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2009年1月29日 (木)
「かんぽの宿」譲渡は外資ファンドのバルクセールの手口〜東京新聞1月29日朝刊から
東京新聞1月29日朝刊[ニュースの追跡]で「かんぽの宿」を取り上げていた。今までに各紙が書いていることとほぼ同じ内容なのだが、新しい点は上田清二・埼玉県知事と、「サラリーマン政商―宮内義彦の光と影」の著者のノンフィクションライター、森功さんの談話くらいなのだが、その二つの談話が面白いので、メモしておく。
まず上田清二・埼玉県知事だが、27日に話を聞いた、という。こう激怒した、と書いている。
<「新都心の賑わいづくりのため、他のビルの方々にも協力していただいているのに相談なし。地域を無視している。売るとなれば、150億円の価値があるかも。(一括譲渡の狙いは)ラフレにかんぽの宿をつけたのでは」。ちなみに一括譲渡の落札額は109億円だった。>
<日本郵政のファイナンシャルアドバイザー、メリルリンチ日本証券は一括譲渡方式を提案。これに沿い、日本郵政は昨年4月、入札者を募集し、2回の入札を経て昨年12月、オリックス不動産が落札した。ただ、日本郵政の株式は政府が100%保有しており、かんぽの宿は国民の共有物だ。譲渡には総務相の認可が必要だが今年1月、鳩山総務相は「国民に出来レースと受け取られる」と待ったをかけ、さらに野党も追及姿勢を強めている。>
このメリルリンチ選択の経緯が一つの鍵なのではないか。メリルリンチならば一括譲渡案を作成すると分かっていて、メリルリンチに依頼した疑いは消えない。
<宮内氏は竹中平蔵元総務相と並ぶ小泉構造改革のけん引役で、日本郵政の西川善文社長(元住友銀行頭取)は竹中氏の肝いりで就任している。>
そうかぁ、西川氏は竹中人脈なのか。謎の一つが解けそうだ。つまり、グルだった、と考えれば納得がいくだろう。
<宮内氏側は郵政民営化は規制改革会議のテーマではないと不快感を示しているが、「サラリーマン政商―宮内義彦の光と影」の著書があるノンフィクションライター、森功氏は「郵政民営化は小泉氏の悲願。同じ考えでも口を挟む必要がなかっただけでは」と話す。>
として、森氏の
<「今回の売却は銀行から不良債権を一括し安く買い叩き、個別に回収するバルクセールと呼ばれる外資ファンドが使う手法を駆使してきた。現在の金融破綻は市場原理主義に則った規制緩和の結末。原理主義者だから行き過ぎたともいえる。規制緩和すべてを否定はしない。が、今回の問題を機に立ち止まって考えることは必要だ。>
という談話を紹介している。
森氏の考え方に賛成だ。
規制緩和すべてが「悪」ではない。必要のない既成を残存しておくことは、無駄な公務員にただ飯を食わせることでもあるし、既得権益を貪る層だけに利益を回す、という政治・官僚・業界の「鉄の三角形」維持のためのシステムとなっている。
何度も書いているように、社会的規制を安易に緩和、撤廃することには反対だ。労働規制の緩和がいい例だ。しかし、例えば大型店舗進出を安易に規制すれば、日本は流通業で致命的な遅れを取るだろう。商店街は専門分野に特化した店に転換しなければならないのだ。そこに競争原理を入れるのは賛成だ。だが、その際にセーフティーネットを完備し、倒産する店の家族を一家心中から救わなければ政治とはいえない。
何か、中曽根政権以来、規制緩和という言葉が内要の吟味もないままにアプリオリに「善」とされてきたきらいがあるのも事実である。
確かに今回はいい機会である。立ち止まって考える必要がある。まずは一括譲渡をやめるところから始めてもらいたい。
前にも書いたが、これだけのおかしな点が出てきたのだから、各社の論説委員も前に書いた社説を修正する社説を書いたらどうだろう。「契約をしたからおしまいだ」では警察はいらない。
東京新聞も書いているけれども、1月28日の民主党のヒアリングに対しても日本郵政は施設ごとの資産評価額などの情報開示を拒んだ、という。こういう不明朗な手続きのままで「契約は終了しているのだから」では済まないと思う。