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2009-11-29 06:59:44 以下は「しんぶん赤旗記事情報/G-Search」から検索、貼り付け。 ======================================== 直球勝負で憲法25条/映画「いのちの山河〜日本の青空U〜」/対談/二宮厚美さん/大澤豊さん(しんぶん赤旗) 映画「いのちの山河〜日本の青空U〜」が公開中です。舞台は、日本で初めて高齢者医療費無料化と乳児死亡率ゼロを成し遂げた岩手県旧沢内村(現・西和賀町)。故・深沢晟雄村長のもと村が一丸となって、“生命行政”に取り組む姿を描きます。「日本の青空」につづき憲法に材を得た大澤豊監督と、経済学の立場から福祉国家を論じる二宮厚美教授に、語り合ってもらいました。 「乳児死亡率ゼロ」にホロッと/神戸大学教授 二宮厚美さん
http://ameblo.jp/warm-heart/entry-10399267361.html から転載。
テーマ:電子版にない「しんぶん赤旗記事」
直球勝負で憲法25条/映画「いのちの山河〜日本の青空U〜」/<対談>二宮厚美さん/大澤豊さん
2009.11.20 日刊紙 9頁 一般 (全2,526字)
引き金は後期高齢者医療制度/映画監督 大澤 豊さん
二宮 前作もそうですが、「いのちの山河」も直球勝負の憲法映画ですね。
大澤 直球しか投げられないものですから(笑い)。私の師匠の山本薩夫さんが、直球そのものの監督でしたからね。
二宮 野球に例えますと、深沢村長がピッチャーで直球を投げ込む。それに応えて、村民や役場の職員がヒットを打って返していく。そこが面白い。乳児死亡率ゼロを達成して、保健婦さんたちが万歳して喜ぶ場面などは、ホロッと涙してしまいますね。
命と健康のため政治はあると…
大澤 深沢村長をヒーローとして描くことはしたくなかったんですよ。
二宮 深沢さんは絶えず村民から話を聞き、助役や公務員の意見を採用していく。だから一人の主役が映画全体をリードしている印象はないですね。前作が憲法を生むときの苦しみを描いたとすれば、今作は使うときの苦労でしょうか。しかし憲法を使えば、こんなことができるという原型が描かれていますね。
大澤 沢内は豪雪地帯で病気も多く貧しい。それに耐えることが当然になっている村民の意識改革から深沢さんは始めるんですね。そこがすごい。村を離れていた彼が、戦後、帰郷して、社会教育が全然ないことに気づくんです。
二宮 1950年代の自治体づくりは、国民が主権者だという憲法を根付かせていく上で、社会教育行政が非常に大きな役割を果たしたんですよ。今回、映画を見て、ああやっぱり沢内村もそうだったんだと思いました。全国の小規模自治体が町や村づくりを考える「小さくても輝く自治体フォーラム」が近年話題を呼んでますが、呼びかけ人の首長さんは社会教育の出身者が多いんですね。
大澤 深沢さんは、村長になる前の教育長時代から、組織づくりを通して社会教育を展開し、村民の意識を変えていきます。女性が一番つらい思いをしているから、まず婦人会。その後、農協の青年部や役場の職員組合も。それから村長に就任するとすぐに、村のほぼ全地区から委員を選出して保健委員会を発足させます。その保健委員や保健師さんの地域に根をはった活躍が、医療費無料化や乳児死亡率ゼロ実現の大きな原動力になっていくんですね。
二宮 保健師や医師、教師や弁護士といった専門家や公務労働者は、地域にどう根差し、役割を果たしていくべきか。住民が専門家や公務員の力を使いこなすことで、本物の自治は発展するんです。現在では軽視されていますが、そうした地方自治論の大切さを映画は知らせてくれていますね。
大澤 どうしても映画に使いたかったのが、人間の命と健康を守るために政治があるし、経済開発、社会開発もあるんだという深沢さんの固い信念です。全国に先駆けて老人の医療費を無料化しようというとき、国と県から国民健康保険法違反だと指摘されるんですが、深沢さんは25条を盾に「少なくとも憲法違反にはならない。国がやらないから村がやるんです!」と、決断が速いんですよね。
二宮 命というのは、誕生のときと亡くなるときが一番もろいですね。ほかの動物も、誕生のときは必死に親が守るけれど、葬儀は人間しかしません。老いて亡くなるまでを、きちんと見守り大切にするというのは、人類の証しですよ。高齢者の医療は、その地域や国がどこまで人間的に生命を尊重しているかどうかの試金石なんですね。
大澤 老人の医療費無料化を通じて、家族関係が優しいものになっていく。そんな効果もあるんですよ。
二宮 お年寄りが息子夫婦に気兼ねして病院に行かない、なんてことがなくなりますから。それで沢内村全体が明るくなったという話を、当時よく聞きましたよ。
大澤 たかだか映画ですが、今だからこそ必要な作品をと思って作っています。今回の引き金はまさに後期高齢者医療制度ですよ。
国民運動としてよって立つ基盤
二宮 だいたい世の中おかしくなってくると、高齢者に対して、ものすごく冷たくなりますね。
大澤 深沢さんの言葉ですが、共通の認識にたって団結すれば、人間は相当なことができるんだと。やっぱり怒るときは怒らなきゃいけない。そんな国民的合意を得られる映画になるといいなと思っています。50年も前の足跡ですけど、深沢さんのメッセージは、まさに現代に送られている気がしますね。
二宮 新自由主義的な弱肉強食の時代に送られたメッセージですよね。いま社会保障分野の国民運動は、全体として上げ潮にありますが、その運動のよって立つ歴史的基盤を、この映画のなかで確かめることができますし、今、私たちの社会に25条の思想がどこまで生かされているのか、考えたいですね。
大澤 紆余曲折ありまして、完成を危ぶまれたこともあったんですが、こういう民主的な映画を成功させたいという全国の仲間の温かい心と製作協力資金が寄せられて、完成することができました。
二宮 映画のエンディングクレジットで、製作協力者の名前がずらーっと出てくるでしょ。あれ自体が一つの映画というか、作品そのものの性格を表していましたね。ぜひ最後も見逃さないでほしい。僕はあれを2回見ましたよ(笑い)。
◇12月11日まで東京・新宿武蔵野館(рO3・3354・5670)で上映中。ほか各地で。問い合わせはрO3(3524)1565「日本の青空U」製作委員会
しんぶん赤旗