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昔陸軍、今霞ヶ関
真珠湾攻撃がだまし討ちとなったのは、現地の日本大使館の怠慢といわれてきたが、実はそれは大嘘で、陸軍の圧力とそれに屈した外務省本省の責任であることは、もと駐ニュージーランド大使井口氏の最近の研究で明らかになった。
このところ氏の論文や新聞評を読みいささか興奮している。
実は当時の陸軍の体質と行動がそのまま現在の霞ヶ関に連綿と受け継がれているからだ。
陸軍の犯した罪は多々あるが、一つは開戦前日に送電された、日米の友好回復を訴えたルーズベルト大統領の天皇宛親電を、陸軍が握りつぶしたことと、対米最後通牒をこれも陸軍が外務省をサーベルで脅し、故意に遅らせたことである。
まるでヤクザまがいの行動だが、その元凶が例の瀬島龍三氏であろうということである。ちなみにヤクザの世界のほうがもっとルールもけじめもあり、ヤクザに失礼なたとえかもしれない。
瀬島氏に関しては、ソ連との密約で日本捕虜を売り渡したのでは、など黒い霧をかぶったまま世を去ったが、かって彼の“幾山河”を読み、あまりにも時代錯誤の自己弁護に終始しているので、反吐の出る思いがしたことを思い出す。
かつての日本陸軍というか帝国陸海軍の主な特質を列挙すると、
@下克上:2・26事件を見よ
A夜郎自大:“桜と碇”という戯言は、桜が陸軍、碇は海軍で、“無理が通れば道理引っ込む”ことを意味していた
B絶対に責任を取らない:ノモンハンの失態をした辻少佐はその後も失態を続けながら出世階段を上り、日本の破滅に加担した。
C隠蔽主義:まだまだ隠された悪行は数あるだろう
D保身と出世:国民はそのまえには襤褸切れにすぎない。沖縄そして満州で日本軍に裏切られその犠牲になった多数の日本人のことを思え。
E面従背反:サボタージュの巧妙なこと。
こう列挙するとあまりにも今の官僚と酷似しているので、ただただあきれ果てるだけだ。
たとえば
@下克上:大臣の人事命令に従わず居座った防衛庁次官。結局もっと手痛い目にあったが。
A夜郎自大:国民の税金を私物化して、自己権力の肥大化のためにえさとしてばら撒く。
B絶対に責任を取らない:いまのC型肝炎、年金問題。責任を取らされた官僚が一人でもいますか?
C隠蔽主義:重要書類に限ってその保管場所が思い出せない。アホじゃないか!
D保身と出世:これだけがレーゾンデートルなのでいまさら何も言うことはない。
E面従背反:人並み優れた知能指数でサボタージュに専念されたら、大臣もお手上げだ。枡添ピエロを見よ。
冒頭の井口氏の今は亡きご尊父は、当時日本大使館の一等書記官だったはず。
これで亡父の恨みも少しは晴らすことが出来たと思い、そのご努力には敬服するが、同様のことがまだ、わが国の中枢で堂々と行われているのを毎日見聞きすると、なんともやりきれない気がする。
by n_shioya | 2007-12-23 16:49 | コーヒーブレーク | Comments(3