★阿修羅♪ > 憲法3 > 201.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
政府が国債を発行して借金をすれば、子孫に返済の重荷を負わせる事になるという議論は間違いであると言うこと。
経済音痴の小泉総理は論外として、マクロ経済学の動的部門を理解出来ない竹中平蔵金融・経財相が、ミクロ経済学の従来の手法で、消費を抑制して需要を低減させるが如き構造改革を強行すればする程、デフレスパイラルが益々加速して、日本経済は破滅する事必定である。生産性向上、競争力強化ばかり強調して、消費促進の政策手段の検討が置き去りにされてはいけない。誤った国債発行に係る財政赤字亡国論や過剰なインフレ罪悪論を払拭して、経済成長、失業率抑止の政策を優先させるべきである。
今日の日本の財政赤字の累積は、2003年10月現在で、国・地方合わせると700兆円を超えると推定されるが、日本のGDPが500兆円程度であることを考えると、累積赤字の数値が如何に大きいかが分かる。通常であれば、これだけ巨額の財政赤字があれば、インフレになったり、高金利になるという形で、市場から警告が発せられるはずであるのに、未だに混乱が起きない理由は、個人の金融資産が1400兆円もあることによってである。そのために、インフレになるべきところが、現実はデフレが生じ、高金利になるところが、現実は超低金利という、異常な事態が発生している。つまり、政府が巨額の赤字を抱えていても、管理通貨制度が日本国家の信用によって担保されているため、高金利にもインフレにもならずに済んでいる訳である。
因みに、我が国の財政赤字700兆円は、政府の国民に対する債務であるが、反面国民の政府に対する債権でもある。よってマクロ(巨視的)経済学の立場から捉えて見た場合には問題は無い。最悪の場合の窮余の解決策としては、日銀が国債を全て買い上げてのち、緊急避難的措置として、特別法を立法して、日銀の政府に対する債権を放棄させれば解決する。日本国家の国力つまり信用さえあれば、管理通貨制度の今日、若干のインフレ懸念はあるが、基本的には日本経済の破綻を招来することはない。
勿論、資本主義のマーケットにおいては、「借りた金は返す」「真実を公開する」などの規律が必須不可欠である。厳しい規律の基で、自由に競争してこそ資本主義は有効に機能することは論を待たない。債権放棄は正に資本主義経済の規律違反であり、モラルハザードそのものである。よって、正攻法で、あらゆる方策を講じて、徐々に財政赤字を減らす努力を、経済大国日本の名誉をかけて成し遂げるべきである。経済の浮沈は、あって当然であり、日本国民の勤勉性が担保されている限り、過去の歴史が示すとおり、将来的には心配の必要はない。
一般論として、国家の債務は徴税権と通貨発行権によって担保されているので、国家権力の及ばない外国人・外国法人に、外貨建てで借金をしている場合以外は、デフォルト(返済不能)になることは有り得ない。因みに日本国債は、その94パーセントが日本国内で保有されている。従って日本政府はいつでも徴税権と通貨発行権を行使して、借金をチャラにする事が出来る。然しながら大増税によって借金を一掃することは政治的に不可能であるので、上述の日銀の政府に対する債権放棄と言う非常手段以外の残された道は「インフレ目標設定」以外には無い。(提言8・提言11参照)
家計や企業は貨幣の発行権がないので、借金が増えると破産するが、政府は国民の信託に基づいて、必要なだけ貨幣を発行することが出来る。管理通貨制度下においては、国民の勤勉性や技術力に基づく国家の実力が担保されている限り、国債の発行高が増加しても国家財政が破綻する心配は無い。
よって、政府が国債を発行して借金をすれば、子孫に返済の重荷を負わせる事になるという議論があるが、それは誤りである。これは、家計と財政という性質の違ったものを混同している。家計であれば、親が借金をすれば、子供は限定承認若しくは相続放棄をしない限り返済の重荷を負うことになる。だが国が国債を発行し、それを現在の親が買えば、子孫は国債という資産を持つ事になる。基本的には、借金ではなく国債という金融資産を相続する事になる。換言すると、財政赤字が拡大したと言うことは、国家が国債の増発などで資金を調達し、その資金を公共事業などのかたちで国民に再分配したことに他ならない。
国債とは、形を変えた貨幣の発行高であり、子孫に負担を残すものではない。国債は日銀の通貨発券高とするように財政法・日銀法を改正するか若しくは特別法を立法すれば、国債は借金ではなくなる。
小泉政権が「財政赤字は国を破壊するので、歳出を歳入に合わせる健全財政主義を執るべきである。過大な国債発行は子孫に負担を残すものである。」との愚論を墨守して改めようとしないのは、マクロ経済学の動態的な財政バランスの必要性を理解出来ない勉強不足の証左である。
つまり、必要なだけ国債を発行して不況対策に使えば良いのである。30兆円の枠に拘る必要は全く無い。小泉政権に期待しても夢の亦夢ではあるが、例えば、国債200兆円を発行して、社会福祉に重点を置いた大型補正予算を組めば、今日の不況は終息に向かい、円安・インフレとなり景気が上向いてくる。一方、自己資金が脆弱な金融機関へは公的資金を注入して自己資金を充実させて後、ペイオフの全面実施を断行する。
ペイオフの全面実施により、投資に向けられることなく、郵便貯金や銀行預金等に徒に眠っておる個人金融資産1,400兆円を債権や不動産投資市場へ直接呼び込むことができるようになり、日本経済の抜本的な活性化が実現できることになる。即ち、株価・地価も上昇且つ安定して、不良債権処理も速やかに完了させることが出来る。需要が増えて企業活動も盛んになり雇用も促進される。
そもそも、バブルのきっかけはプラザ合意(1985年9月)に基づく円高ドル安政策である。その結果招来した円高不況対策として日本銀行は公定歩合を引き下げた。バブル崩壊の原因は、ドル安をストップさせる目的のルーブル合意(1987年2月)に在る。当時日本国内では資産インフレが進行しており公定歩合を引き上げるべきであったにも拘わらず、ルーブル合意に基づいた低金利政策を継続した政府や日銀の失策がバブル崩壊を招いたものである。何れも米国の意向を尊重した結果である。
日銀の公定歩合は、1987年2月から1989年5月までの間、2.5%という低金利を継続した結果、日本国内に資金があふれ、株や土地の購入に向かって、日本経済のバブルを作り出した。そして遂に1989年12月29日、日経平均終値38,915円を頂点にバブルは崩壊した。
バブル崩壊の反動は、国民の貯蓄性向を異常なまでに高め、その結果日銀の公定歩合は2001年9月以降0.1%という超低金利であるにも拘わらず、個人金融資産の不動産や株式離れを徹底的なものにしてしまった。これが今日のデフレスパイラルを招来した原因である。
よって今度は日本が主体となって、先進7ヶ国の蔵相会議G7による、日本の円安・インフレ目標を設定且つ宣言する内容の「丸ビル合意」を成立させるための外交努力が、日本政府に強く求められる所以である。日本が世界経済牽引のリーダーシップを執るべきチャンスでもある。(提言8・提言11参照)
2003年4月28日の日経平均はザラ場で、安値7,603円を付けた。今日小泉総理が採るべき策は、「健全財政主義を放棄する。従って30兆円の枠を外す。必要な額の国債を発行して大型補正予算を組んで景気回復を図る。」と宣言することで、総需要不足の桎梏から日本経済を抜本的に立ち直らせる以外には無い。
2003年10月現在日経平均はようやく、1万円まで回復したが、これは偏に外国人投資家の買い越しと、日本企業の経営努力による業績拡大に起因するものであり、小泉政権がデフレ助長政策さえ採らなかったら、現在2万円迄は確実に回復していたものと思料される。(本稿2003.10.)
http://www12.bb-west.ne.jp/matuoka/