01. 2011年3月13日 15:54:54: rFQAz0RaSE
東日本大震災:県内死者17人に 73万戸で停電続く 24市町村で断水 /茨城 ◇水道も24市町村で断水 東日本大震災の影響により、県と県警などは発表で県内の死者数が計17人となったことを明らかにした。【大久保陽一、原田啓之】 県警によると12日午前9時ごろ、北茨城市平潟町付近で、いずれも同所の渡辺正雄さん(67)と高橋ミツエさん(73)の遺体を高萩署員らが発見した。2人は11日午後3時ごろに津波に流され、行方不明になっていた。同日午後には、行方市麻生で倒壊した倉庫のがれきの下敷きになった、近くの無職、奥村豊さん(79)の遺体が発見された。 東海村照沼の東京電力常陸那珂火力発電所では地震直後に、煙突(高さ約220メートル)の頂上付近で足場の取り付け作業をしていた作業員数人が20〜60メートル下に落下。広島市西区山手町、金城和徳さん(43)▽同市安芸区船越、元重隆也さん(20)▽同市西区小河内町、朝島高弘さん(40)▽同市西区大芝、折田悠さん(29)ら4人が死亡、ほか3人が重軽傷を負った。 常陸那珂港の車両置き場では、高級外国車1000台が津波に流された後に炎上し、約300台が焼けたという。 12日午後4時現在で、建物126棟が倒壊し、橋32カ所、道路371カ所が損壊した。大洗港で最大4・2メートルの津波を観測しており、沿岸の道路では液状化現象が起きた。 県内のライフラインの状況は、停電が73万5000戸(11日午後11時現在)。水道も24市町村などで全面断水が続いている。 県によると、日立、笠間の2市で避難勧告が出されたほか、水戸、鹿嶋、筑西、つくばみらいの各市と大洗、城里の両町で避難指示が出された。12市町で約3万7000人が避難している。 また、東電福島第1原発でのトラブルも懸念されることから、国からの要請を受け、福島県に避難用のバスを派遣するという。 県は、国土交通省の緊急災害派遣隊の派遣要請を行い、12日早朝に到着し、同日午前11時からは県の災害対策本部が開催された。橋本知事は「落ち着けば、現場視察も考えたい」と話した。 ◇県内交通機関、依然ストップ 地震発生2日目の12日夕、県内の多くの交通機関は依然としてストップしている。 JR東日本は、地震発生直後から県内全線で運行休止。常磐線は12日朝に上野−取手間で運転を再開したが、取手以北では点検が終わっていないという。 鹿島臨海鉄道や関東鉄道常総線ではレールのゆがみの発生などで運行を中止。常総線は12日夜に取手−水海道間の運転再開を目指して点検を続けている。同鉄道竜ケ崎線は12日朝に運転を再開した。 東京・秋葉原と茨城・つくば市を結ぶ、つくばエクスプレス(TX)は12日、秋葉原駅−流山おおたかの森駅(千葉県流山市)まで部分的に運行したが、同駅−つくば駅間は線路がずれるなどし、運休とした。首都圏新都市鉄道(東京都)によると、13日朝から全線で運転を再開する見通しだ。 東日本高速道路水戸管理事務所によると、那珂市の常磐道水戸北−那珂IC間で長さ110メートル、幅1・5メートルにわたり路面が陥没。北関東道や東関東道も含めて全県の高速道路数十カ所が破損し、全線通行止めになっている。県公安委員会は常磐道を緊急交通路に指定し、通行を消防車や救急車など緊急車両に限定している。【原田啓之、安味伸一】 ◇水戸京成百貨店、きょうから営業 水戸市泉町の水戸京成百貨店は12日、臨時休業したが、店の前で食料品と飲み物を売り出した。13日以降は、地下1階から7階まで通常営業する。 つくば市吾妻の西武筑波店でも、同日臨時休業したが、店外で水や果物、パンなどを販売。店内は壁の一部が崩れるなどしており、13日以降の営業は未定という。 ◇ボランティアら、1500人に炊き出し−−水戸・三の丸小 水戸市立三の丸小学校では12日午前0時ごろ、避難者や帰宅困難者約1500人の体を温めてもらおうと、ボランティア数人が炊き出しを行った。近くの「居酒屋とん亭」の店主、古谷浩之さん(34)がツイッターで有志を集めて実施。「ガスが復旧したので、ありったけの材料を持ってきた」と、鍋四つ分の汁物やジュース数パックなどを用意した。100人以上が列を並べ、古谷さんは「女性やお年寄りを優先に」と声を掛けながら汁物を振る舞った。 炊き出しの汁物を受け取った笠間市の大学生、保坂陽乃さん(22)は「おなかがすいていて、のどが渇いていたので、すごくありがたい。これだけが命綱」と話し、汁物を味わっていたが「いつ帰れるようになるのか」と心配そうな表情を見せた。【佐久間一輝】 ◇72避難所に10453人、食料求める列も−−水戸市内 水戸市内では12日午後4時15分現在、小・中学校などに設置された72カ所の避難所に計10453人が避難している。同市平須町の市立寿小学校では、11日夜、一時約250人が避難。断水でトイレの水が流れないため、近隣の住民がポリタンクや防災用バケツにプールの水をくみ、トイレを使用した。水戸市吉沢町から避難してきた車いすの女性(63)は「余震が怖くて眠れなかった。早く収まってほしい」と不安そうに話した。 市災害対策本部が設置された市民会館には、救援物資を求める市民が長蛇の列を作った。企業などから届いたまんじゅう1200個やバナナ50ケースのほか、市職員やボランティア約30人が炊いた白米が提供された。【鈴木敬子】 ◇研究機関の被害状況把握に時間−−つくば市 独立行政法人をはじめ約300の研究機関が集中するつくば市。停電のため研究棟の出入り口の電子錠がロックされた機関も多く、被害状況の把握には時間がかかりそうだ。 高エネルギー加速器研究機構では受電設備の一部が損傷した。地震当時、電子をほぼ光速に加速し、微粒子にあてる放射光科学研究施設(フォトンファクトリー)が運用中だったが、高エネ研によると、電力ダウンと同時に停止し、放射性物質は発生しない。 研究員約2400人を擁する産業技術総合研究所も停電のため、動物などにかかわる職員らを除き原則的に立ち入り禁止となった。電子錠がロックされ、内部の被害確認は停電解消後になるという。 市によると、12日に確認した24機関のうち13機関で軽微な建物の損傷があった。【安味伸一】 ◇自民県連内に対策本部設置 知事に早期復旧要請 自民県連(岡田広会長)は12日、地震対策本部を県連内に設置するとともに、県市町村と電力会社など関係機関が連携し、ライフラインの早期復旧策を講じるよう求める要請書を橋本昌知事に提出した。余震が続く中でも災害の状況把握に万全を期し、必要な予算を確保して積極的な対策を取ってほしいとしている。【大久保陽一】 ■現地ルポ ◆鹿嶋など海岸 ◇7〜8メートルの波、車を押し流す 「3度の大きな津波を確認した。約7〜8メートルの波が岩壁を越え、駐車場に止めてあった車やコンテナが、道路に押し流されたり岩壁から落ちた」。神栖市の鹿島港の南公共埠頭(ふとう)に事務所のある鹿島港湾運送専務取締役の早見透氏(61)は12日、地震発生当初を振り返った。 同市内の長須地区を走る国道124号には、津波で流された車20台が乗り捨てられ、道路周辺は液状化により陥没や隆起が起こり、電柱や道路標識が傾いている。同市災害対策本部によると、約8400人の市民が小中学校や公民館などに避難したという。 鉾田市と行方市を結ぶ鹿行大橋では11日、橋のほぼ中央付近が落ちて通行中の車1台がかろうじて橋げたの端で落下を避けた。前を走っていた車1台が、橋と一緒に落下したという目撃情報を元に、12日午前9時半から鉾田、行方両署と消防のレスキュー隊員が、橋の直下を捜索したが、発見はできなかった。 地震直後に火災が発生した鹿嶋市の住友金属鹿島製鉄所では、翌12日午前7時52分に火元となったコークスのガスをためるガスホルダーから2度の爆発が発生し、大きな黒煙が上がったが、けが人はなかった。【岩本直紀】 ◆日立 ◇避難所60カ所で1万3600人が一夜 震度6強を記録した日立市では、地震発生2日目を迎えた12日、消防拠点施設内に設置した災害対策本部(本部長・樫村千秋市長)では各関係部局やライフラインの関係者らが集まって断続的に会議を開き、被害状況について報告した。 市内では瓦やブロック塀が崩れている住宅が多く見られ、同市平和町では冷却タンクが上部から倒壊。市民運動公園野球場の防球ネットの支柱の一部が落下して地中に刺さる被害も出た。 市内にある一部の共同調理施設は地震の影響で児童・生徒に給食が供給できないため、市教委は14、15日の両日は全小中学校を休校とし、16日からは午前中授業とすることを決めた。 同市役所は、第1庁舎から第5庁舎まで耐震調査で震度6以上で倒壊の危険と判断されたため、地震直後は一斉に職員が仕事を途中でやめて庁舎外に避難した。余震があるたびに職員らは不安そうな表情で庁舎を見つめていた。 かつてない大地震に、発生当日の夜は、市民らが小中学校体育館や交流センターなど市内60カ所に設けられた避難所で、1万3600人が不安な一夜を過ごした。自宅近くの駒王中に避難した菊池よしさん(81)と91歳の女性は「とても怖くて昨夜は一睡もできなかった。日立に生まれ育って、このような地震や避難は初めてです。いつ帰れますかね」と話し、毛布で暖を取っていた。【臼井真】 ◆大洗 ◇漂流物で埋めつくされた道 太平洋に面した大洗町では最大で4メートル20センチの津波を観測し、海岸沿いの大洗まいわい市場付近の大通りでは、12日早朝、約3メートル四方のプレハブ小屋が道路に流され、巨大トランポリンも信号に引っ掛かっていた。近くにとめてあった車3台は、覆いかぶさるようになっていた。海岸から約500〜600メートルの市街地は真っ黒な泥と港から流されてきたと思われる板などで道路が埋め尽くされていた。 地元の消防団員の男性(34)によると、津波は、U字溝から水が噴き出たと思ったら、すうっと水面が上がり、路上駐車中の乗用車も20〜30メートルほど流されたという。男性は「あっという間で怖かった」と話した。高台の中学校に避難していた水産加工会社の男性従業員(53)は「工場にも水が入って駄目だね」と途方に暮れていた。クリーニング店経営、宮本和男さん(72)によると、市街地の大通りをひざ下くらいの水が海から市街地にものすごいスピードで流れてきたという。 日本赤十字社の医療チームが常駐する大洗町立南中学校には病院患者や老人介護施設の入所者が避難者400〜500人の大部分を占める。これまでに大きく体調を崩した人は出ていないが、高齢者はほとんど間隔のない状態での雑魚寝を強いられており、その中でオムツ換えを行わなければならない状況が続く。施設職員(49)は「とにかく施設に戻るのが一番。(入所者は)不安や緊張状態が続いている。ライフラインが確保されていないとトイレも温かい食事も出すことができない。一日も早く復旧してほしい」と訴えた。【杣谷健太】 http://mainichi.jp/area/ibaraki/news/20110313ddlk08040036000c.html
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