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http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2009033002000070.html
後期高齢者医療制度1年 抜本改革尻すぼみ
2009年3月30日 朝刊
七十五歳以上の約千三百万人を対象とした後期高齢者医療制度が始まって四月一日で一年。「うば捨て山」と、当初は激しい批判を浴びたが、年金からの保険料天引きの見直しをはじめ相次ぐ運用改善もあって、批判は沈静化しつつある。麻生太郎首相も抜本改革を打ち出したものの、政府・与党の改革論議は尻すぼみになっている。 (上坂修子)
「大臣は大胆に見直すと言いながら、半年費やしても見直し案すら示せない。竜頭蛇尾も甚だしい」。二十六日の参院予算委員会で、共産党の仁比聡平議員は舛添要一厚生労働相直属の検討会が取りまとめた報告書を批判し、舛添氏にこう詰め寄った。
これに対し舛添氏は「報告書にはどういう問題、論点があるか、きちんと書いてある。なにも恥じることはない。われわれがどれだけまじめにやったか」と気色ばんで反論した。
舛添氏は昨秋、「国民が支持しないような制度は大胆に見直すべきだ」として、年齢による区分けをしないことなどの見直し方針を掲げて検討会を立ち上げた。しかし、今月中旬にまとまった報告書は、改革の方向性を示せなかった。
報告書は年齢区分の在り方も(1)七十五歳以上(2)六十五歳以上(3)年齢で区分せず−など複数案を併記。市町村が運営する国民健康保険を都道府県単位に再編し、後期高齢者医療制度と一体化するという舛添氏の私案も、列挙された一案にとどまった。
結局、具体的な提案は、高齢者に不評を買った「後期高齢者」という制度の名称変更だけだった。
並行して議論を進めてきた自民、公明両党も、来月にも具体案を固めるが、制度の根幹を維持することは確認済みだ。
見直し点として(1)公費負担の増額(2)患者が窓口で支払う自己負担の見直し(3)七十五歳以上でなお働く「現役」は制度の対象外とする(4)名称の変更−が挙がっている。政府の追加経済対策に保険料軽減策を盛り込むことも浮上している。
年齢区分も、六十五歳以上に引き下げる案も議論されたが、これには約一・五兆円の公費が新たに必要となり、与党は否定的だ。
ある厚労関係議員は「制度は定着してきている。今、大幅な見直しをすれば、寝た子を起こすことになる」と言う。
民間シンクタンク「日本医療政策機構」が一月に実施した世論調査では、七十歳以上の56%が現行制度の維持に賛成と回答し、国民の理解が進んだことをうかがわせる。結局、抜本改革は掛け声倒れに終わりそうだ。