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http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20090414-01-1501.html
友だちを失いそうな公明党の狼狽
2009年4月14日 フォーサイト
今年の一月末、公明党の草川昭三副代表と創価学会最高幹部の一人、八尋頼雄副会長は、自民党の古賀誠選挙対策委員長と会合を持った。
古賀氏は昨年十二月十五日、自民党各派の事務総長を前に、「小選挙区は自民、比例も自民。自民は自民の政策と選挙で戦わないと弱体化する」「百八十ある比例区をみすみす公明党に渡していいのか。比例票が出ないような言い方はやめるべきだ」と発言した。
これまでは小選挙区での創価学会票ほしさに「比例区は公明党へ」と呼びかけてきた方針を転換し、自公選挙協力の見直しを示唆した。古賀氏は翌十六日、「自公両党とも票を伸ばす戦略が大事だ」と釈明したが、以来、両党のぎくしゃくぶりは変わらぬままだ。
この日の会合は、公明・学会側が古賀氏に呼びかけたものだった。草川氏は昨年九月、今年の衆議院選挙で比例代表九州沖縄ブロックへ転出する公明党の遠山清彦参議院議員が辞職したため、繰り上げ当選で議員バッジをつけた。しかし、実は遠山氏の衆院転出は、国会対策委員長経験者で自民党と太いパイプを持つ草川氏を議員復帰させるためだったと言われる。
「福田降ろし」ではしゃぎまわった太田昭宏代表、北側一雄幹事長の現執行部では、自民党と意思の疎通ができない。そこで、大ベテランの草川氏が、両党の関係修復に乗り出したというわけなのだ。
「都議選日程には配慮しない」
では、公明・学会側の努力は報われたのか。この会合の後、古賀氏は、こんな言葉を周辺に漏らしているという。
「公明党との仲は、福田降ろしを画策したことで決定的にこじれた。そもそも、参議院では公明党を足しても過半数に行かず、衆議院では公明党がいなくても過半数に達している。それなのに、なぜ公明党に振り回されなければならないんだ」
「公明党は総選挙四月二十六日投票説を流しているが、そんな日程には絶対ならない。公明党が重視する、東京都議選の日程に配慮するつもりもない」
自民党と公明党・学会の関係は、元のさやに収まるどころか、亀裂が拡大していると判断せざるを得ない。
公明党は、福田降ろしで麻生政権作りを主導したが、この時に世間の批判を浴びたことから、「しばらくはなるべく目立たないように」というのが麻生政権誕生後の“方針”で、その麻生氏の支持率が限りなく下落しても「いまわが党が麻生批判に回れば、麻生政権は倒れる」と、首相批判を手控えてきた。
しかし、麻生太郎首相のあまりのお粗末さに、その方針にもぐらつきが見えてきた。
漆原良夫国対委員長は、二月九日の記者団との懇談で、「公明党としては麻生に対する思いの沸点はすでにすぎているが、次の選挙は自公連立で戦うことを前提としているので、麻生に釘をさすのは難しい。だから、おれは、麻生が首相になる前に“麻生は三カ月しかもたない”と言ったんだ」と話し、苛立ちを隠していない。
そして、そんなときに飛び出したのが、二月十二日の小泉純一郎元首相の「定額給付金は(衆議院の)三分の二を使ってでも成立させねばならない法案だとは思わない」という発言だ。
首相在任時の五年半の間、小泉氏は公明党に対して批判めいた発言をしたことは一度もない。そして、定額給付金の言い出しっぺは、言うまでもなく公明党だ。
小泉氏にまで批判された麻生首相を擁護しきれない、あるいはその攻撃の矛先が自らに向かってくると思ったのか、太田代表は翌十三日の記者会見で、「首相の発言が(小泉氏の言動の)きっかけを与えているならば、発言は慎重でなければならない」と、久しぶりに麻生首相への苦言を呈した。
また、十四日の民放テレビに出演した同党の澤雄二国対副委員長は、郵政民営化をめぐる麻生首相の一連の発言を、「男として許せない」「軽い言葉」「浅い考え」と、手厳しく批判した。
だが、今さら麻生首相と距離を置いたところで、公明党の戦略に光明は見えない。これまで自公連立の甘い汁を吸ってきたツケが回ってきているのかもしれない。自民党の古賀選対委員長は、こうも漏らしている。
「自公政権で十年たち、太田代表は“成熟期”という言葉を使っているが、私はもう“離婚”を考える時期だと思っている」
筆者:ジャーナリスト・浜 健太郎 Hama Kentaro
フォーサイト2009年3月号より