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かんぽの宿 国民に「なぜ」を開示せよ
2009年2月3日 10:52 カテゴリー:コラム > 社説
日本郵政が予定した「かんぽの宿」70施設をオリックス不動産に一括売却する計画が一時凍結されることになった。売却の許認可権を持つ鳩山邦夫総務相が反対の姿勢を崩していないためだ。
日本郵政が詳細な経緯を開示しないことが、事態をこじらせたように思えてならない。売却予定施設の取得や建設に約2400億円かかったことなどを明らかにしたのは、先月下旬だった。
2日、総務相が説明が不十分なままであれば、日本郵政に対する立ち入り検査を辞さない意向を示したのも、こうした情報開示の不透明さにある。
売却価格について、日本郵政は売却対象施設の総資産を算定し、借金を差し引いた約93億円が純資産価格に当たると説明している。売却予定価格は、これを上回る109億円であり、問題ないというのが日本郵政の立場である。
一方、総務相は「売却価格が安すぎる」などと指摘し、売却を白紙に戻すよう求めている。2400億円もかけた施設の売値が109億円しかないと聞けば、不審を抱く国民は少なくないだろう。
しかし、バブル崩壊後、地価は下がり続けており、建設時の価格を資産価格に当てはめることはできない。事業用施設の売買価格は、いくら稼げるかが算定基準になることも考慮する必要がある。
かんぽの宿で黒字経営は11施設しかない。オリックス不動産への売却は、購入施設を2年間存続させることなどが条件となったことも価格が適正か否かを判断する材料の1つにすべきだろう。
総務相は景気が悪いときに売却を急ぐ必要はないとも批判している。だが、かんぽの宿は全体で年間約40億円の赤字である。仮に売却が1年遅れると、オリックス不動産より40億円ほど高く売れなければ、日本郵政にとって割に合わない計算だ。そもそも売却計画が白紙に戻っても、譲渡価格を買い手が決めることに変わりはあるまい。「安すぎる」と不満でも一番高い値段を付ける企業に売るしか手はないのではないだろうか。
今回、まさにその手段として入札が行われ、最高値で落札したのがオリックス不動産だった。しかし、総務相はこれについても、オリックスの宮内義彦会長が郵政民営化を主張していたため「出来レースと受け取られかねない」などとして容認しない姿勢である。
総務相の疑念をせんじ詰めれば、純資産価格の査定方法と入札の経緯が適正だったかどうかに行き着くように思える。いずれも適正でないなら、看過できない問題であるのは確かだ。
日本郵政は専門家による検討委員会をつくり、譲渡方法について意見を聞く意向を示している。その場で今回の決定に至った過程を具体的に説明し、専門家の意見とともに国民に開示すべきである。かんぽの宿が国民の財産であることを、日本郵政は忘れてはならない。
=2009/02/03付 西日本新聞朝刊=