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ノーベル賞...それは、世界にとっていろいろな意味で一種国力を示す指標のようになっている。ノーベル賞受賞者を輩出する国は素晴らしい国というわけだ。だから、日本でもノーベル賞受賞となれば、大騒ぎとなる。そのノーベル賞の平和賞が今年は米国大統領バラク・オバマに贈られ、現地時間12月1日の受賞演説となった。その演説内容を聴いてみれば、ブッシュが言った先制攻撃、予防攻撃にそれらしい理屈を付けただけのものだ。これまたブッシュと同じく「悪」を持ち出し、ブッシュは米国一国でもやると言ったが、オバマの方は国際社会の協力が必要だと言った。
しかし、大統領選出後のオバマの言動を振り返ると、演説でのオバマの発言は予想されたものだった。イラク撤退と言いながら完全撤退は3年後という長期に渡ってのものだったし、アフガニスタンは「必要な戦争」で実際に3月に第1弾の増派をしたし、今や戦争犯罪として訴追されかねないイスラエルのガザ攻撃についても、そもそもイスラエルから始めた攻撃であるにもかかわらず、自衛権と称してイスラエル支持を打ち出した。
にもかかわらず、ノルウェイのノーベル平和賞委員会は10月にオバマを選出し、授賞式の1週間ほど前にはオバマはアフガニスタン増派の第2弾を発表し、今回の受賞演説となった。どのような理屈が付けても自衛・予防戦争を肯定している人物を平和賞に選出したことは明らかだろう。つまり、世界的権威となっているノーベル賞は、オバマの言う自衛・予防戦争にお墨付きを与えたことになる。
では、ノーベル賞の権威の失墜ともなる今回のオバマのノーベル平和賞はなぜ行われたか?
その理由は、欧米日主要メディアで大きく報道されることはまずないが、この間世界で顕在化してきている大きな地殻変動にあると思える。数百年も前に始まった欧米による植民地収奪、第二次大戦後も生き延びてきた欧米による軍事力・情報支配の時代が終わりを迎えようとしている。この流れを主導しているのは、正しく欧米日により植民地化された、あるいはされかかった中国であり、インドである。オバマのノーベル平和賞選出は、ノーベル賞という世界的権威を使って、この流れに対抗しようとする欧米の姿勢の象徴であり、オバマの受賞演説は戦争をやってもこの流れを阻止するという姿勢の象徴である。
かって欧米日による植民地時代を味わった中国やインド、その他の国々は、その時代の苦渋を都合よく忘れてくれているだろうか。そんなことはないだろう。当時と違い中国もインドも、一方的にやられることのないそれなりの国力を備え、また欧米に多くの人間を送り込み、欧米のやり方を知っているし、情報を持っている。このように見ていくと、幸せなことに、俺たちは本当に歴史的な大転換の時代に生きているのを感じる。
湘南の片田舎から
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