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http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/index20090616AS1K1600316062009.html
社説1 イラン体制の危機はらむ大統領選「圧勝」(6/17)
イランで大統領選をめぐる対立が強まり、政治危機が広がりつつある。大統領選では、保守強硬派のアハマディネジャド大統領が大差で再選を果たしたと発表された。だが改革派は納得せず、首都テヘランでは数十万人規模のデモが起き、民兵組織との衝突などで死傷者が出た。
当局の禁止命令を無視した大規模なデモの広がりは、革命体制による締め付けの下では異例の事態だ。国内の対立激化が国際関係にどのような影響を及ぼすのかも含め、イラン情勢を注視する必要がある。
大統領の挑発的外交は物議を醸し経済混乱への国内の批判も強い。このため改革派のムサビ元首相との接戦も予想されたが、発表結果は得票率63%対34%の大差だった。選挙直後から投票用紙の配布についての疑惑などが取りざたされている。
最高指導者ハメネイ師は選挙結果の再調査を命じたが、いったん公表された結果が否定される可能性はあるのか、事態は収束に向かうのか。当局は外国メディアのデモ取材を禁止した。抗議行動を力で抑え込み、流血を繰り返す事態になれば、政治体制の正統性を問われる。
過去の改革・自由化運動の挫折でノンポリ化していた都市の高学歴層は、米オバマ政権登場にも刺激されて政治参加意識を強めた。服装や表現の自由を求める「変化」待望論がムサビ陣営の追い風になる一方、政権側も組織的な動員を強めている。
20%以上の高率インフレが続くなど経済政策の失敗は明らかだが、大統領は生活苦を訴える世帯に裁量で一時金を支給し、貧しい地方への補助金を上積みした。自由を望む比較的所得の多い階層と、ばらまきに頼る低所得層の分裂が、政治対立の大きな背景だ。核開発ではムサビ候補も固有の権利を主張しているが、挑発的外交では孤立から脱却できないと外交姿勢の違いは示していた。
イランに対話を呼びかけたオバマ米大統領は内政問題に立ち入るのは避けたいとしつつ、選挙の公正さの立証が必要との考えを示した。アハマディネジャド大統領の続投もにらんで、米政権は対話の糸口をなお探るだろう。だが、今回の衝突はイラン不信論を再び勢いづかせ、年内に成果が表れなければ対話路線の見直しを迫られる可能性も大きい。
主要国との関係修復の糸口をつかむことは、イランの経済活性化にも不可欠なはずだ。最高指導者を中心にイラン指導部が国際社会の中での信頼醸成に踏み出せるか否かが、将来を大きく左右する。その第一歩として選挙の疑惑解明がまず必要だ。
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