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東京大学地震研究所
2011年3月 東北地方太平洋沖地震
2011年3月11日14時46分,三陸沖から茨城県沖にかけての太平洋沿岸で,マグニチュード9.0(気象庁による;3月13日に8.8から修正)の非常に大きな地震が発生しました.7mを超える津波が観測され,甚大な被害が出ています.被災地の皆様はじめ多くの犠牲に,悲しみ・無念にたえません.
この地震の影響で各種の観測データへのアクセスが困難になっていますが,地震研究所からわかる範囲のこと,また,サーバ等の不調で情報発信ができない機関の情報をあわせて,このウェブサイトで更新してまいります.
※ 地震に関連する模式図などは『画像集サイト』で公開しています
http://outreach.eri.u-tokyo.ac.jp/eqvolc/201103_tohoku/
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基本的な情報(震源の位置・規模,津波に関する情報は気象庁による)
■震源の位置:38.03N, 143.15E,深さ10km
■モーメントマグニチュード: Mw9.0(3月13日にM8.8から気象庁が修正)
■関連するプレート: 太平洋プレートと北米プレート(オホーツクプレート)
■地震のタイプ: プレート境界地震
■震源のメカニズムのタイプ: 低角逆断層(ほぼ東西の圧縮軸)
■観測された津波の高さ: 相馬7m以上,大洗4.2m以上など
よくある質問(3月17日更新)
■3月12日には長野県で,15日には静岡県東部で地震が起きていますが,11日の東北地方の地震と関係がありますか?
■関係がある可能性があります.東北地方太平洋沖地震はM9.0の巨大地震でした.日本列島が乗っている陸のプレートもこの地震の影響を受けていますから,地震活動が活発化する地域もあると考えられます.今後しばらくはこういった地震にもお気をつけください.(気をつけるポイントは『東京消防庁 地震に備えて』などをご参照ください.)
■静岡県東部の地震は東海地震に影響を及ぼしますか?
■3月15日の静岡県東部の地震は富士宮市付近で起きました.この地域から駿河湾にかけては富士川河口断層帯という活断層があり,この活断層と想定東海地震との関連性が指摘されています.しかし,今回の地震が直ちに東海地震を誘発するかどうかは検討が必要です.この検討が3月16日夕刻から地震調査委員会臨時会で行われ,「ただちに想定東海地震に結びつくような異常な地殻変動は観測されていない」との見解が示されました.(地震調査研究推進本部:『2011年3月15日静岡県東部の地震の評価』)
■東北地方や関東地方の火山活動が活発化していると聞きましたが,本当ですか?
■本当です.大きな地震の後に周辺の火山の活動が一時的に活発化することはよくあります.今のところ,これら火山の活動も終息に向かっていますが,引き続きモニターをおこないます.
■想定されていた宮城県沖地震とは何ですか?
■宮城県沖のやや陸寄りの海域で繰り返し発生する大地震.マグニチュードは7.5程度,繰り返し間隔はおよそ30年と考えられている.最近では1978年6月12日にM7.4の規模で発生し,死者28名を出しました.
■今回の地震はこの宮城県沖地震ですか?
■マグニチュードが大きく異なるので,宮城県沖地震単独ではありません.宮城県沖の他に,福島県沖,茨城県沖,岩手県沖までが震源域となっていると考えられます.→震源過程インバージョンを参照.
■また,この地域では,869年に貞観(じょうがん)地震と呼ばれるM8.3の巨大地震が起きたことが,津波堆積物などの調査からわかっています.
■東北地方太平洋沖ではどのような地震が起きることが考えられていたのでしょうか?
■地震調査研究推進本部による宮城県沖地震の長期評価には,以下のように書かれています.
■『宮城県の沖合から日本海溝までの海域では、ここを震源域として大地震が繰り返し発生していることが知られている。また、この海域では、陸寄り及び日本海溝寄りの2つの海域それぞれを震源域として発生する地震が知られている。』
■『宮城県沖地震は、 東北地方の陸側のプレートの下へ太平洋プレートが沈み込むことに伴って、これら2つのプレートの境界面(以下「プレート境界面」という。)の、牡鹿(おじか)半島沿岸からその東方へ拡がる範囲で発生している と考えられる。』
■地震本部による該当サイトはこちらから.
■今回の地震が,上述の,陸寄りのものなのか,日本海溝寄りのものなのかは今後の調査で明らかにされます.震源過程インバージョンや津波の逆伝播図を参照すると海溝寄りの部分も震源となっていることが示唆される.
■大きな津波が観測されましたが,この地震の規模としては想定される大きさなのでしょうか.
■M9クラスなので海底には数mを超える地殻変動が起きたと考えられます.これが原因となって大きな津波が生まれました.
■また,M9クラスの地震では震源断層の長さは400km前後にも及びます.これにより,岩手県沖から茨城県沖までの数百kmにわたって,広い範囲で津波が発生しました.
■過去にあったM9クラスの地震にはどのようなものがありますか?
■国内では例を見ない大きな地震で,日本の周辺で起こりうる地震としては最大規模の地震が発生しました.南海地震と東南海地震とが連動した場合にM8.5になると見積もられています.
■世界的には,1960年のチリ地震(Mw9.5),1964年のアラスカ地震(Mw9.2),1952年のカムチャツカ地震(Mw9.0),2004年のスマトラ島沖地震(Mw9.0),2010年のチリ中部地震(Mw8.8)などが挙げられます.世界で起きた大きな地震を参照.
もっと基礎的な質問について: 謎解き地震学より
■どうして日本では地震が起きるの?
■マグニチュードって?震度との違いは?
■津波はどうやって発生するの?
■逆断層ってなに?アスペリティって?
■震源メカニズムって?
■長周期地震動?
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宮古市田老小堀内漁港での津波遡上高
4月3日午後の水準測量で,宮古市田老の小堀内(こぼりうち)漁港に37.9mまで津波が遡上したことがわかった.明治三陸津波(1896年)の際に,岩手県大船渡市綾里で記録した38.2mに迫る巨大な津波であることがあらためて確かめられた.
下の写真はこの付近にあった消防車.津波の衝撃で大破している.この地域で消防団を含む9名の方が亡くなられた.
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地震動分布から直接見る震源断層の破壊過程
防災科学研究所K-NET、KiK-net強震計(加速度)記録を太平洋岸に沿って南北に並べることにより、本地震の約500 kmにわたる断層破壊過程を直接かつ詳細に知ることができる。
最初の大きな断層破壊は宮城県沖で起き、強い地震波が東北日本全体に放射された(図中の紫色の線)。その数十秒後に宮城県沖で大きな断層破壊が再び起きて強い地震波が放出された(水色)。地震波の到着時刻は、破壊開始点からの距離とともに遅くなるが、距離による時間差は二つ目の断層破壊(水色)では小さい。このことは、二つ目の断層破壊が、陸から遠く離れた沖合で起きたことを示している。
それから間髪をいれずに、三つ目の断層破壊が茨城県北部の、陸に近い沖合で起き(赤色)起き、茨城県〜栃木県に強い揺れが放射された。
なお、変位波形記録では、三つ目の地震は放射が加速度記録ほど明瞭でなく、断層の破壊特性や地震波の放射特性が異なっていることがわかる。
http://outreach.eri.u-tokyo.ac.jp/eqvolc/201103_tohoku/
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産経新聞動画
気仙沼湾に押し寄せる大津波が湾内を回流する様子
続報 気仙沼湾に押し寄せる大津波が湾内を回流する様子
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