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【中公、多文明大統領オバマ、西洋の母、アフリカの父、イスラムの義父】(オバマと多文明融合国家・日本の使命は重大です)
http://www.asyura2.com/09/lunchbreak15/msg/1035.html
投稿者 小沢内閣待望論 日時 2009 年 2 月 16 日 20:25:00: 4sIKljvd9SgGs
 

http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20090216-02-0501.html
時評2009 ガザ侵攻が示す「文明の衝突」の終わり=細谷雄一
2009年2月16日 中央公論
 二〇〇八年末のクリスマス・イブの日に、ある高名な政治学者が他界した。ハーバード大学教授サミュエル・ハンチントンである。冷戦後に晩年を迎えたハンチントン教授は、その著書『文明の衝突』で世界を騒がせた。九・一一テロ以後はこの「文明の衝突」論が頻繁に言及されたが、ハンチントン教授は八一年間の長い人生に幕を下ろした。これは一つの時代の変化を象徴するように思える。
 
 この日、バラク・オバマ次期大統領は、休暇中のハワイからラジオを通じてアメリカ国民にメッセージを送っていた。オバマ氏は、ハンチントン教授のいう「文明の衝突」を内在的に抱えている。「西洋文明」出身の母、「アフリカ文明」出身の父、そして「イスラム文明」出身の義父。オバマ氏は、「多文明世界」を自らの体内に抱え、「文明間対話」が自らの宿命となっているのかもしれない。なるほど、大統領選挙期間中も、多様な人種のアメリカが結束する美徳を繰り返し語っていた。はたしてオバマ大統領は、世界政治の舞台で「文明の衝突」を乗り越えることができるか。
 
政権誕生を直前に控える中、試練がやってきた。十二月二十七日、イスラエル軍がハマス掃討作戦としてパレスチナのガザに大規模な空爆を開始したのである。舞台を去りつつあるブッシュ大統領は、すぐさま「現状を招いたのはハマスだ」と一方的にイスラム過激派のハマスを批判し、それまでと同様のイスラエル擁護を展開した。これはイスラエルとアラブ世界、あるいは「西洋」と「イスラム」との避けがたい「文明の衝突」を意味しているのであろうか? いや、そうとはいえないのではないか。というのも、そのような単純な構図では理解しがたい要素がいくつも見られるからだ。
 
 まずこれは「古い戦争」であった。一九九〇年代にロンドン大学のメアリー・カルドー教授が「新しい戦争」を語り、さらに九・一一テロを契機に「新しい戦争」という言葉が頻繁に聞かれるようになった。トランスナショナルな「新しい脅威」と戦うのが、この「新しい戦争」の構図であった。ところが今回の戦争は、領土をめぐる血なまぐさい「古い戦争」である。力が政治を動かそうとし、そしてその限界によりイスラエルは行き詰まった。
 
 同時に地政学的なパワー・ポリティクスが、イランの影響力の膨張とともに復活している。スンニ派中心のフセイン政権のイラクが、それまではその「防波堤」となっていたのが、それが決壊したことでシリアやレバノン、そしてイラクにも、イランの影響力が浸透していった。さらにスンニ派のハマスは、一方でその力を借りながらも、イランのシーア派の力の拡大を警戒している。またパレスチナの統治をめぐっては、過激派のハマスと穏健派で中東和平交渉に積極的なファタハが激しい内輪もめをしている。これらの動きは「西洋対イスラム」という単純な構図では理解できない。政治権力をめぐり、「イスラム文明」の内側で、古くさい政治が展開しているのだ。イランの膨張に対する、勢力均衡の構図である。われわれは「文明の衝突」の時代から、十九世紀的な「古い戦争」と勢力均衡の時代へと戻りつつあるのだ。
 
 さらにオバマ政権が誕生したことで、過度にイデオロギー的な、善悪二元論的な、そして過激な言葉で「悪の枢軸」や「イスラム・ファシズム」を糾弾してきたブッシュ政権の外交が幕を閉じた。対照的にオバマ氏は繰り返し、「敵」との対話の必要性を説いている。それはナイーブであると何度となく批判された。だが、あの狡猾なフランスのリシュリュー枢機卿でさえも、四世紀前に次のように語っていた。「すべての国と絶ゆることなく交渉することは、たとえ今すぐ成果を生まなくとも、諸国家の利益のために全く欠くことの出来ないことである」。いまアメリカにおいて、外交が復権しようとしているのだ。
 
 「文明の衝突」が退潮し、「悪」を殲滅させようとするイデオロギーが後退することで、多くの堅実な外交が動き出すであろう。そのようなオバマ政権の外交は、「明るいプラグマティズム」と位置づけられるであろう。もちろん、多くの問題は容易に解決できないはずだ。だがそれに行き詰まったときに、オバマ大統領が世界の舞台で多くの「友人」に囲まれているとすれば、それは新しい世界政治の構図になるのかもしれない。
(ほそや ゆういち 国際政治学者)

 

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