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(憲法はいま)日本国憲法、コンビニで 小学館のベストセラー、31年前の姿で第2版
朝日新聞 朝刊(2013年06月08日)
(写真)島本脩二さんと「日本国憲法」。右端が今月発売の第2版=東京都千代田区の小学館
1982年春に発行された小学館「日本国憲法」は、37刷92万部に達する異色のベストセラーだ。近く、初めて版を改め、ソフトカバーになって、コンビニに並ぶ。「改憲機運が高まっている今だからこそ、より多くの人に読んでほしい」。出版人の思いがこもる。
■初版編集者「改憲論議の今こそ」
前文と全103条を大きな活字で組み、漢字すべてにルビを振る。制定経緯や解説をつけない代わりに、見開き写真29葉を織り込んである。表紙の赤い水玉模様が印象的だ。
刊行された82年は、自民党が防衛力増強や自主憲法制定を盛った運動方針を決め、中曽根政権が発足した年だった。
発案者は、小学館の写真雑誌編集部員だった島本脩二さん(66)。病気で休んでいた時「自分の軸ってなんだろう」と悩み、思いついたのが憲法だった。
六法全書を繰って憲法前文を読み、先を見通すような精神に頭をがーんと打たれた。新聞の世論調査で4割の人が憲法を読んだことがないと知り、「日本の原点を写真で読ませよう」と、企画書を書き上げた。
1ページ目は、宇宙にぽつんと浮かぶ地球。前文の前に大きな瞳の写真を置いた。「自分の目で憲法を見よう」との意味を込めた。
「くらしの中の憲法」を表現した、一家4人で温泉に入るヌード写真は話題に。憲法施行の年生まれの夫婦を人づてに探し、説得した。いまどこで、どうしているだろう。
憲法施行35年後の出版。背表紙には「一家に一冊」と刷り込まれた。
最近は、毎年5千部前後が静かに売れていた。昨年春、自民党が本格的な改憲草案を発表。年末には安倍政権が誕生した。自民草案は表現の自由をめぐり、新たな規定を加えた。「公益および公の秩序を害することを目的とした活動は、認められない」
小学館の編集者たちは、言論や出版の自由が脅かされるのでは、と危惧した。同社の「週刊ポスト」は1月、自民草案の問題点を検証する特集を組んだ。
改憲論議が進む中、書籍でも何かできないか。出てきた企画が「日本国憲法」を今の世代に読んでもらうこと。若者向け書籍の販売に力を入れるセブン―イレブンが応じた。
写真や本文の体裁は初版と同じまま。ただ、帯のコピーは、「あなたは読んだことがありますか?」から、「読んでから考えませんか?」に変えた。表紙の水玉は直径を0・5ミリ大きくした。届けたい思いは、より強まっている。
セブン―イレブンの店頭には20日ごろ並ぶ。税抜きで500円、31年前より200円安い。一気に9万部を刷る。
「100万部を超えるのは編集者としてうれしい。でも、この本を再び売らなければならない状況を考えると、複雑な心境です」と島本さんは言う。
日本国憲法は一度も変えられることなく、島本さんと同い年を生きている。
(石橋英昭)
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