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アジアとの絆の中で力強く「復興」を成し遂げよう!
行政調査新聞
2011年 4月 03日(日曜日) 23:46
未曾有の被害を出した東日本大震災
空前の災害に襲われても、日本は必ず再生する!
アジアとの絆の中で力強く「復興」を成し遂げよう!
3月11日の午後2時46分……。三陸から茨城県沖の海底を震源とした地震が数次にわたって発生し、マグニチュード9.0という世界的に見ても史上4番目に大きい規模の破壊エネルギーが岩手県、宮城県、福島県、茨城県北部を中心に地表を揺るがした。東京においても、近年にない振動に襲われ、鉄道その他のインフラに大きな影響を与えた。
死者は、北海道から南関東域まで広い範囲の都道県で生じ、特に震源に近い東北地方では実数の集計がいまだ不確かなほどだ。21日現在の発表でも、死者・行方不明者が2万1千人以上になるとされている。地震後の巨大津波が、大地震の衝撃でマヒ状態に置かれた北海道、東北、関東地方の太平洋岸を襲い、沿岸市町村に対して「破壊の総仕上げ」をした。せっかく地震を耐え忍んで生き抜いた命の多くが瓦礫とともに大津波にさらわれ、失われてしまった。
やはり正確な数字はいまだにわからないが、高さ10メートルを超えるものを含む、従来の知見を超える規模の津波が数波にわたり押し寄せ、陸前高田市など沿岸のいくつかの市、町の港湾や市街、居住地区を壊滅させた。河川のあるところでは、上流数キロ以上にわたって瓦礫を呑み込んだままの津波が押し寄せ、田畑や集落を消し去った。そして、この津波はそれ以上に、我が国をかつてない危機に直面させることになった。福島第一原子力発電所の緊急保安システムを破壊したのだ。
日本有史以来、空前の災害に襲われた日本
崩れ去った原発の「安全神話」
6基の原子炉発電施設で構成される福島第一原発は、1971年からそれぞれの原子炉発電施設が完成する都度、順次営業運転を開始。約40年にわたり操業を継続してきた。東京電力が管内の電力需要を賄うための主力発電施設の中に位置づけてきたものだ。
今回、原発施設は想定外だった規模の地震の振動には耐久したものの、高さ14メートル以上の津波には決定的な脆さを露呈した。日本の多くの原発は、冷却システムが海水との熱交換で行われるものを採用しているため、海沿いに存在する。万一、地震で停止する事態に陥っても、ディーゼル機関による非常用発電施設で使用済み核燃料を冷却するためのプール水を冷やすシステムを稼働させる仕組みである。しかし、今回は数メートル程度の津波発生しか想定していなかった防波堤を簡単に乗り越えた大津波が非常用発電施設を破壊し、停止した発電施設内の使用済み核燃料棒の持つ熱で冷却プールから冷却水が蒸発する事態に直面した。
結果として、使用済み核燃料棒が過熱のあまりメルトダウンを起こし、核反応を起こしながら水素爆発を誘発するという重大な事態に陥り、政府が認めるところでもかつての米国スリーマイル島原発事故に匹敵するレベル5の重大性を帯びるものとなった。
ここに至るまでの原因論や責任論が、震災と事故発生から10日にして報道などに現れ始めている。しかしながら、東北地方や原発施設周辺地域、ひいては関東から東海にかけての広範な地域が、放射能汚染の危機に引き続き直面していることは今も変わりがない。
国際社会は、事態に驚愕した。最悪の事態に至るなら、周辺諸国を含め深刻なダメージを受けることになるからである。一部で菅直人首相の初動での誤りや東京電力の事態軽視が重大状況につながったと報道されているが、それ以上に深刻な受け止めをしたアメリカ、ロシア、フランスは専門家集団を派遣し、事態収拾について日本政府に協力しようとしている。
ここ数日間、自衛隊、消防、警察、米軍要員による命を賭した取り組みで、破壊された発電施設内の使用済み核燃料冷却プールに向け、空・陸からの放水などで冷却水を補充する試みが継続され、一時的に危機的事態を脱している。深刻に核汚染された発電施設至近で高圧放水車を進出させ、ぎりぎりの被ばく量を浴びながら隊員たちは昼夜、交代作業で核燃料棒のメルトダウン進行を食い止めた。
今後、破壊された施設での核燃料燃焼を完全に停止させ、場合によっては1986年の大爆発事故で惨害を引き起こしたウクライナのチェルノヴィリ原発のように、移設全体を鉛とコンクリートで固めて「石棺」化する必要も生じる。その際も常に問題になるのは、高濃度の放射線を浴びなければならない状況下でどのように作業を行うか、ということ。この点については、多大な犠牲を払いながらも問題解決に取り組んだウクライナやロシアの経験も生かして、そのノウハウの提供を率直に求める必要があるだろう。
すでに国際原子力機関(IAEA)も18日には事務局長を派遣し、福島第一原発への対応について緊急理事会で審議されることになっている。いまや、原発事故処理は日本にとどまらない、国際的に喫緊かつ重要な課題だ。
本紙は、政府や電力会社、原子力利用推進機関の責任や問題について、今は敢えて問わない。目の前の危機回避が、日本人、そしてアジア、世界の人々にとっての最優先課題だからだ。
本紙社主はすでに四半世紀以上前、「原子力発電が人類にもたらす危険性」に警鐘を鳴らし、具体的かつ詳細な資料とともに「原発の是非を問う」を発表。同書は原発関係者のみならず電力業界・建設業界にも大きな衝撃を与えた経緯がある。
あらためて指摘しておきたいことは結局、たった1回の事故で国民生活と国土に致命的なダメージを与えかねない危機を招来する原子力発電というものを、エネルギー源の主要な柱とするのは間違っている、ということだ。
この問題に関しては稿を別にするが、すでに我が国の電力需要のうち、三分の一が原子力発電によって賄われている。今回の事態は、原子力がいまだ人類が十分なダメージコントロールの措置をとりながら大規模に利用するレベルにないことを如実に示したものといえる。人類はいまだに、原子力の孕む破壊的パワーを、大規模かつ安全に実用するには力不足だ。使用済み核燃料の最終処理問題も、根本的解決には至っていない。
東京電力の発電量の大きな部分を担っていた福島第一原発のダウンは、首都圏に深刻な電力不足をもたらした。交通、物流が大混乱したのみならず、電力をパワーソースとする先進医療機器が停止することで、病床にある多くの患者たちの命を脅かした。「計画停電」という名の事実上「計画性なき停電」は、公共機関や工場の操業停止・縮小で石油製品や食糧、水道に至るまでの基本的生活資材や条件のマヒを引き起こし、多くの住民を心理的パニックにまで陥らせた。原子力政策面での失政だと、これについては明確にいえよう。
現在、夏に向けていっそう電力需要の増大が見込まれる中、運転を休止していた火力発電施設の再開準備が東京電力によって着手されたようだ。いっそこの機会に原子力発電から転換をめざして旧来の発電システムの復興、さらには環境負荷の少ない他の発電システムの拡充を思い切って推進すべきだし、そうした国民世論が喚起されていくべきだろう。ここで正しい教訓を得て路線転換を図ることができないのであれば、近い将来に再び「悪夢」が再現しかねない。
福島第一原発の事故とは、まさに「空前」の事故。だが決して「絶後」ではない。
鮮やかに示されたアジア諸国の「義」と美徳
一方、目を覆うばかりの震災・津波被害は、中国、韓国、台湾をはじめとするアジア諸国の人民に大きな衝撃をもって受け止められた。多くの文化的要素を共有するこれらの諸国では、無残に破壊されかつての整然とした清潔な街並みや、山河田畑と調和のとれた美しい日本の国土、そして、そこここに行方しれずとなった家族や友人たちを探し回る人々の姿が他人事ではない、いても立ってもいられないような心情が民衆の中に広がった。
「日本の人々は、何と辛抱強いのだろう! 被災し家や家族を失っても、整然と救援を待っている。きちんと並んで、物資も受け取っている。何という人々なのだろう」……。こういう驚嘆の叫びがネットや新聞で報じられ、庶民の熱い心に火がついたのは、領土問題、「歴史」問題でとかく日本と軋轢を生じてきた韓国や共産党政権下の中国であった。
韓国の李明博大統領は、「隣人である我々は、ただちに日本の人々の苦難を助けなくてはならない」と国民によびかけ、百数十名以上という日本に対して援助を申し出た国々の中でも最大規模の災害レスキュー隊を東北地方へ真っ先に派遣した(この規模に匹敵する救難部隊を派遣したのは、日本の同盟国である大国アメリカだけだ)。日本で近年人気の「韓流スター」たちも義捐金として大金を率先して提供。「日本を応援しよう」と自国民に訴えて、募金キャンペーンを広げている。
中国共産党政権は、「四川大地震の際、日本は直ちに救援隊を派遣して多くの命を救ってくれた。その恩返しをすべきである」と声明し、四川大地震をはじめとする中国での大災害で活動した経験のあるベテランぞろいの災害救援隊を日本に派遣し、東北地方で活動を展開させている。また、日本での留学経験者が中心となって北京や上海で大規模な募金キャンペーンを展開し、「日本加油!」(日本がんばれ!)の声が国のすみずみに広がりつつある。特に東北地方に多数存在した中国人留学生、研修生の安全を守るため現地住民や公共機関が全力をあげたことへの感謝や、自分の命と引き換えに数十名の中国人技術研修生を安全に避難させた日本人会社員への感動が日本支援キャンペーンを庶民レベルで加熱させている。
台湾でも、馬英九総統を先頭に日本支援キャンペーンが展開され、「台湾大地震の時に手を差し伸べてくれた日本の人たちを今度は我々が助けよう!」との声が庶民レベルにまで拡大している。あるテレビ番組が日本支援の義捐金を募ったところ、一夜にして21億円が集まり、街頭でも庶民や商店主たちの自発的な募金運動がさかんになっている。
中華圏の動きは、他のアジア諸国にも伝播した。タイのスラム街でも募金箱がまわされ、戦乱に苦しむアフガニスタンでも乾燥しきった町で庶民が自発的に募金運動を展開し、義捐金を現地の国連機関に届けている。
ヨーロッパとアジアにまたがる大国ロシアでも、半ばアジア的な民衆の心情に火がついた。機を見るに敏なロシア政府は、大規模な災害救援隊と核エネルギー専門家集団を派遣して、日本政府に協力を申し出た。また、モスクワやサンクト・ペテルスブルグのようなヨーロッパ地方に属する大都会からイルクーツク、ウラジオストーク、ナホトカのようなシベリア、極東ロシアの町々まで日本支援の募金活動が始まり、著名な芸術家たちが日本支援のチャリティーイベントを繰り広げている。昨年、北方領土問題をめぐり日本との関係が冷却化した国とは思えないほど、日本支援熱が高まっている。
これらの動きを見てしみじみ感じるのは、アジアの民衆の心中に脈々と生きる「義」の精神である。彼らは、東北の災害で命を落とし傷つき苦しむ人々の傷みを、わがものとして受け止めるというアジア特有の優れた資質を発揮させているのだ。
あらゆる行い、それが貴人の所為であろうと庶民のそれであろうと、すべては人と人が和して生きていくためのものであり、人を助けること以上に美しい「義」にのっとった生き方はない……。この精神こそ、16世紀からアジアに向けて展開された西欧による植民地主義・覇権主義をはねのけながら、共同体を育んできたアジア民衆の美徳であり真骨頂だ。
「義」を信じ「義」に生きてこそ真の復興がかちとられる
我々は、悠久の歴史の中で祖先たちが目撃しなかったような規模の惨害と悲劇を目のあたりにしている。しかし、この惨害の中から、必ず希望の芽を見出し、それを育て上げていかなくてはならない。教訓を無駄にしてはならない。尊い犠牲に頭をたれ、歯をくいしばって眼を厳しい現実に向けなければならない。
今回の大震災の惨害は皮肉にも日本人が、少なくとも民衆のレベルでアジアの人々の心にある「義」を呼び覚ますに足る、優れた資質を持つことを示した。すでに日本国内でも、困難をかえりみず若者や壮年らが食糧、物資、資材をもって災害現地に入り、自らの意思で救援活動に取り組もうとしている。原発事故に対応するための危険な作業にさえ、民間の専門技術者が遠い地方から自ら志願して、現地に向かっている。「人のため、真の公のために生きる」という気高い精神がよみがえりつつある。郷土を打ち壊された同胞の痛みを我がものとし、日本人は一丸となって再興に向け決起せねばならない。
その上で我々は、自らの心の中とアジア諸国の人々の中にしっかり存在する「義」の精神を信じよう。そして、「義」に対しては「義」をもって応えていくことでこそ差し伸べられた多くの手を束ね、真の復興へとつなげることができることを確信しよう。差し伸べられた手を握り、力を存分に借りようではないか。
いま、この瞬間を銘記しよう。この苦難を乗り越えられるなら、日本人が乗り越えられぬ懸案、課題など存在しない。いま、自分のできることは何か。アジアの人たちが投げかけてくれるものは、何なのか……。日本人がそれぞれの立場で認識・自覚し、しっかりと分を知って真摯に働いていくなら、この苦難はアジアと日本の歴史の上で画期として未来に想起されるかもしれない。
日本は、必ず再生する!アジアとの絆の中で、復興を必ずや成し遂げよう!
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