06. 2014年6月21日 14:32:25
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第161回(6月20日):照屋寛徳 議員 自民党と公明党「下駄の雪」はどっちだ 〖写真〗6月17日の与党協議(6月19日付東京新聞より)・http://www5.sdp.or.jp/special/kenpo/img/161teruya.jpg 今日の憲法コラムのテーマは、単なる愚痴や揶揄で論ずるものではない。誤解なきように願いたい。 「下駄の雪」とは、ご存じのように、「力のある者についていく者のこと」と辞書にはある。 語源になったのは、「踏まれても蹴られてもついていきます下駄の雪」といった内容の都都逸(どどいつ)との説もあるが、詳しいことは承知してない。永田町界隈の単なる政治用語かも知れないのだ。 かつて、歴史的な政権交代を経て、民主党、社民党、国民新党の三党連立政権が発足した。その直後から、どうせ社民党と国民新党は民主党の「下駄の雪」だと揶揄された事があった。だが、社民党は米軍普天間飛行場の辺野古移設問題で連立政権から毅然として離脱し、民主党の「下駄の雪」になることを拒否したのである。 一方の国民新党は、「下駄の雪」であり続け、しまいには解党に追い込まれた(もちろん、筋を通して除名された者もおったことを記しておく)。 さて、自民党と公明党、どっちがどっちの「下駄の雪」かを考える前に、集団的自衛権行使容認を巡る自公の与党協議について若干触れておこう。 去る5月17日、公明党の支持母体である創価学会広報室が次のような見解を発表した。 「私どもの集団的自衛権に関する基本的な考え方は、『保持するが行使できない』という、これまで積み上げられてきた憲法第9条についての政府見解を支持しています。 したがって、集団的自衛権を限定的にせよ行使するという場合には、その重大性に鑑み、本来の手続きは、一内閣の閣僚だけによる決定ではなく、憲法改正手続きを経るべきであると思っております。 集団的自衛権の問題に関しては、今後、国民を交えた、慎重の上にも慎重を期した議論によって、歴史の評価に耐えうる賢明な結論を出されることを望みます。」――と。 私は、創価学会員でも公明党議員でもないが、報道で創価学会の見解に接した時は、密かに拍手喝采した。 創価学会の見解発表に対する政府・自民党の反応は、素早かった。 菅官房長官は、「与党協議や政府の閣議決定に影響はない」と語り、自民党石破幹事長も「政教分離だ。公明党の判断に主体性がなくなったとか、支持母体の言うがままだということはない」と記者に述べ、公明党を強く牽制した。 一方で、巧妙な公明党への恫喝、圧力もあった。 去る6月10日、飯島勲内閣官房参与がワシントンで講演し、公明党と支持母体の創価学会との関係について、憲法が定める「政教分離」の原則にあえて触れ、牽制する内容の発言をしたようだ。 飯島氏は講演で、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認をめぐる自民・公明両党の対立にも触れ、こう言及したようだ。 「公明党と創価学会の関係は政教一致と騒がれてきたが、内閣法制局の発言の積み重ねで政教分離ということになっている。」 飯島氏は党と支持母体の関係は憲法の「政教分離の原則」に反しないとする政府見解を説明しつつ、こう続けた。 「法制局の発言、答弁が一気に変われば、『政教一致』が出てきてもおかしくない」(6月12日付朝日新聞)。 私は、創価学会に限らずどの宗派も、憲法第20条が定める「政教分離」の原則を厳守すべきと考える立場だ。 一方で憲法解釈の変更による集団的自衛権行使容認を実現するために、法制局長官の首を恣意的にすげ替える安倍内閣は、「政教分離」の原則に関する政府答弁を変更して、公明党、創価学会を「政教一致」だとして攻撃することを平気でやるだろうと思った。 飯島氏の講演は、与党協議の中で集団的自衛権の行使容認に対し、慎重姿勢を示し、徹底した議論を挑む公明党に対する露骨な圧力、言葉による威迫であり、揺さぶりである。 前記朝日新聞の記事によると、ある公明党幹部は「レベルの低い挑発行為」だ、と反発の声を上げたらしい。私の独り言、「ヤサ ヤサ ヤンドー」(そうだ そうだ その通り)。 自公連立政権下では、三党連立政権下で社民党が揶揄されたように、公明党は自民党の「下駄の雪」だ、と揶揄する者がいる。その一方で小選挙区制にあっては各選挙区での自民党の公明党依存は想像以上であることも動かぬ事実だ。公明党の協力がなければ、約7割位の自民党国会議員は落選してタダの人になる。その意味において、自民党が公明党の「下駄の雪」かも知れない。 私は、「平和の党」公明党に期待したい。集団的自衛権行使容認を巡る与党協議で安易な妥協をして欲しくない。譲れないことは、譲ってはならない。自公連立政権からの離脱や独自路線の確立も視野に、自民党の「下駄の雪」になることを拒否して欲しい。 その与党協議は、実質的な会期末となる6月20日現在、たったの8回しか行われていない。 しかも、与党協議は非公開で行なわれ、会議後にマスコミ向けに発表される概要でしか国民は知らない。国会での与野党のオープンな議論は皆無に近い。 「一強多弱」の国会、有効な野党共闘がつくれない無力状態の野党のやっかみで言うのでないが、この間の与党協議は先述した創価学会生命の「国民を交えた、慎重の上にも慎重を期した議論」にはほど遠い、と批判せざるを得ない。 どうやら、集団的自衛権を巡る与党内合意と閣議決定は、今会期内は無理のようだ。だが、政府・自民党は閉会後も協議を続行し、7月4日を目途に閣議決定し、秋の臨時国会に関連法案を提出しようと目論んでいる。 なぜ、そんなに急ぐのだ。この間の与党協議の中で政府、自民党は、憲法解釈の変更による集団的自衛権行使容認の法的根拠を変えたり、憲法が禁じる「他国による武力行使との一体化」の判断基準として4条件を提示して、3日後には撤回したり、最近では集団的自衛権行使の「新3要件」案を示したりと、与党協議の論点が猫の目のようにくるくる変わる。日替わりメニューのようだ、と批判する人もいる。 とにかく、公明党には「平和の党」として、憲法の平和主義と立憲主義を破壊する解釈改憲に反対し、初志を貫いてもらいたい。 かく言う私は、与党協議に一喜一憂せず、国会内外の運動を大きくつくり上げ、閣議決定による集団的自衛権行使容認に断固として反対する決意をいっそう固めた。 (2014年6月20日 社民党衆議院議員 照屋寛徳) ・http://www5.sdp.or.jp/special/kenpo/161teruya.htm |