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【journal、政党政治は権力を握れるか】(5大新聞・5大局は、田中氏レベルの報道ができないならば廃業するべきです)
http://www.asyura2.com/09/lunchbreak20/msg/372.html
投稿者 小沢内閣待望論 日時 2009 年 5 月 17 日 12:05:25: 4sIKljvd9SgGs
 

« 政治に権力はあるか-政官攻防史をひもとく | メイン | 山場を過ぎて分かったこと »
http://www.the-journal.jp/contents/kokkai/2008/05/post_113.html
政党政治は権力を握れるか
 権力は必ず腐敗する。これは否定できない真理である。だからいつか権力は交代させる必要がある。しかし自ら進んで交代する権力はない。最後の最後までその地位にしがみつく。そのため政権末期の政治は惨憺たるものになる。惨憺たる政治になる前に交代させるには国民の先見性が必要だが、権力にはメディアを操作して国民を惑わす力があるからそれもなかなか容易でない。

 戦後の「55年体制」は、与党の自民党が官僚と一体化して権力基盤を強化したのに対し、野党の社会党は与党から権力を奪う事を断念し労働組合的役割に徹することにした。社会党は選挙で議席の過半数の候補者を擁立せず、そのため国民がどんなに野党に投票しても権力は交代しない。せいぜいお灸をすえる程度である。むしろ権力交代に見えたのは自民党内の派閥抗争による総理の首のすげ替えである。メディアは自民党総裁選挙を国家的一大イベントに仕立て上げ、投票権を持たない国民がそれに一喜一憂した。誠に奇妙な光景だがそれは今でも続いている。

 政権獲得を目指さない野党は楽だ。国家運営の政策を作る必要がない。役割は与党が出した法案を修正するだけである。そのため社会党は専ら国会運営に力を入れた。一方で官僚と一体化した自民党も政策は基本的に官僚任せである。日本で議員立法が少ない理由がここにある。例外は田中角栄元総理で一人だけ突出している。最近話題の道路特定財源をはじめ33本の法案を議員提案して成立させた。共同提案など間接的なものまで含めると100本を越えると言う。しかしほとんどの議員は議員立法なんか関係ない。霞が関が作った法案を承認するだけである。日本では行政府が法案を作り立法府が法律に仕上げる。立法府はまるで行政府の下請けである。

 1月から始まる通常国会は3月末までは予算審議に集中する。予算があがるまで他の委員会は開かれない。予算委員会には全大臣が出席し、他の委員会で議論すべき問題も全てそこで扱われる。異常なまでの偏重ぶりだが、予算委員会を裏で仕切っているのはGHQによって戦後日本統治の中核に置かれた旧大蔵省(現財務省)である。質問と答弁を作るのも委員会運営のシナリオを作るのも大蔵省で、何故か最初の2日間はNHKがテレビ中継する。予算委員会しかテレビ中継しないから国民はそれを国会だと思い込む。この仕組みはこの国の立法府が大蔵省(現財務省)の掌にある事を象徴していると私は思う。

 予算委員会しかテレビ中継しないため野党はそこで国民受けを狙う。「爆弾男」と呼ばれる議員が大声を張り上げてスキャンダルを追及し審議は必ずストップする。それによって予算の中身が詮索されないのは大蔵省にとって都合がいい。スキャンダルで与野党がぶつかり合うのも官僚にとっては都合がいい。政治は「相も変わらずスキャンダルまみれ」の印象を国民に与える事になる。日本を支えているのは国民に選ばれた政治家よりも官僚と財界だ。それをメディアに宣伝させる。記者クラブで官僚組織に洗脳された記者たちは「政治を批判するのがジャーナリズム」と思い込み、政党の「党利党略」を徹底的に批判する。

 国会でスキャンダル追及に血道をあげるのは愚かだと私も思う。しかし「党利党略」という批判は的外れだ。アメリカでもイギリスでも政党政治はみな「党利党略」だ。それを否定したら政党政治など成り立たない。しかし官僚支配が長く続くこの国では政党がいかにも汚れているようにメディアは報道し、何かにつけて「党利党略」、「私利私欲」、「利益誘導」、「金権腐敗」などのレッテル貼りが行われる。国民が選挙で選ぶ政党政治をメディアは常に批判する。まるで戦前の政党政治批判が今だに続いている。

 審議が止まると裏舞台で与野党の国対政治が始まる、あらゆる法案が取引の対象となり、議論をしないうちから「成立」か「継続」か「廃案」かの方針が決まる。審議が再開されると方針通りに法案は処理される。それが当たり前になったとき、さすがに与野党の中から疑問の声が上がってきた。議論もせずに法案を成立させて日本の将来は大丈夫か。折りしもリクルート事件が起きて政治はスキャンダルまみれとなり、「55年体制」の歪みをどう正すかを政治家たちは考え始めた。

 同じ頃、経済大国になった日本を世界もおかしいと思っていた。何故日本経済が強いのか、それを分析すると企業の後ろに官庁がいて政治もそれを後押ししている。政官財癒着の構造である。日本は資本主義の顔をしているが実は資本主義でない。まるで国家社会主義そのものだ。そこから「日本異質論」が叫ばれた。日本との交渉に業を煮やしたアメリカ政府は遂に「日本の諸悪の根源は大蔵省、通産省、それに東大赤門」と喝破した。

 問題の根源は官僚と自民党が一体化して権力が肥大化し、官僚にも自民党にも腐敗が蔓延した事にある。万年与党体制を改めて政権交代可能な政治にすることが急務とされ、小選挙区制の導入が検討された。しかし私は選挙制度の改革だけでは不十分だと思っていた。この国の官僚支配は選挙制度を変えるだけで解消するほど生易しいものではない。140年間の支配構造は国民の意識の隅々にまで刷り込まれている。

 国権の最高機関と言われる国会が行政府の下請けだと指摘したが、国会議員にとって霞が関ほど頼りがいのある所はない。政策を考えるための情報は全て霞が関に揃っている。それを上回る組織は日本中どこにもない。情報源が一つしかなければそこと喧嘩など出来ない。また霞が関は政治資金の面でもありがたい。企業は監督官庁の言うことなら何でも聞いてくれるから、パーティ券もさばいてもらえる。その上選挙の票まで頂ける。地元の陳情を受け入れて「○○先生のお陰ですよ」と言ってくれれば選挙民は大喜びだ。だから霞が関には逆らえない。逆らえば落選の恐れが出てくる。

 官僚支配を崩すため霞が関と喧嘩しろと国会議員にけしかけても、なかなか出来ることではない。誰かさんのように喧嘩をするポーズだけとって裏で手を握ることになりかねない。それに霞が関を批判して力を弱めさせてもそれが国民のためになるのか疑問である。大事な事は霞が関の足を引っ張るよりも立法府を国権の最高機関にふさわしい権力に育て上げることだ。国会はいつまでも行政府の下請けでなく自立した本来の立法機関になるべきだ。そのためにはまず霞が関の情報に頼らずに立法できる体制を作ることである。国会と政党が独自の情報収集機能を持つことである。

 ベトナム戦争に敗れたアメリカは深刻に敗因を分析した。議会には国防省とCIAの情報を鵜呑みにして戦争突入を認めてしまった苦い思いがある。そこから議会は行政府とは別に自らも情報収集機能を持つ事を考えた。立法のための調査担当部局を増員し、800人規模の研究者を擁するシンクタンクを作った。議会調査局(CRS)と言う。日本の国会は戦後GHQによって作り変えられたからアメリカ議会のコピーである。同じ部局が調査立法考査局の名称で存在する。その人員は150人規模だが、これをアメリカ議会並みに増強する事はその気になれば出来るはずである。

 国民が一人当たり250円負担している政党助成金は当初政党のシンクタンク機能を拡充するためと説明されていた。それが議員たちに山分けされてしまっている。どうも情けない限りだが、国会が官僚政治から脱却し政党政治に権力を取り戻すためには是非とも政党のシンクタンク機能を充実させてもらいたい。国会議員はこれからは霞が関が集めた情報だけでなく、国会、政党、それに民間のシンクタンクが集めた情報を多角的に活用して立法作業に従事すべきである。そうしないと世界最先端の高齢化社会に向かっている日本が世界のモデルになることなど望めない。

 かつて小泉総理は官僚政治から脱却するため内閣機能の強化と称して財政諮問会議を活用し、安倍総理も同様の理由で総理補佐官の数を増やした。しかし私はそんな程度のことで官僚政治からの脱却など出来るはずがないと当時のコラムに書いた。なぜなら財政諮問会議も総理補佐官も所詮は霞が関の情報に頼って活動するしかないからである。官僚政治からの脱却を本気で口にするならば内閣機能の強化よりも国会機能の強化を真剣に考えるべきである。

 昨年の選挙で初めて野党が国会の一院を押さえ、この国の権力構造に大きな変化が生じた。国会に2つの権力が生まれ、法案が政府与党の思い通りにはならなくなった。これは大袈裟に言えば118年間の議会政治にとって初めての事態である。そのために手探りの政治が始まり、メディアは「政治の機能不全」と嘆いている。しかし明治からの政官攻防史をひもといてみれば、日本の政治はやっと坂本竜馬の理想の入り口に立つことになったと見ることも出来る。何も嘆くことはない。むしろ立法府を本当に国権の最高機関にするための第一歩を踏み出せば良いのである。

 

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