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http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/143086_all.html
かんぽの宿 地元交えた論議が必要(1月26日)
日本郵政の保養・宿泊施設「かんぽの宿」の一括売却に、鳩山邦夫総務相が異議を唱えている。
売却先のオリックス不動産との契約に対する、事実上の白紙撤回要求である。全国七十カ所の施設を地元企業などに個別に売却し、買い手が付かなければ廃止する。そんな対案も示した。
地元には大事な観光資源である。売却方法を俎上(そじょう)にのせるだけでなく、地域の利益を守る視点からの論議を忘れないでもらいたい。
同施設は日本郵政が旧日本郵政公社から引き継いだ。道内には六カ所あったが民営化に先立って廃止・売却され、今は小樽、十勝川(十勝管内音更町)の二カ所となっている。
もともと簡易保険加入者の福利厚生のための非収益事業だった。そのため年間二百万人以上の宿泊利用があっても八割以上の施設は赤字だ。
二〇一二年九月までに廃止か譲渡することが法律で定められ、二回の入札を経て昨年末、オリックスの子会社のオリックス不動産に約百九億円で一括売却することが決まった。
認可権を握る鳩山氏は「待った」をかけた理由の一つに、売却先を挙げている。
オリックスの宮内義彦会長は小泉政権の総合規制改革会議議長などを務め、民営化推進の立場だった。関係企業への譲渡は利益を当て込んだ「できレース」と国民に受け取られかねない。そうした指摘である。
だが「倫理や道徳の問題」というだけで、具体的な論拠は示していない。手続きやオリックス側に問題があるというなら、まず事実関係をつまびらかにするのが先だろう。
鳩山氏は「かんぽの宿は国民共有の財産」と強調する。「地元資本に買ってもらい、地域一体で経営すべきだ」としている。
地元と連携し、より良い施設運営を目指すのは大事なことである。昨春から始まった一連の事業譲渡の手続きでは、地元要望を吸い上げるような手順は設けられていなかった。
日本郵政と地元、それに売却先も加えて話し合う。そうした枠組みをつくってはどうか。所管大臣として指導力を発揮してほしい。
日本郵政は、オリックス不動産への一括売却にあたって「二年間は承諾なしの転売を禁止する」との条件を付けている。
では、それ以降はどうなるのか。オリックス側は施設の運営計画をまとめているはずだが、これも明らかにされていない。
将来の見通しが示されないまま売り渡されては、地元や従業員は不安に思うばかりだ。日本郵政には、売却を急ぐだけでなく、自治体などの理解を得る努力を求めたい。