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The Big Zero
By PAUL KRUGMAN
【記事転載元:http://www.nytimes.com/2009/12/28/opinion/28krugman.html?_r=1】
<翻訳開始 引用・豆長者:http://mamechoja.blog22.fc2.com/blog-entry-528.html>
The Big Zero
おそらく、我々は、いくらか無意識、本能的なレベルでは、
忘れたほうがいい時代であったということになるのを分かっている。
理由は、どうあれ、我々は、新たなる千年期の最初の十年間を、
それをどう呼ぶかの合意は無かったが、乗り切った。
経済的観点から、私は、この十年間の過去を、
「ビッグ・ゼロ」と呼ぶことを提案したい。
何も良いことは起こらなかった十年間だった。
信じていたはずの楽観的な物事は、何も本当ではなかったことが分かったのだ。
基本的に、雇用創出は、ゼロの十年間だった。
そして、民間部門の雇用が、実際、減少し、
記録の上では、それが起こった、初めての十年間であった。
標準的な家族にとって、経済的に得たものが、ゼロの十年間だった。
実際、2007年、ブッシュ景気と言われた、その最高潮においても、
インフレ補正した家計所得の中央値は、1999年よりも低かった。
そして、その次に、何が起こったかは、皆さんも知っている。
持ち家所有者は、早期に購入していても、得たものは、ゼロの十年間だった。
今現在、住宅価格は、インフレ補正すれば、ほぼ、この十年間の初めに戻っている。
住宅価格は、理にかなっていないぞ、我々は、巨大なバブルの真ん中にいるぞという警告を、
すべての真面目な人々が、あざ笑っていた、この十年間の真ん中の年に買った人たち。
まあ、あなたの痛みは、お察しする。
アメリカのすべての住宅ローンの、ほとんど四分の一が、
所有者が、自分の家の価値よりも多く借りているという水面下にある。
株式で得たものは、インフレを考慮せずとも、ゼロの十年間だった。
ダウが、初めて、10,000を上回った時、
「ダウ、36,000」みたいなベスト・セラー本が、
良い時代が、ずっと続いていくと、予言した頃の興奮を覚えているだろうか。
さかのぼると、それが、1999年のことだった。
先週、市場は、10,520で終わった。
このように、経済の発展や成功という尺度で測れば、
起こっていたのは、すべて、たくさんの無(ナッシング)だ。
それが、どのようにして起こったのかは、おもしろい。
というのも、この十年間が始まった時には、
アメリカの財界、政界のエスタブリッシュメント(支配層)のなかに、
経済的勝利の圧倒的感覚があったのだから。
我々は、世界の誰よりも、自分たちのやっていることを知っているという信念だ。
今、オバマ政権の経済専門家のトップで、
当時、財務副長官だったローレンス・サマーズが、
1999年に行った講演から引用させてもらうと、彼は、こう言っている。
「なぜ、アメリカの金融システムが、成功しているのかと問われれば、少なくとも、私の歴史解釈では、
一般に受けいれられている会計原則の刷新より 重要な刷新はないということです。
それは、提示された情報を、比較して見ることが、どの投資家にも出来るようになり、
会社の経営陣には、自分たちの活動を報告し、監視するという点で、
課せられた規律があるという意味です。」
そして、彼は、続けて、こう宣言した。
「進行中のプロセスが存在しています。
それが、実際、我々の資本市場を、これほど安定的に機能させているものです。」
つまり、サマーズ氏、公平に言えば、当時、政策立案の立場にいた、
ほどんどすべての者たちが、1999年に信じていたものが、こうだ。
アメリカは、正直な企業会計を持っている。
それで、投資家たちは、良い判断を行えるとともに、
経営陣は、責任ある振る舞いを強いられる。
その結果が、安定して、よく機能する金融システムだと。
このすべてのうち、何%が、本当だったと分かったか。
ゼロだ。
しかし、過去十年について、本当に印象的だったことは、
国として、我々に、自らの間違いから学ぼうという気がなかったことだ。
ITバブルが収縮しても、ほいほいと信じる銀行家たちや投資家たちは、
住宅で新しいバブルを膨らませ始めた。
それから、政治家たちがいる。
オバマ大統領も含め、民主党議員たちに、我々をこの混乱に陥れた行為について、
声を限りに批判させるのは、今でさえ困難だ。
そして、共和党議員ときたら、減税と規制撤廃という自分たちの政策が、
経済的泥沼に、我々を導いてしまった今となっても、
回復のための彼らの処方箋は、減税と規制撤廃だ。
だから、少しも愛着なく、「ビッグ・ゼロ」、
この、何も成し遂げず、何も学ばなかった十年間に、別れを告げよう。
次の十年間は、良くなるだろうか。
By:Paul Krugman
<翻訳終わり>