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http://www.news.janjan.jp/government/0901/0901185646/1.php
自民・民主党大会―それぞれの不安
田中龍作2009/01/19
政権の座から転落しそうな自民党と、その政権の奪取に走る民主党の党大会が同じ1月18日、都内でそれぞれ開かれた。麻生自民党総裁の決意表明に会場は冷ややかな空気が流れ、ヤジも飛んだ。小沢民主党代表に対しては表立っての反発は出ず、政権取りに向かうとりあえずでも「結束」の勢いが感じられた。
秋までには行われる衆院総選挙で政権を賭けて争う自民党と民主党の党大会が18日、都内で開かれた。各種世論調査で敗北が予想される自民党と政権奪取目前の民主党。それぞれ不安を抱えるが、結束力や勢いにおいて両党の差は歴然としていた。
自民党大会(東京・高輪のプリンスホテル。撮影:上下とも筆者) 東京・高輪の大ホテルを会場にした自民党大会は、各界の著名人なども招き、見かけは華やかだった。だが麻生首相が登壇すると「しっかりやれよ〜!」とヤジが飛んだ。前日(17日)の全国幹事長会議でも、地方議員から「麻生首相は軽率な発言をしないよう慎んでほしい」と厳しい注文がついている。
「景気対策」「年金問題」「雇用」「食料問題」「教育改革」「地方分権」…。麻生首相が「取り組みます」「解決します」と決意表明して掲げたテーマは現在日本が抱えている問題のほとんど全部に及んだ。実際この通りに政策が進められているのであれば、世の中はもう少しマシなはずだ。支持率が20%を割り込む危険水域にまで落ちたりはしなかっただろう。
麻生首相がこれらの政策を「読み上げる」たびに、筆者の傍らにいた「平河クラブ(大手メディアの自民党担当記者クラブ)」の記者は「フン」と鼻でせせら笑った。ヤジ、地方議員からの注文、自民党担当記者の嘲笑は、いずれも麻生首相に対する世間の評価と呼応する。
総選挙が控えており、党内からも首相に厳しい声が相次ぐ。渡辺喜美元行革担当相が「わたり」の容認に業を煮やして離党したのも束の間、消費税増税に反対する議連が複数立ち上がった。こちらの造反は議員の数が多いので執行部も手を焼くことになりそうだ。
「上げ潮派」で消費税増税反対の急先鋒である中川秀直元幹事長は次のように麻生首相の姿勢を批判する。「(消費税増税では)国民の声に謙虚に耳を傾けるべきだ。2011年からと決め打ちするのはいかがなものか。公約を掲げて戦って民意を得てからだ」
片山さつき衆院議員は「国民に痛みを強いる前に『政府もここまでやるんだ』という言葉が五言も十言も欲しい」と厳しい注文をつけた。
小沢代表、オバマ新大統領のチェンジを意識
民主党の会場は東京・港区の旧郵便貯金会館。照明も暗くて狭い。床にひいたワックスの匂いが鼻をつく。事務方は「こちらの財源で都内で取れる所はここしかなかった」と苦笑する。総選挙が先送りになり財政事情が厳しくなっているのだ。
民主党大会(東京芝の旧郵貯会館)
党大会に先立つ地方代議員会議で議長の平野博文参院議員は「会場は狭いですが、『無駄な金は使わずに選挙に賭けるんだ』という意気込みと受け止めて下さい」。
総選挙の立候補予定者は出席しなかった。費用の問題もあるが、小沢代表が「(党大会に出席する)時間があったら、1票でも取れ」と指示したのだそうだ。
政権奪取に向けて今も全国行脚を続ける小沢代表は挨拶のなかで「『人間のための経済』『住民のための社会』を実現するために『環境のニューディール』と『安全・安心のニューディール』を行う」と表明した。20日にアメリカで誕生するオバマ新政権を十分に意識したものだ。日本でも「チェンジ」を目指しているのだろう。
「次期総選挙では単独過半数」の下馬評さえ出ている民主党だが、地方議員からは不安の声も聞かれる。香川県の代議員は次のように不安をもらした――
「地元を歩いていると『(一昨年夏行われた)参院選のマニフェストで書いているようなことを実現できるのか?』『育児手当で本当に毎月2万7千円ももらえるのか?』などと有権者が口々に言う。政権を取った後、どう実現するかが大事」
とは言え、「政権」が目前に迫ったことにより求心力が働き始めたようだ。民主党につきまとってきた分裂の危機は今のところ鳴りを潜めつつある。反小沢グループをまとめてきたある幹部は「もうここまで来たら分裂はないよ。(小沢代表が病気で倒れたら)代表選をやって新しい代表を決めればいい」と語った。いつもの渋面は消え、筆者が知り合って以来この20年間で見たこともない明るい表情だった。