
◆決断できぬ政治では困る
麻生首相にお尋ねします。この期に及んでなお、今は解散どころでない、と言いますか。選挙を恐れる側近たちの言を国民の声より優先しますか。凜(りん)として決戦へ臨むときではありませんか。
政権を失うかもしれないからと決断できない政治は迷惑です。忘れないでください。選挙で意思表示するのは国民の権利なんです。