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軍事大国である米国の恣意を封殺する力を国連に持たせる必要がある。その為には国連の構造改革が喫緊の課題であると言うこと。
歴史的に見て、米国の対外政策はあくまで米国の国益だけを最重要視して決定されてきた。その為には他国民のみならず、米国民の犠牲も止む無しとされてきた。勿論、他国・他国民の真の繁栄・幸福を希求するものではなかった。
日本の場合、占領国米国は、新生日本の真の民主化を希求するのであれば、民主主義や政教分離と基本的に相容れない君主制(天皇制)を廃止して、世界に誇るべき平和憲法制定に寄与するべきであったし、その力を持っていたにも拘らず、占領政策にエネルギーを割くことを避けて、天皇を利用する道を選んだ。因みに現在の、日本の国家組織形態・統治形態は、君主制と議会共和制の妥協形態である。
ここに、終戦直後の日本国民の忌憚の無い気持ちとして、日ソ中立条約を一方的に破棄して満州に侵攻し、在満邦人に対して、殺人・強盗・強姦等、狼藉の限りを尽くしたソ連軍に比ぶれば米軍のほうがはるかに紳士的であり、ソ連軍に占領されなくて良かったと感じたのも偽りのない真実であった。なお、在満邦人を守るべき関東軍司令部の幹部は在満邦人を置き去りにして、いち早く満州から遁走したことは周知の事実である。
更に、当時の日本国民の精神的な支柱であった昭和天皇(1901〜1989)が、自ら終戦を宣言し、その後、天皇は神ではなくて天皇も普通の人間であると宣言したことは、米軍の日本統治を理想的に行わしめる結果を招来したことも事実である。これにより、日本を二度と米国に対抗出来ない国にするという占領政策は見事に成功した。
然しながら、その後の朝鮮戦争の勃発により、米国は自ら押し付けた平和憲法を自らの手で冒涜するに至った。米国の覇権主義はこともあろうに、憲法9条に違反して日本政府に事実上の軍隊(自衛隊)の保持を要求するに至った。この違憲状態は今日に至るまで継続されている。
実定法は道徳の理念によって規定され且つ道徳と結合したものである。実定法の最高位に位置づけられた憲法は国家の最高規範でもある。国家における統治作用並びに国民の行動は、憲法に準拠して行われなければいけない。
終戦に際して昭和天皇(1901〜1989)が最高戦争責任者としての責任を取る事無く、その後人間宣言をしたことで、国民は精神的な支柱の一つを失ったが、違憲状態の継続は、国民に更なる精神的な支柱の喪失をもたらした。その結果、芯のない箍(たが)の緩んだ社会が醸成される事となった。つまり、倫理・道徳が崩壊した拝金至上主義の社会・国家を誕生させる結果となった。
以上は日本の場合の例示であるが、米国の対外政策は全て、米国の国益のみを最優先させて、米国のご都合主義だけで、世界各地で行われてきたことは周知の事実である。その後この米国の姿勢はエスカレートして、国連を無視して、つまり、世界の世論に逆らってまで、イラク戦争を強行するに至った。
その背後には、軍産複合体の利権と石油利権とが絡んでいることは論を俟たない。軍産複合体の米国は、需要創造のための公共事業として戦争を必要としているが、日本は必要としていない。因みに、会社四季報末尾の株価チャートで、湾岸戦争(1991年1月17日開戦)、イラク戦争(2003年3月20日開戦)後の、NYダウ平均と日経平均のチャートを比較すればその差は一目瞭然である。
大量破壊兵器の最たるものである核兵器を、イスラエルは所持しているにも拘らず米国はこれを黙認する一方で、イラクには執拗に大量破壊兵器の破棄を迫る二律背反行為を平気で強行してきた。
そもそも自国は大量の核兵器を所持しながら、他国には核兵器の所持を認めないという発想そのものが、米国の傲慢さを如実に示している。
この自国の国益だけを追求して止まない米国の姿勢が、アラブ諸国民の心底に反米感情を根付かせた根本の原因である。
因みに、現在の核保有国は、米国・ロシア・英国・フランス・中国・イスラエル・インド・パキスタンの8ヶ国であるが、米国・ロシア・英国・フランス・中国の5ケ国は、国連の安全保障理事会の常任理事国である。
第一次大戦後成立した国際連盟よりも第二次大戦後成立した国際連合のほうが、世界平和目的達成へ、より一層機能してきたことは周知の事実である。然しながら、軍事大国である米国の恣意を封殺する力の無い事も周知の事実である。国連の構造改革が喫緊の課題とされる所以である。
http://www12.bb-west.ne.jp/matuoka/