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以下の文章は会話部分も含めて、 「司法崩壊」著/亀井洋志 *を参考に作成しました。
裁判員制の問題点を論じる前に、参審制、陪審制、裁判員制、についての基礎知識がなければ話
にならない。
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@ 参審制
独、仏、伊など、ヨーロッパ諸国で行われている。名前からわかるように評決権はない。評議は少数の裁判官と市民で、参審員は専門家など、資格要件を持つ市民で、事実認定から量刑の判断まで含まれる。
最高裁が提案していた。
A 陪審制
英、米で行われ、市民は、有罪、無罪の評決のみ、量刑は判断しない。評議は12人の市民だけで行う。議決は全員一致が原則。
被告は、職業裁判官の裁判か陪審裁判かを選択できる。(自白の場合は必然的に職業裁判官となるだろう)
日弁連が当初求めていた。
B 裁判員制
裁判官と共に、死刑を含む、量刑まで判断する。
裁判官3人、裁判員6人、事件によっては、1人_4人。関与するのは、地裁の第1審のみ。
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父と娘の会話
娘;ねえ父さん、裁判員制度が始まったけど、なんか唐突な感じね。
父;そうだな、日本人は司法というと、尻込みするけど、先進国で、市民が
裁判に関与してなかったのは日本くらいだろう。
娘;へえ、司法後進国だったの。
父;戦前には、日本にも陪審制があったんだが、裁判官が気に入らなければ何度
でも評議のやり直しを命じることもできたし、形だけのところもあったんだ。
娘;意味なーい。
父;実際は、ある程度機能してたところもあるんだけどね。
ほとんどやり直し評議なんてなかったし。
娘;裁判員制と比較してみると陪審制の方が楽しそうだと思うんだけど。
父;そうだね、有罪か無罪か決めるだけの方が市民感情には合ってるだろうな。
娘;それに陪審制なら裁判官と一緒に評議しなくてもいいから、自由に感じたこ
とをいえるでしょ?
父;そうなんだ、裁判官が一緒だと、どうしてもその考え方に逆らえないという人
もいるだろうし、量刑を決めるのは、ある程度専門知識がないと無理だろう。
娘;量刑って難しいの?
父;ああ、被告人の生い立ちとか、犯行にいたる経過とか、考慮しなけりゃならない
ことがうんざりするほどあるんだ。
娘;ゲー、アメリカの真似はいやだけど絶対に陪審制ね、裁判員制はやーよ。
父;アメリカでも愛国者法ができて、基本的には気に入らない人は誰でも逮捕
できるようになったんで「自由後進国」だし、組織的に裁判を牛耳ること
のできる裏技もあるらしいからそれは反面教師にして、カルトなどが入り
込む余地をなくさなきゃな。その上で、見習うところは見習えばいいんだ。
娘;自公政府ならアメリカの猿真似が好きなくせにね。きっとアメリカにこの
制度は日本支配に邪魔だからやめろといわれたのね。
きのうテレビで、アメリカの陪審員が満足そうに評議の様子を話してるの
見たわ。
父:日本の裁判員が「評議の経過」など詳しく話したら守秘義務違反で50万
円以下の罰金だよ。
娘:えー、そうなの、じゃあ、裁判官が変に評議を誘導したとかいうことが
あっても誰もわからないじゃないの。
評議の経過もわからないんじゃブラックボックスから判決が出てくるよ
うで怖いわね。
裁判官も評議の様子をしゃべっちゃいけないんでしょ?
父;それはそうだが、裁判官が守秘義務を犯しても罰則はないな。
娘;とことん裁判官に有利になってるじゃない。信じらんない。
裁判官きどりになれていいかと思ったけど、気が進まなくなったわ。
あたしも将来裁判員にされちゃうかもね。
父;どうかな、お前は裁判官の面接ではねられるんじゃないか?
娘;どうして?
父;たとえば、「あなたは、警察官の捜査を信用してますか」
と聞かれたらどうする?
娘;信用するわけないじゃない。ひどい取り調べばかりして、冤罪も多すぎるわ。
父;そうだ、最低でも取り調べの可視化が必要だな。
娘;それって思想信条によって裁判員の採用不採用が決まるっていうこと?
父;面接する裁判官にもよるがな。国会で社民党の保坂議員が質問していたよ。
裁判官面接で「あなたは死刑も求刑できますか」という例文も問題にしてた。
そのようなことは、市民の思想信条の自由に立ち入った質問だって保坂さん
怒ってたよ。
これは国民のプライバシーの問題もあるんだ。
娘;へえ、保坂議員って勉強してるのね。児童ポルノの問題でも、ネット規制、
自由の制限に繋がるって頑張ってくれてたわね。
石原のガキンチョに投票した人って、頭空っぽなんじゃない? 腹立つわね。
ところで、裁判員になりたくて、裁判官に嘘ついたら?
父;30万円以下の罰金になるそうな。なかなか嘘を証明することはできない
だろうがな。
娘;裁判員になりたくなくて嘘ついてもなかなかバレないんでしょ?
嘘つかなくてもいいように裁判員を拒否することができるようにしたら問題
ないのにね。
父;他にも、日本の裁判は、検察官が量刑などが気に入らなければ、控訴できる
という問題もある。
娘;へんなの、裁判員が一生懸命考えて、判決出しても検察が気に入らなければ
チャラになっちゃうじゃない。2審は裁判員制度じゃないし。
外国では違うんでしょ?
父;そう、ダブル・ジョパディーっていってね、2重処罰って意味なんだけど、
認められないんだ。
たとえば、量刑が気に入らなくて、検察が新たな事実もなくて控訴できる
っていったら外国人はみんな驚くよ。日本の司法は前近代的だってね。
娘;上の裁判所で刑が軽くなることはないの?たとえば、裁判員裁判で死刑に
なっちゃたりして被告が控訴した時とかさ。
父;裁判員裁判で死刑になって、上級審で無期とか?…わっはっは、
検察も裁判員もないがしろにしたような判決を上級審の裁判官ができたら、
裸で逆立ちして御堂筋を歩いてやるわい。
娘;なにそれ、ハシゲって人が言ってたんじゃなかったっけ。
それにしても、司法制度改革っていっても形だけねえ。極力被告人や弁護側
に不利で、検察や裁判官の都合良くできてるんだから。
父;形式的民主主義ってやつだ。国民の無知につけこんで上から改革しかできない
ほど日本人の知能は落ちてしまったんだろうかな。
娘:でもさ、最近テレビの影響で、「疑わしきは罰せよ」的な考え方が流行ってる
でしょう?
7割方犯人らしいと思ったら、市民は有罪の判決出しちゃうんじゃないかしら。
父;そう、そういうのは、事前に厳しく市民に説明(認知)する必要があるね。
「疑わしきは原則無罪」なんだから。
おまえ、「ミランダ警告」って知ってるか?
娘;馬鹿にしないでよ、あたしコロンボやらモンクやら、刑事ものは欠かさず
見てるんだから。
「あなたには黙秘権があります。あなたの供述は不利益になる可能性があ
ります。あなたには弁護人の立ち会いを求める権利があります」
ってやつでしょう。
父;そう、日本では疎かになってるね、可視化されてないから。容疑者だけ
でなく裁判員にもちゃんと説明したか後で確認できるようにしないとな。
それに、裁判官だけで裁判すると、出世欲もあるし、検察との日頃の
交流もあるし、疑わしいだけで罰するどころか多分無罪だろうと考え
ても、裁判官自らの将来の為に有罪にすることも多いんだ。
娘;あるある、数えきれないほどあたしも知ってるよ。出世してる裁判官ほど
悪い奴が多いね。
最高裁判事になると良識派は全滅って感じー。
だから、司法改革するのはいいんだけどね。他にも企みがあったんじゃないの?
父:ああ、ハコもの作りで私腹を肥やす意味もあったろうな。
娘;ハコものって、裁判所の拡張とか?
父;そうだ、施設整備費とか器具で、185億円もかけてるし、広告代理店
にも莫大な広告費をかけてるんだ。27億円だったかな。それにかかわ
った人はずいぶんと甘い汁を吸ったんじゃないか。保坂さんが3億円も
不明金があるって怒ってたから。
多くは随意契約だったしね。
娘:CIA御用達の広告会社でしょ。つまり、名前をいえないあの会社がずい
ぶん儲けたんでしょうね。
テレビで、裁判員制度反対の人にインタビューしてたけど、その人は、
なぜ反対するのか聞かれて 「市民の負担が増えるからおかしい」
とか答えてたわよ。その程度の批判しか国民は知らないのね。
父;国民の負担が増えるとかいう批判は、わしはあさはかだと思うな。だいいち
賛成派の人に対して説得力がないし、司法官僚の独裁的な力をこのまま放任
していい訳はない。司法改革自体は
必ずやらなければならないんだ。
それに、司法を監視することは市民の義務だと思うよ。ある程度は市民も司法
に関心を持って認識を高めることも必要なんだ。
だけど、思想信条で裁判に参加しない主義の人もいるし、強制は駄目だろうな。
娘;テレビも本質的な批判を放送するのは御法度なのかしらね。
日弁連だって最初は陪審制を主張してたのにいつのまにか裁判員制を容認して
るね。地方の弁護士会は反対してるとこもあるのに。
父:日弁連に対する最高裁の攻撃は前からかなりやられていたんだ。結局最高裁に
取り込まれてしまった。まともな弁護士は出世できない仕組みが出来てきたの
かもしれないわな。
娘:日弁連も自治崩壊で権力のお犬様ってか?で?攻撃ってどんなの?
父;オームの麻原裁判があったろう………
父娘の対話はまだまだつづいた。