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http://www.hokkaido-np.co.jp/news/fourseasons/169969.html
卓上四季
九条の会(6月7日)
壇上の遺影がほほ笑みかけていた。平和憲法を守ろうと各地で活動する「九条の会」。呼びかけ人の1人で、運動をけん引したのが昨年12月に89歳で亡くなった評論家の加藤周一さんだ▼東京・日比谷公会堂で2日開かれた追悼講演会。北海道から沖縄まで2千人以上が集まり熱気にあふれた。作家の井上ひさしさんは加藤さんの思いを「戦争で死んだ友だちを裏切らない」と語った▼「(死んだ)彼が決していわなかったであろうことをいったり、彼が黙っていなかったろうことを沈黙したりということは、したくない」。加藤さんは「私にとっての20世紀」でそう記した▼国家に強いられた友人の理不尽な死。戦争への怒りが「九条の会」結成につながった。晩年はユーモアを交え「老人と学生の同盟」を力説した。人生には2度自由の山がある。就職前の学生時代と定年退職以後▼「2つの自由な精神」の共同・協力が日本社会を変える力だ−と。それは、なし崩し的に進む憲法9条の空洞化への警鐘だったろう。米国一辺倒の外交と自衛隊の相次ぐ海外派遣。政府の政策に対する社会の批判力の衰え。若い世代に奮起を促した加藤さんにどう応えるか▼会場では大勢の人たちが運営費をカンパした。千円札と百円硬貨の入った封筒にはこう書かれていたそうだ。「小銭は子どもの小遣いからです」。志は世代を超えて引き継がれていく。