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http://newsweekjapan.jp/stories/world/2009/09/post-549.php?page=1
政治
【世界で一番ハチャメチャな国会はどこ?】
The World's Most Unruly Parliaments
オバマへの「嘘つき」発言なんて序の口。暴言、格闘、何でもありの世界各国の国会事情
ジョシュア・キーティング
医療保険改革法案の早期成立を訴えるバラク・オバマ米大統領の議会演説に、「嘘つき」とヤジを飛ばした共和党のジョー・ウィルソン下院議員に対し、下院は9月15日けん責決議を行った。しかし世界を見渡せば、ウィルソンのヤジとは比べものならないほど荒れた国会はこんなにある。
■韓国
●背景 韓国では、民主主義は格闘技と化す。外交政策から報道の自由にいたるまで、与党ハンナラ党と野党勢力が交わす議論はげんこつ――または議場にある鈍器――を使った戦いで解決されることがある。
●注目の事件 韓国の乱闘騒ぎが初めて国際的に注目されたは2004年、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の弾劾決議案が審議されたときだ。大統領を擁護する議員が、弾劾決議を阻止しようと議会の壇上に居座ろうとした。動かない議員たちを警備員が追い出そうとすると、議員はパンチを繰り出し、物を投げて抵抗し、乱闘が始まった(一方で、何者かが乗った車が国会議事堂の建物に突っ込んだ)。議員たちはその後、ひざまずいて国民に陳謝した。
しかしこれはほんの序の口だ。08年8月にはアメリカとの自由貿易協定の交渉をめぐり、さらなる騒ぎが起きた。ハンナラ党が自由貿易協定に関する法案を議会委員会に提出すると、反対する野党議員がハンマーや電気ノコギリを使って施錠された委員会室に押し入ろうとした。
恐れをなした議員たちは、机や椅子でバリケードを築き、突入しようとする野党議員に消火器で応戦。顔面から流血する議員の姿はテレビカメラを通して世界中に流された。野党勢力が12日間も議事堂を占拠した後、ようやく与野党の和解が成立した。
それでもまだ、流血好きな韓国議員は満足しなかったようだ。今年7月、放送局の民営化を目指したメディア法の改正審議は、またしても乱闘騒ぎに発展した。
■台湾
●背景 議会乱闘の今のトップは韓国かもしれないが、長い伝統を誇るのが台湾だ。その始まりは80年代初頭にさかのぼる。懸案の問題に関して国民党が歩み寄りを見せず、民進党が乱闘を起こすというのがたいていの筋書きだ。そうした騒ぎは、メディアで大きく報道されることがあらかじめ計算されている。民進党にとっては、一種の交渉戦術だ。
●注目の事件 選挙制度の改正や対中政策までさまざまな問題が乱闘を引き起こすが、多いときには50人の議員が殴り合い、靴や水、食べ物、マイクを投げ合う。最悪のケースでは、女性議員の顔を殴った議員が6カ月の停職処分になっている。
05年5月には、中国との航空便開設に関する法案を支持する国民党議員が、法案の書かれた紙を女性議員の口に突っ込む騒ぎが起きた。その数カ月後、ある国民議員が民進党の議員3人に床に押し付けられ、棒でめった打ちにされる事件が発生。この議員は顔面を100針以上も縫うけがを負わされ、入院した。議場に入る前に、議員はアルコール探知機を通るようにすべきだと提案した閣僚もいた。
台湾議会の乱闘はアジアで笑いのタネになり、特に中国メディアは喜んで報道した。08年の選挙に敗北して政権を退いた民進党は、議会での乱闘が台湾のイメージを損なったとして、今後は行わないことを公式に誓った。
■ウクライナ
●背景 04年のオレンジ革命以来、ウクライナ議会は荒れ模様になり、与党連合のオレンジ同盟が親ロシア勢力との喧嘩騒ぎを繰り広げている。
●注目の事件 オレンジ革命以前も議会の混乱はあったが、近年は特に状況が悪化している。06年の選挙で親ロシア政党が勝つと、オレンジ革命派の議員はサイレンを鳴らしたり、卵を投げつけたりしてビクトル・ヤヌコビッチの首相選出を妨害した。殴り合いも起き、政府寄りの議員が議場で投げ飛ばされる一件があった。
最近では08年のNATO(北大西洋条約機構)加盟をめぐる審議で、議員十数人が小競り合いになった。その数カ月前には、ユーリー・ルツェンコ内相が会談中のキエフ市長の顔を叩き、股間を蹴ったばかりだった。ルツェンコは今年、フランクフルト空港で酔っ払って警備員と喧嘩し、停職処分を受けている。
■イギリス
●背景 乱闘騒ぎはほとんどないイギリス国会だが、質疑応答では首相や与党に議員からヤジが飛ぶ。
●注目の事件 トニー・ブレア前首相のように野党との対決するのを楽しめる首相もいる。一方、その顔が「スターリンからミスター・ビーン」に変わる、とからかわれているゴードン・ブラウン首相のように質疑応答が嫌いな首相もいる。
議員からのヤジやブーイングは日常茶飯事で、かなり巧妙に練られた非難も飛び出す。そうした発言を撤回させるのはかなり面倒だが、ある議員が女性議員を「二流のミス・マープル(アガサ・クリスティの推理小説に登場する老婦人)」と呼んで、けん責されたことがある。
オバマへの「嘘つき」発言をめぐってしばしばイギリス議会が引き合いに出されているが、イギリスでも誰かを嘘つき呼ばわりすれば問題視される。首相の質疑応答でウィルソンがそう発言したら、撤回を求められるだろう。しかし、労働党のトニー・バンクス議員がかつてやったように、マーガレット・サッチャーを「セックスに飢えた大ヘビ」に例えるのは問題ない。
■オーストラリア
●背景 オーストラリア議会は、イギリス議会の質疑応答や辛辣な審議スタイルを継承するが、エチケットには少々欠けている。
●注目の事件 オーストラリア政治では、多彩な罵り言葉はある種の芸術と見なされる。その点、ポール・キーティング元首相は文句なしの名人で、反対議員を「クズ」「やじ馬」「口汚い犬」「賢いこじき」「ノータリン」などとこき下ろした。
現首相のケビン・ラッドは、今年2月に洪水の被災地を訪れるために質疑応答をすっぽかそうとした。すると野党陣営は、ダンボールで作ったラッド人形を議会に持ち込み、毒舌を浴びせた。
Reprinted with permission from www.ForeignPolicy.com, 09/2009. © 2009 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.
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(コメント)
市民革命を経ている国はいずれも過激な対応や発言がお好きなようで・・・・テロルでないだけ、まだましか。
しかし、どこの国も上品とはとても言いがたいようで・・・・