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これから起こる大激変
2009-02-09 / Economics
きょう発売の週刊東洋経済の特集は、「これから起こる大激変・世界経済危機」。現状分析のほかに、私を含めて9人のエコノミストの分析が出ているのが特徴だ。
編集部は「ケインズ派vs構造改革派」の論争を企画したようだが、意外なことに竹森俊平氏の結論は「日本はキャッチアップが終わった今も、次の時代のビジネスモデルを見いだせていない。アジアのリーダーとして新産業を育てる必要がある」という構造改革だ。危機の原因としてグローバル・インバランスをあげることを含めて、彼の意見は(対立するはずだった)池尾和人氏とほとんど変わらない。
最初に野口悠紀雄氏と小野善康氏の「誌上対論」が出ているが、これも予想とは逆に、小野氏が「乗数効果なんてナンセンス。公共事業は役に立つかどうかが重要だ」という。いちばん古典的なケインズ派が野口氏で、「国債の日銀引き受けによって30兆円のバラマキをやれ」という。これは最近、話題になっている政府紙幣と同じ発想だが、最後に「政治の貧困によって浪費が起こる」と書いてあるので、実現不可能を承知のブラック・ユーモアだろう。
このようにケインズ派(財政政策)が復活する一方で、市場を重視する主流派が構造改革を主張する構図は、アメリカと似ている。教科書的にいえば、ゼロ金利で金融政策がきかなくなった現状で、財政政策が必要だという議論は、理論的には成り立つ。しかしアメリカの金融危機の原因がグローバルなマクロ不均衡だとすると、それが是正された現状のほうが定常状態(潜在GDP)に近いので、竹森氏もいうようにアメリカ国内の需要刺激策の有効性は低い。グローバルな均衡を実現するためには、新興国の国内市場の整備が重要だ。
これは日本も同じで、輸出バブルが崩壊した現状のほうが潜在GDPに近いので、池尾氏もいうように「1割の輸出産業が9割の国内産業を食わしていく」産業構造は、もはや持続可能ではない。製造業を捨てる必要はないが、競争力のない製造業にこだわると日本経済全体が沈没する。新しい産業を育てて投資機会を増やし、内需拡大することが究極の経済対策だ――という点で、意外にも多くの論者の基本的認識は一致している(これは野口氏も同じ)。ようやく日本でも、まともな政策論争が可能になってきたようだ。
それから、いうまでもないがリフレ派は全滅(笑)。
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