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毎日新聞 9月9日(木)8時20分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100909-00000001-maiall-cn
◇融資の見返りに資源提供「蜜月」→人材育たず雇用も生まず「不満」
経済成長を遂げるアフリカ。資源獲得を目指す中国の投融資が最大の原動力だ。その典型例・アンゴラを先月末、日本政府・企業の代表団とともに訪ねた。そこでは、政府関係者らが「中国依存」からの脱却を模索していた。【ルアンダで服部正法】
建設途上の高層ビルが乱立するアンゴラの首都ルアンダ。急ピッチで進む建物や道路などの建設・工事現場には、「中信建設」「中国江蘇」など中国企業の名前が入った漢字の看板が並ぶ。高級ホテルも建つ中心街ミサン通り周辺では、そろいのオレンジ色のヘルメット姿の中国人土木作業員が大勢行き交い、舗道造りなどを行っていた。中国の存在感は一目瞭然(りょうぜん)だ。
75年のポルトガルからの独立直後から続いた内戦は、30年近くたった02年にようやく終結。荒廃した国土の復興を急ぐアンゴラに真っ先に支援の手を差し伸べたのが中国だった。中国輸出入銀行は04年以降、アンゴラに45億ドル(約3800億円)を融資。別に60億ドル(約5000億円)の融資も指摘され、わずか5年程度で中国から「総額で1兆円近く」(外交筋)の資金を得たとみられる。
見返りに中国が得たのは、サハラ砂漠以南のアフリカで第2位の埋蔵量を誇る石油だ。急成長に伴い石油輸入国に転じた中国と、迅速な援助を強く望むアンゴラの思惑が一致した。中国への最大の原油供給国となったアンゴラは成長の軌道に乗り、02〜08年の実質国内総生産(GDP)の年平均成長率は実に約15%に。一方、アンゴラに進出した中国企業は、融資をもとに道路などのインフラ整備を多数引き受けてきた。
「蜜月」と言えるアンゴラと中国の関係だが、ここ1、2年、変化の兆しが見えてきた。
金融危機を受け、アンゴラ政府は昨年、これまで融資条件などで折り合わなかった国際通貨基金(IMF)からの融資受け入れに合意。「IMFと関係正常化」(外交筋)した形となった。今春には、国際格付け機関から信用格付けを初めて取得した。財政の透明性を確保し、国際社会から幅広く資金を呼び込む姿勢を前面に出したとも言え、「中国頼み」の修正にも映る。
「石油は大きな収入源だが吸収できる労働人口は少ない。重要なのは雇用促進で、非石油部門の農業や建設業がそれに貢献できる」。先月30日、日本の官民合同代表団(団長・藤村修副外相)に、ジュニオール経済相が話した。国際協力を担当するガンボア協力長官は取材に「日本には人材育成の面などで期待したい」と強調した。いずれも中国への言及はないが、「非石油、雇用、人材」のキーワードの繰り返しの裏側には、従来の「中国依存」では、持続可能な成長や「(国民)生活の質の向上」(経済相)につながらないとの認識が透けて見える。
中国の投資・援助の方式に対しては、「雇用創出」や「人材育成」の観点が足りないとの指摘が多い。インフラ整備などで中国企業が大量の労働者や機材を中国本土から持ち込むケースがしばしば指摘される。「中国人が地元の雇用を奪う」(アンゴラ人男性)との批判がつきまとう。人材育成や技術移転にもつながりにくいとみられる。
さらに、インフラ整備などの技術面にも疑問が浮上している。今年7月、中国企業が建設したルアンダ市の病院に倒壊の恐れがあるとして患者らが避難したと報道された。
石油に関しても「パートナーの多様化に取り組んでいる」(バスコンセロス石油相)という。アンゴラには鉄鉱石や銅、レアアース(希土類)など鉱物資源が多数埋蔵され、その全容は把握されていない。
「日本にインフラ整備などで協力してほしい」(ロペス財務相)と期待が高まる。日本は代表団訪問に際し、円借款の供与開始や資源共同開発での協力、「質の高いインフラ整備支援」などを約束した。近年、アンゴラには米露仏などの首脳級が次々訪問している。中国依存脱却が顕著になれば、日本も含め大国の資源獲得競争がさらに激化しそうだ。
◇経済成長に大きく寄与
アンゴラをはじめ、近年のアフリカ各国は、中国との経済関係の緊密化を進めてきた。00年に約100億ドルだった中国とアフリカの年間貿易額は08年に1000億ドル超と10倍に膨らんだ。
この間(01〜08年)、アフリカ全体の実質GDPは平均6%近くも成長。「中国は必要な投資を持ってきてくれる」(カガメ・ルワンダ大統領)と中国の寄与を評価する声が上がる。
一方、大量の中国人労働者の流入のほか、人権抑圧が批判されるスーダンなどに経済協力する中国は、欧米から非難されている。アンゴラも国際NGOから政権の腐敗・汚職や使途不明の石油収入を批判されてきた。
アフリカに住む中国人は約80万人、アンゴラには10万人以上在住するとも推計される。
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