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株式日記と経済展望
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このような深刻なクライシスでは、初動の24時間がすべてを決める。たぶん
視察の前後5、6時間に渡ってベントを遅らせたんじゃないかと思います。
2011年4月8日 金曜日
◆「福島原発」対論 手嶋龍一×阿部重夫(上) 4月7日 月刊FACTA
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110407-00000000-facta-pol
手嶋 阿部さんは冒頭で「パニックこそ起きなかったけれど」といわれました。パニックを起こしていないのは、被災地の一般の人々です。一方で日本の政治指導部と東電は、浮足立って、決断する機能がメルトダウンしかけています。冷静沈着な民衆とパニック寸前の政治指導部。まことに奇妙なギャップを抱える構図になっています。
従来、日本に厳しい論調を張ってきた国のメディアすら賞賛の声一色です。これほどの災厄を蒙りながら、英語でいうselflessness、私を虚しうして、隣の人の命を気遣う。こんな国はやはり世界では稀な存在といっていい。同時に、日本の政治指導部は「神の火」といわれる原子力をコントロールできるのかという疑いの眼差しが向けられています。
阿部 福島原発は東京から240キロ離れていますが、これほど東京都民及び首都圏の住民に不安を与えた日々はありません。枝野官房長官が会見するたびに、水の買いだめに走ったり、急遽自宅待機を会社から言われて電車に殺到したり、小さな形でのパニックは起きていました。政府の発表や情報開示は、いくら緊急事態とはいえ場当たり的に聞こえます。説明の内容も充分意を尽くしていない。計画停電等の不公平さもあります。誰が何をどう決めているのかさっぱりわからない。20日間たって住民の方々に残ったのは政府への不信感でした。
手嶋 一般の方々の指導部不信の内実を検証してみましょう。3月11日の午後にマグニチュード9の地震が発生。その日の晩には福島原発で異変が生じはじめました。
阿部 11日の夜の段階で、原子炉の冷却装置の大半が作動しないことが明らかになっていました。にもかかわらず、東電側になお意思決定を委ねていたことが最大の錯誤といっていいでしょう。原発では事故が発生するとまず、核燃料棒に制御棒を入れて運転を止める。次いで、原子炉を冷やす。そして放射能を閉じこめて漏らさない。このプロセスが肝心です。今回、大地震が起こった段階で制御棒が降りてきて、原子炉の運転は一応緊急停止しました。しかし、続く「冷やす」と「閉じこめる」ことは、非常用電源がとまってできなくなってしまいました。
手嶋 このような深刻なクライシスでは、初動の24時間がすべてを決める。今度の福島原発の事故でも、11日夜の段階で原発の制御システムが機能不全に陥ったことが明らかでしたから、最大限の危機管理体制が敷かれてしかるべきでした。79年のスリーマイル島事故や86年のチェルノブイリ事故のケースをみてもそう言えます。
阿部 今までの原発災害の想定を超えているのですから、マニュアルに従ったクライシス・マネジメント(危機管理)ではない有事の対応が必要なはずでした。
手嶋 残念ながら、現実にはそうした対応はとられませんでした。もし11日夜の段階で政治指導部が精緻に情勢を認識していれば、翌12日の朝、菅直人総理が官邸からヘリコプターで現地を視察することなどなかったはずです。
阿部 29日に国会で久しぶりに菅総理は答弁に立って、首相視察によって初動態勢が遅れたことはないという弁明をしました。燃料棒の冷却ができず、炉の温度が上昇していくのを押さえようと、放射性物質を含む水蒸気を放出するベントを、視察前の段階ですでに指示していたからというのです。菅首相自身は気がついていないが、これは重大な矛盾をはらむ答弁です。
放射能が外に出るベントを実施する現場に総理大臣がいるなどということは、国家の中枢を放射能汚染のリスクにさらすことに等しい。仮にそれでも行くのなら、最低限、防護服を着なければならないでしょう。あのときの写真や映像を見れば明らかなように、菅首相は防護服を着ていない。ただの防災服です。首相がいる間はベントをやらないということでしょう。そこは東電が配慮したわけで、たぶん視察の前後5、6時間に渡ってベントを遅らせたんじゃないかと思います。
手嶋 民主党政権の総理や官房長官がヘリコプターを仕立てて現地視察をする時には心せよ、政治判断を誤る不吉な前兆となるーーこう申し上げてきました。鳩山内閣の平野官房長官が沖縄の米軍基地を上空から見たのがその一例でした。上空から見物したところで、適当な移転先が見つかるはずもありません。現状に対する甘さが露呈していました。
今回の菅総理の現地視察も、とりあえず自ら陣頭指揮を執る姿勢を示そうとしたのでしょうが、ここは官邸で全体状況を把握し、東電側にクライシス・マネジメントを委ねることなく指揮をとるべきでした。
阿部 菅総理が視察から帰って、東京で水素爆発の一報をきくわけですね。その時間のロス、初動の24時間内に総理大臣が現地視察することによって、東電側がベントを遅らせたのだとしたら、総理の責任は非常に重大です。「私によって遅れたわけではない」という答弁自体が今後、大問題になると思いますね。(後略)
(私のコメント)
福島第一原発災害の指揮は誰が取っているのだろうか? 小さな事故なら東京電力でも対応ができるが、自衛隊や消防署などが協力しなければならないような大事故は、国が指揮を取らなければ対応が出来ない。しかし原子力保安院か原子力安全委員会が指揮を取るべきなのでしょうが、保安院のメンバーは現場から離れて安全な所にいってしまった。
菅総理が東京電力の本社に乗り込んで社長を怒鳴りつけるような事をすれば、東京電力はますます萎縮して対応を間違えるだろう。つまり菅総理もヘリコプターで視察したり社長を怒鳴りつけたりと、してはならない事をして災害を拡大してしまったようだ。手嶋氏が言っているように初動のまずさが災害を大きくしてしまった。
電気が全停電してしまえば、冷却システムが働かなくなり炉心から水が無くなりメルトダウンを起こす。しかし10時間近く東京電力は何もした形跡が無い。すばやく危機管理体制をとって、ベントして海水でも流し込むべきでしたが、ベントが遅れて水素爆発を起こしてしまった。さらに東京電力はパニック状態となり1号機、2号機、3号機とトラブルが発生して、3号機も水素爆発を起こし、4号機も休止中でしたが使用済み燃料棒が過熱してこれも水素爆発をしてしまった。
唯一有効だったのは海水で炉心を冷やしたことぐらいですが、後は全て後手後手に回ってしまった。全停電を前提とした対策マニュアルも無かったのだと思いますが、保安院も原子力安全委員会も何重もの安全策が取られているとして国会では答弁していた。しかし大地震が起きて津波が来て全停電になってしまったのであり、その事は国会でも指摘されていた。
結局は保安院も原子力安全委員会も間違っていたのであり、責任を取らねばなりませんが、無能な専門家と無責任な官僚が組み合わされれば、大災害はこれからも起きるだろう。本来ならば専門家の助言に従って総理が指揮命令すべきなのですが、菅総理は政治パフォーマンスを優先してしまった。そして東京電力に対応を任せた結果が水素爆発だ。
福島第一原発の周辺住民に対する避難指示も二転三転して混乱させていますが、現場も官邸も混乱をして適切な対応が取られなかった。水素爆発は放射能を周囲に撒き散らかして放射線の値は400ミリシーベルトにもなり近寄ることも出来なくしてしまった。結局は自衛隊の放水車と消防庁の放水で最悪の事態は止められましたが、今度は放射能汚染した水が流れ出る結果になっている。
危機的な状況になると大戦末期の政府と同じような行動を取るようになり、手嶋氏が言うように「人々にいたずらにパニックを引き起こさないよう、問題の核心、そして真相をストレートに伝えないのは、やはり間違いでしょう」と事態を隠すようになる。水道水の汚染も野菜の汚染も発表が遅れて国民を疑心暗鬼にさせてしまった。
水素爆発で放射能が広く撒き散らかったのは明らかであり、風向きによっては30キロ以遠も放射線の値が大きくなっているだろう。しかし今ではちょろちょろと水蒸気となって出ているだけであり、20キロ以内でも放射線の値は低くなっている。だから同心円状に避難区域を設定するのは間違いであり、一時立ち入りも認めるべきだろう。
政治家にしても官僚にしても、最初の判断を間違えると自己保身に走って更なる間違いを犯してしまう。菅総理は次々と対策本部を立ち上げて、一体誰がどこの対策をしているのかが分からなくなっている。海外に対する情報公開も満足に行なわれていないから、世界中に流言飛語が飛んで日本製品がボイコットされている。
優れたトップリーダーがいる時は、大災害も戦争も起きなくて平穏無事なのですが、無能なトップリーダーがいる時に限って大災害が起きたり戦争が起きたりする。村山内閣の時にも阪神大震災が起きましたが、初動がすばやく行なわれていれば被害を最小限にすることが出来ます。菅総理の対応も現場を混乱させただけであり、それが水素爆発に繋がってしまった。
大震災とは関係がありませんが、ロシアのメドベージェフ大統領の北方領土訪問も菅総理の初動のまずさが招いたものだ。このときも駐ロシア大使を怒鳴りつけたということですが、これでは外務省もそっぽを向くだろう。民主党内も菅総理でやっていけるのか疑問の声が出ていますが、10日の地方統一選挙で民主党を大敗させるしかないだろう。
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