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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2009031002000087.html
剰余金、別事業に流用 農水特会 467億円国庫に戻さず
2009年3月10日 朝刊
農地売買や農家への無利子貸し付けをする農林水産省の特別会計(特会)予算で、二〇〇六年度に余った約四百七十億円の一部が翌年度、コメや麦の輸入など全く別の事業に流用されたことが、東京新聞の調べで分かった。この特会は近年、事業の縮小で一千億円前後の剰余金が毎年発生、〇五年度には会計検査院の指摘を受け一部を返還したものの残りを返さず、〇七年度まで繰り越して流用していた。 (「農は国の本なり」取材班、関連<27>面)
特会は特定事業のための予算で、他事業への流用は認められていない。農水省はこれらの剰余金を新設された特会に繰り入れ、流用を可能にしていた。
問題の特会は一九四六年に創設された旧・農業経営基盤強化措置特別会計(旧基盤特会)。自作農育成や農地拡大のため、都道府県の農業公社を通じて農地売買や無利子融資事業をしてきた。
しかし、農地整備が進む一方で農家が減少。農家からの返済金も増えて、すべて特会に戻るため、九九年度以降は毎年一千億円を超す剰余金が出ていた。国の一般会計からの資金も〇一年度まで入っていた。
こうしたことから、〇四年度も八百七億円が余ったため、会計検査院は〇五年、「貴重な資金が効果を発現せずに滞留している」と指摘。旧基盤特会の設置法で「剰余金は一般会計に繰り入れることができる」と定めていたにもかかわらず、国庫に戻さなかったとして、同特会の資金の縮小と是正を求めた。
〇五年度決算では再び八百十三億円の剰余金が生じたため、農水省は初めて二百九十五億円を一般会計に返還。〇六年度に残りを繰り越したが、再び四百六十七億円余った。
農水省は〇七年度、政府の特会改革を受け、旧基盤特会と、コメと麦の輸入を行う旧・食糧管理特会を統合、新たに食料安定供給特会(安定特会)とし、剰余金は安定特会の中の「調整勘定」に繰り入れた。
調整勘定は一般会計から繰り入れた資金をいったんプール。コメと麦の輸入の際、それぞれの勘定に移して使う仕組みになっている。調整勘定に入った剰余金は本来の農地売買などの事業以外に、一部がコメや麦の輸入に流用。剰余金は〇七年度も二百二十八億円が発生、本年度予算に繰り越されている。
透ける『予算維持』思惑
解説
農水省が特別会計の巨額剰余金を国庫に戻さず、麦の輸入事業などに流用した背景には、本来の事業が縮小したにもかかわらず、予算と権限を維持したいという官僚の意図が透けて見える。
問題の特会は八〇年代後半から剰余金が急増した。農水省はそれを国庫に戻して特会を縮小するどころか、九四年には新たに就農支援事業を導入するなど、逆に肥大化させていった。
支出は予算の二−三割にとどまり、事業規模をはるかに超える資金を長年抱え込んでいたが、財務省や国会は監視できなかった。会計検査院の指摘で国庫に一部戻したものの、その後、別の特会に繰り替えて流用したのは確信犯的とも言える。
本年度のすべての省庁の特会の歳出額は計三百五十五兆円で、一般会計の約四倍。だが依然、外部の監視はほとんどなく「官の財布」とまでいわれる。国会は資金の流れを精査して“特会の闇”に切り込むべきだ。元は税金や年金などの公金だと忘れてはならない。 (社会部・神田要一)
11年度までに使う
農水省構造改善課の話 剰余金を流用したと言えなくもないが、全く違う事業に使っているわけではない。剰余金をいったん一般会計に戻しても、必要な分を翌年度に一般会計からもらうなら同じで事務効率もいい。いまある剰余金は二〇〇九年度からの農地制度改革で、一一年度までに使い切る予定だ。