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差別と歴史修正主義と憎悪扇動を禁じる法律 (1)【村野瀬玲奈の秘書課広報室】
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-1116.html
『「移民」についてあれこれ』の記事で触れた、外国人嫌悪の表現や人種差別を犯罪行為として禁ずる法律について紹介しておきます。この法律について書かれているフランス版Wikipediaの記事を抜粋・翻訳しますが、事実関係中心に淡々と記述されているので、解釈をめぐる「編集合戦」などはないようです。念のため。
フランスでは法律の提案者、ジャン=クロード・ゲソーの名前をとって通称「ゲソー法」と呼ばれています。ゲソーは1997年から2002年まで社会党リオネル・ジョスパン内閣の運輸相をつとめるなどして、フランスでは知名度のある共産党議員の一人。たしか、(どちらかというと高級な)フランスの写真週刊誌、パリ・マッチ誌で「ご家族訪問」みたいな大きな記事にもなっていたことを私はなぜか覚えています。(^^;
●フランス版Wikipedia
「ゲソー法(Loi Gayssot)」
http://fr.wikipedia.org/wiki/Loi_Gayssot
ゲソー法は、あらゆる人種差別的発言、反ユダヤ的発言、外国人嫌悪の発言を抑制することをねらいとする、1990年7月13日のフランス法、90-615の一般的呼称である。共産党議員のジャン=クロード・ゲソー(Jean-Claude Gayssot)が議会に提出したのでこう呼ばれる。
その第一条は「ある種族、ある国家、ある人種、ある宗教に所属しているかしていないかにもとづくあらゆる差別を禁止する」というものである。
さらに、ニュルンベルク国際軍事法廷の規定に定義され、この規定の適用により犯罪的と宣告された団体のメンバーあるいはそのような犯罪で有罪と認められた者によって犯された、反人道的犯罪の存在に異議を唱えることは違法行為だとゲソー法第9条では規定されている。
アルメニア人虐殺否定論や虐殺総体の否定論へのゲソー法の適用を拡大するために、それ以来いくつかの法案が議会にかけられてきた。
***各国の反人種差別法規、あるいは反・歴史否定論(反・歴史修正主義)法規***
*ドイツ
ドイツは類似の法規を持っている。1985年にドイツ刑法(第130節)に虐殺の規模を否定するあるいは極小化することの禁止が盛り込まれた。刑罰は最高懲役1年となっている。1994年には、憎悪をそそのかすことを禁ずる一般法の中に、ホロコースト否定論が組み込まれた。刑罰は懲役5年にのぼる。
*ベルギー
ベルギーの類似法は、「ムロー法(Loi Moureaux)」と呼ばれる1981年7月30日法である。人種差別や外国人嫌悪によるある種の行為を抑制することをねらいとしている。そこに、第二次世界大戦中にドイツのナチ体制によって犯された虐殺の否定論、被害極小化論、正当化論や賛成論を抑制する1995年3月23日法が加えられ、さらに、差別と闘うことをねらいとする「マウー法(Loi Mahoux)」と呼ばれる2002年12月12日法が加えられた。1995年のベルギー法の拡張は2005年6月に上院で議論されたが、アルメニア虐殺の法的な罪過決定でつまずいた。首相の業務に直接属し、公法による機関である「機会均等・反人種差別闘争促進センター(le Centre pour l'égalité des chances et la lutte contre le racisme)」がこれらの三つの法を適用して場合によっては出廷もすることでそれらの行為を監視する役割を基本的に担っている。
*カナダ
1982年にカナダ憲法の構成要素をなすものとして採択された権利と自由のカナダ憲章は第15条1項で、「人種、出身国、出身民族、肌の色、宗教、性別、年齢あるいは精神・身体の障碍を理由とする差別」を禁止している。第15条2項は、アメリカ合衆国やイギリスでの現行法のような、肯定的差別の方策またはアファーマティブ・アクションによる「恵まれない個人や集団の状況改善のための法律、政策、行動」は逆に許されるとしている。
1975年に採択されたケベック州民の権利と自由の憲章は、「人種、肌の色、宗教、言語、出身民族、出身国」に関連した動機による差別を明文で禁止している。このケベック憲章を守らせる役割を担っているのが1989年に設置された人権委員会と人権法廷という二つの機関である。1982年以降、ケベック州のほかの法律すべては、カナダでこれに相当する憲章と同じく、現存する差別を平等促進政策によって減らすことをめざす方策を規定しているこの憲章を守らせなければならない。
税関に関する法律は、「わいせつ物や、反逆、暴動、憎悪プロパガンダをあおる性質を持つとみなされる物」の輸入を禁止している。
*欧州評議会
「ITシステムによって犯された人種差別的、外国人嫌悪的性質の犯罪行為の告発に関する」サイバー犯罪についての協定に付け加えられた議定条項が2003年1月30日に欧州評議会によって採択され、EU加盟国、オブザーバー国の批准に付された。その第6条は、「虐殺や人道に反する罪の否定、粗雑な極小化、賛同あるいは正当化」と題されている。フランスは2005年5月19日に法規の中にこれを取り入れている。
*「記憶に関する法律」と呼ばれる他のフランス法規
2001年1月29日法は、1915年のアルメニア人虐殺の存在を認定している。
2001年5月21日法(通称「トビラ法(Loi Taubira)」は、奴隷制度と奴隷売買を人道に反する罪として認定することを目的としており、特に、その第2条では、「歴史と人文科学での学校教育プログラムと研究プログラムは黒人奴隷売買と奴隷制についてそれにふさわしい十分な場を与えるものとする」と定めている。
(抜粋翻訳引用ここまで)
この法をめぐる論争や合憲性や判例についての記事も予定しています!