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社説:東日本大震災 原発制御に全力尽くせ(毎日JP)
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20110313k0000m070129000c.html
被害が明らかになるにつれ、そのすさまじさに圧倒される。被災者、行方不明者の数はいったい何人に上るのか。国が一丸となり、全力を挙げて、救助の手をさしのべたい。
日本列島を襲った巨大地震の「想定外」は、津波などの1次的な被害にとどまらなかった。大地震でも健全性が保たれるはずだった原発で「炉心溶融」という重大トラブルが発生したとみられる。
40年に及ぶ日本の原発史上、初の非常に深刻な事態である。
東京電力福島第1原発1号機で原子炉容器内の水位が下がり、燃料棒の一部が露出、損傷したと考えられる。さらに、原子炉の周囲にある建屋が爆発的に破損し、放射性物質が漏れ出している。
◇正確な情報すみやかに
政府は緊急事態宣言を発しており、住民は避難している。同2号機でも放射性物質漏えいの恐れがあり、避難指示が出されている。
まずは、これ以上、事態を悪化させずに食い止めることに、国も電力会社も全力を注いでほしい。万が一、事態が悪化しそうな時には、すみやかに必要な手立てを講じ、住民のリスクを最小限にとどめなくてはならない。
住民のパニックを避けるには、政府や自治体、事業者などが、正確な情報を、すみやかに提供し続ける必要がある。建屋の破損は、公表されるまでに2時間以上かかった。これでは、不信感を生みパニックにつながりかねない。
炉心溶融の背景には、緊急炉心冷却装置(ECCS)など、炉心を水で冷やすシステムがうまく動かなかったことがあるとみられる。停電に加え、非常用電源も働かなかったという。津波をかぶったことが一因の可能性がある。
原発の安全は「(原子炉を)止める」「(炉心を)冷やす」「(放射性物質を)閉じ込める」の3原則で守られていると常々言われてきた。07年の新潟県中越沖地震でも、柏崎刈羽原発が想定外の揺れに見舞われたが、この3原則は維持されたと関係者は評価した。
しかし、今回は「冷やす」が機能せず、「閉じ込める」もほころびてしまった。地震に対する原発の備えを根本的に考え直すべき事態だ。国が進める原子力政策の根幹にもかかわる。
今回の地震が想定外だったのは、個別に起きると考えられていた「宮城県沖」「福島県沖」などのプレート境界型地震が連動して起きたためと考えられる。こうした巨大地震の連動は、04年のスマトラ沖大地震でも起きた。
「東海」「東南海」「南海」地震でも注目されている。今回とはプレートが異なるが、それぞれ、いつかは必ず起きると考えられている地震だ。東海地震の震源域には浜岡原発が建っている。このままでいいのか、改めて考えるべきではないか。
時間の経過とともに、被災地の人的被害の甚大さも明らかになってきた。岩手、宮城、福島の沿岸部の街が津波の被害で水没するなど、場所によっては「壊滅的な状態」になり、死者や行方不明者が1000人以上に達した。
仙台市では200〜300人の遺体が見つかったという。まずは、建物の屋上などで救助を求めている人たちの救出に、政府や自治体は全力で取り組まねばならない。
◇生存者の救助を急げ
今回の巨大地震は被害が広範囲にわたるのも特徴だ。通信が遮断され、被害実態がつかめない。車両が通行できない道路も多く、現場にたどり着くのも容易ではないようだ。
自衛隊や警察などは、被災地でヘリコプターによる救援活動を始めた。消防庁も過去最大規模の緊急消防援助隊を全国各地から派遣した。
ヘリでの救出が現時点で有効な手段の一つであるのは間違いない。これまでもさまざまな災害に立ち向かってきたプロの力を最大限に発揮してもらいたい。
12日、被災地を視察した菅直人首相は、派遣する自衛隊員を5万人規模に増員する方針を決めた。決断は当然だが、時間との闘いもある。マンパワーをどこに投入するかが重要になる。地元自治体とも連携を密にして取り組んでほしい。
米海軍の空母なども現地に派遣される。海上自衛隊と共同で捜索救援活動をする。海上側からも万全の態勢で活動してもらいたい。
地震で多数の死者が出たばかりのニュージーランドやヨーロッパ各国、韓国など50カ国以上から支援や物資の提供の申し出が相次いでいる。未曽有の災害に対する国際社会の関心も高い。
世界の善意をどう生かすか。その点にも留意してほしい。
医療機関を受診する際、被災者の保険証を不要とするなどの政策も打ち出された。当たり前だが、このような非常時であり、官民限らずさまざまな場面で弾力的な運用が求められる。
東京電力によると関東地方で電力不足の恐れが出ている。枝野幸男官房長官は同日夕、国民に向けて節電を呼びかけた。国民全体が力を合わせてこの災害を乗り越えたい。
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毎日新聞 2011年3月13日 2時30分
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