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http://www.amnesty.or.jp/modules/news/article.php?storyid=631
法執行官による国際法違反の殺害、暴行、人種差別的な扱いおよび過剰な力の行使は、いかなる状況においても国際法によって禁止されている。しかしながらフランスでは、このような人権侵害が報告されても事実上ほとんど調査が行なわれず、それに関与した者が裁判にかけられることもまれである、とアムネスティ・インターナショナルは本日発表した報告書で述べた。 「警察による虐待が野放しにされている風潮にあって、フランスの法執行官に対する事実上の免責が日常化していることは容認できるものではない」と、アムネスティのヨーロッパ・中央アジア部副部長デヴィッド・ディアスホジョは述べた。 アムネスティの報告書「人民の憤激:法に服さないフランスの警察官」は、警察による虐待や人種差別的、過剰な力の行使に関する申し立てが後を絶たず、また申し立てを調査するための手続きが国際法の求める基準をいまだに満たしていないという実情を非難している。アムネスティは、警察による虐待の被害者およびその目撃者が、警察官に対する侮辱あるいは暴行の罪に問われる事例が増えている、と指摘している。(「憤激」と「抵抗」)。 アムネスティが同報告書の作成過程において調査した多くの事例によると、虐待やその他の人権侵害の被害者にはあらゆる年齢層の男女が含まれているが、少数民族出身者または外国国籍者からの苦情が大多数を占めていることが明らかになった。 「フランスの法執行官は困難かつ危険な任務を遂行しており、個人的に大きな危険にさらされることもある。しかしながら、警察官に不当な行為があった際には、迅速かつ徹底的な、また独立した公平な調査を行なわなければならない」とデヴィッド・ディアスホジョは述べた。 「人びとは自国の警察を信頼する必要がある。しかし現状はそうではない場合が多い。適切な懲戒措置を遅滞なく実施し、犯罪に関わった警察官を公平で独立した手続きによって裁判にかけることを示さなければ、警察に対する信頼は得られない。警察が信頼を回復することが、法律に従って職務を遂行している大多数の警察官の名誉を維持するためにも不可欠である」 警察に対する苦情すべてが正当なものとは限らないが、苦情数と懲戒処分数の差を見ると、調査の徹底性と公平性について疑問が生じる。限定的な情報であるが、2005年に警察監察官が調査した663件の苦情のうち免職に至ったのは16件、2006年における639件の暴力の申し立てに基づく免職はわずか8件であった。また、法執行官に対する苦情の大多数が、裁判にかけられることなく検察によって決着を見ている。 「人びとは苦情を申し立てる権利を持ってはいるが、こと警察に対する苦情に関しては、申し立てを行なったとしても勝算はほとんどない。これは司法制度自体が警察寄りであることによる。被害者の多くは少数民族出身者あるいは外国国籍のフランス市民であり、彼らはほとんどの場合不当に扱われている」と、デヴィッド・ディアスホジョは述べた。 アムネスティはフランス当局に対して、現行の司法制度の改革、ならびに徹底的かつ実効的な調査を実施する権限と組織を合わせ持つ、警察に対する苦情を扱う委員会の設置を引き続き要請する。 「フランス当局は、法に服さない者はいない、ということを確証する方策を打ち出す必要がある。人びとが警察権力を信頼することはきわめて重要なことである」と、デヴィッド・ディアスホジョは述べた。 背景: * 事例研究については, AI Index: EUR 21/007/2009を参照。 アムネスティ発表国際ニュース |