★阿修羅♪ > 昼休み15 > 304.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/72379
参院予算審議 局面転換の知恵と英断を
2009年1月21日 11:04 カテゴリー:コラム > 社説
参院予算委員会の基本的質疑が2日間にわたって行われ、定額給付金を盛り込んだ2008年度の第2次補正予算案を審議した。
民主党など野党3党は、2次補正とその関連法案から給付金を削除する修正案を提出している。
給付金の撤回を繰り返し求める野党に対し、麻生太郎首相は「いま修正する考えはない」と突っぱねた。衆院審議に続いて、この論議は平行線のままだ。
報道各社の世論調査によると、給付金については国民の7割から8割もが「評価しない」「反対」と回答している。
2次補正が衆院を通過した直後、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)で「ほとんど景気対策の効果はない」「与野党であらためて使途を議論すべきだ」と給付金に批判的な意見が相次ぎ、西室泰三会長が撤回と再検討を求めた。
なぜ財政審がいまごろ反対表明か−という違和感もぬぐえないが、政府の審議会が公然と政府の方針に反旗を翻すのは、極めて異例の事態である。
給付金に反対しているのは野党だけではない。国民の大多数が首をかしげ、政府が審議会委員に選んだ財政の専門家や有識者までが「待った」をかけている。
事ここに至れば、反対の声に素直に耳を傾けるべきだ。少なくとも、立ち止まって冷静に再考すべきではないか。
それでも首相は、正面突破を図る考えのようだ。このままでは、与党が採決を強行し、その後の国会審議が空転した衆院の二の舞いとなりかねない。
与党は23日にも2次補正と関連法案の採決を目指す構えだ。民主党など野党は雇用問題などの集中審議を開かない限り、これに応じない方針を決めた。
仮に野党が多数を占める参院で否決されても、2次補正は衆院の優越を定めた憲法の規定により両院協議会を経て政府原案通りに成立する。しかし、関連法案は、与党が衆院3分の2以上の賛成で再可決に持ち込まねばならない。
参院で野党が採決を拒んで引き延ばした場合、2次補正の自然成立には衆院通過から30日、関連法案の再可決には60日を要する。
「一日も早く予算を成立させることが最大の景気対策」というのならば、給付金を切り離してでも、雇用対策や中小企業の支援策などを実行に移すため2次補正の成立を急ぐべきではないか。
与党内では野党の抵抗を想定して、関税の軽減措置などを延長する「つなぎ法案」の提出や、参院で2次補正の審議中に衆院で来年度予算案を審議する「並行審議」も辞さない構えという。しかし、そんな異例ずくめの国会運営は、不毛な対立と混乱を助長するだけだ。
急がば回れ、という。過ちては即(すなわ)ち改むるに憚(はばか)ることなかれ、ともいう。
大局的な見地から局面転換の知恵を絞り、英断を下すよう首相に求めたい。
=2009/01/21付 西日本新聞朝刊=