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http://www.data-max.co.jp/2009/03/post_4819.html
西松建設事件 消えない「国策捜査」への疑念
[政治]
2009年03月09日 09:16 更新
西松建設の違法献金事件が自民党に波及しはじめた。東京地検特捜部は、今日にも二階経産相側の政治団体関係者に対する事情聴取を始めると報じられている。森元首相や尾身元財務相の資金管理団体も西松建設のダミー政治団体「新政治問題研究会」から「寄附」を受けており、小沢代表の「陸山会」同様、捜査対象となるのは当然だ。しかし、東京地検が自民党側に捜査の手をのばす姿勢を見せはじめたのは、「国策捜査」との批判が出てからである。西松建設事件による政治資金規正法違反での逮捕者第1号が、政権奪取を目前にしている民主党代表の秘書だったことで様々な疑念が生じている。
一番の疑問は、なぜ小沢代表側だけを先に逮捕したのかということである。「陸山会」の会計責任者で小沢代表の公設第一秘書に対する逮捕容疑は、政治資金規正法違反(虚偽記載)である。西松建設からの企業献金であると知りながら、「政治団体」からの寄附であるとして偽りの収支報告書を作成したというものであるが、それなら金額の多寡にかかわらず、「陸山会」同様西松のダミー団体から資金提供を受けた政治団体全ての会計責任者を引っ張るべきであったろう。小沢秘書逮捕を目の当たりにした西松マネー関係者は、証拠隠滅に走るのが目に見えているからだ。小沢代表側への強制捜査が先になり、結果的に自民党側の政治家に逃げ道を与えたのであれば、「国策捜査」との批判はあながち的外れではない。
二つ目の疑問は、地検の本当の狙いがわからないということだ。逮捕容疑となった政治資金規正法違反ではなく、報じられているダム建設等に絡む「あっせん利得処罰法違反」が真の狙いだったとしたら、これもまた首をかしげたくなる。西松建設がらみで噂される政治家は、実は自民党側の方が圧倒的に多い。しかも、小沢代表のケースと違い、裏金の形で資金提供された疑いもある。すでに、現職閣僚側に対する6,000万円裏金提供の話が飛び交っている状況だ。小沢代表が実力者であることは周知の事実であろうが、しょせんは野党の党首、職務権限がない。政権政党である自民党側の政治家には、就いたポストによって「収賄」の疑いが生じるが、小沢代表側に対しては前述の「あっせん利得処罰法」しか適用できない可能性があるのだ。権力を利用した贈収賄事件の方が重いのは自明の理である。そもそも狙いが別の事件であるなら、最初から本筋に切り込むべきで、別件逮捕は批判の対象となろう。狙った事件の証拠が揃わないまま、政治資金規正法で逮捕しておいて供述や証拠を補強したとするなら、乱暴な捜査ということにもなる。もちろん、たちの悪さを比較すれば、「裏金」のほうがより加罰性が強いはずだ。ここでも小沢代表側を先に逮捕した理由が分からない。
極めつけは漆間巌官房副長官による「自民側は立件できない」という仰天発言である。政府高官であり、警察庁長官を経験した人間が発した言葉は、地検特捜部の捜査そのものに疑念を生じさせている。あたかも「小沢さんで終わり」と言わんばかりの漆間発言には、捜査を主導しているのが官邸ではないかと思いたくもなる。自民党側への捜査が「任意での聴取」程度で終わるようなら、益々疑念は大きくなるはずだ。
メディアによる世論調査の結果が出始めているが、民主党の勢いが止まったという現実も、まさに「国策捜査」であったことを印象付けるものだろう。違法献金は許されることではない。しかし、それが分かってはいてもこの時期の強制捜査には疑問を禁じえない。場合によっては日本の政治史を大きく変える事件となるかもしれない。
【頭山 隆】
写真:児玉 崇
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