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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090203-00000536-reu-int
経済危機がファッション業界にも波及、モデルは「半額」に
2月3日12時23分配信 ロイター
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2月2日、経済危機がファッション業界にも波及し、モデルの出演料にも影響していることが明らかに。写真はムンバイでのショーに備えるモデルら(2009年 ロイター/Arko Datta)
[パリ 2日 ロイター] デザイナードレスを無料で着ることができ、多くの熱烈なファンの憧れの存在であり、キャットウォークを歩けば1万5000ドルの収入。大勢のティーン女性がトップモデルという職に憧れるのも無理がない。しかし現在の経済危機を受けて、パリでのオートクチュールのファッションショーでは、モデルを取り巻く事情も変わってきている。
ショーを終えたばかりのキエフ出身のモデル、Anna Chyzhさん(23)は、ジーンズに着替えながら「(モデル料は)半額。ミラノでも、ニューヨークでさえも、どこも半額」と語った。
他のウクライナやロシア、バルカン半島諸国出身の多くのモデルと同様、Chyzhさんも不景気で仕事が減った母親を助けるため、定期的に実家にお金を送っている。「母は、助けてもらわないと困ると言う。だから母のために働かなくては。どんな契約も断れない」という。
失業率が上昇して景気後退の悪化が懸念される中、消費者は買い控えに動いており、小売業者は利益予想を下方修正し、マーケティング予算を削減している。高級品を扱う企業も例外ではない。
カルティエを傘下に持つスイスのリシュモンは今年に入り、第3・四半期の売上高が予想を下回り、業績回復の兆しは見えないと発表した。また「ヴォーグ」誌を発行するコンデナストからタイムまで、雑誌出版社は広告収入の急減に見舞われている。
高級品ブランドにとって最高の広告の場である1月のパリやミラノでのファッションショーでも、デザイナーが使うモデルの数は昨年から減少。モデルやモデル事務所は痛手を受けている。
<新人モデルには一段と厳しく>
スーパーモデルのクラウディア・シファーが所属するロンドンのプレミア・モデル・マネジメントでディレクターを務めるエイダン・ジャンマリー氏は、ロイターの取材に、これまで1日当たり3000ポンド(約39万円)を払っていた顧客が、今は1500ポンドの予算しか提示してこない、と話した。
危機を乗り切るため各モデル事務所では、カタログ撮影など地味だが着実に需要がある「コマーシャル・モデル」と、キャットウォークや雑誌の表紙に登場する高級な「イメージ・モデル」の割合を調整している。
ジャンマリー氏は「不景気を生き抜くためには両方が必要だが、比重はコマーシャル・モデルの方にやや傾いている」と語った。
スーパーモデルのアギネス・ディーンを抱える事務所、モデルス1のディレクターであるカレン・ダイアモンド氏は、広告予算やファッションショーの予定はかなり前に立てられることから、本格的に経済危機の影響が出てくるのはまだこれからと予想する。「顧客が新しいモデルを開拓するより経験のあるモデルを選ぶため、特に新人にとっては厳しくなりそうだ」という。
旧ソ連の崩壊とインターネットの普及によりモデル業界はグローバル化され、極めて競争が激しくなった。東欧の小さな村に住む女の子が、モデル事務所に写真を電子メールで送り、すぐに有名になるといったことも起こり得るが、一般的には、事務所との契約を取り付けられるのはごく一部。その後も成功までの道のりは遠い。
ダイアモンド氏の事務所では、雇ったモデルの半数が、十代のころの体型が維持できなくなるとともに出世の道が絶たれたり、もしくは学業に専念することを決意し、モデルの仕事をやめていくという。
もし成功してトップモデルとなった場合には、ケイト・モスやナオミ・キャンベルなどの例は別として、50万ドル(約4500万円)の稼ぎを手にすることができる。
<モデルたちに迫る危機>
クリスチャン・ラクロワのオートクチュールショーの舞台裏では、モデルを大勢のスタイリストやカメラマンが取り囲む。アシスタントが間もなくショーが始まることを告げ、ポーズを取るモデルに向かってカメラマンが「持てるものを全て出して」と叫ぶ。雰囲気は熱狂的だが、その陰では密かに心配を抱えるモデルがいることも事実だ。
セルビア出身のGeorgina Stojiljkovic(19)さんは「最近の状況だけに、今は不安も感じている。私たちはみなお金のためにやっているわけで、もしお金が入らなければ戻って勉強に専念することになるかも」と苦い表情で語った。
モデルとしてフルタイムで働き、家族と収入を分けるため、1年前に大学での政治学の勉強を中断してきたというStojiljkovicさん。「でもまだほかの仕事に比べれば儲けがいい。自分の両親よりも稼げる。両親は学校にも行き何年も働いているのでちょっと悲しいことだが」と話しながら、突然真剣な顔つきになり、もし大学での学位を終えることを余儀なくされることになるとしたら、それはそれで経済危機も良いことと言えるのかもしれない、と語った。
(ロイター日本語サービス 原文:Sophie Hardach 翻訳:長江知加代)
最終更新:2月3日12時23分