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第110回全米オープンの取材のため、筆者は現在、米国カリフォルニア州ぺブルビーチリゾートに来ている。メディアセンターには全米のみならず世界中から多くの記者たちが集まっている。
テントにはテレビスクリーンが何段も設置され、新聞や雑誌などが置かれている。ここ数日、どのメディアもトップニュースは同じ、メキシコ湾での原油流出事故一色である。
米国の危機は深刻だ。1000メートル以上の深海から流失し続けている原油パイプの修理のためにあらゆるアイディアが試されたようだ。だが、どれもうまくいかず、結局、破損による流失を止める手段はないようだ。いよいよ万策も尽きようとしている。
週末、オバマ大統領は現地を視察に訪れ、被害を受けた漁師など地元住民との対話を行った。その上で「BPには責任を取らせる」と明言し、壊滅的な環境破壊への補償を迫った。その額、およそ6900万ドル、日本円で60億円強である。
「BPには文句を言いたい気持ちもあるが、私はそうした仕事をするために大統領になったのではない。私の仕事はこの問題を解決することである」(オバマ米大統領)
とはいうものの、米政府にできることは限られている。そもそも原油の流失は続いているし、BPという石油会社一社の責に帰するには問題があまりに大きくなりすぎてしまっている。
【米国民の半数以上がオバマ政権の対応に不満】
被害総額は甚大だ。新聞各紙のコラムでも、オバマ米大統領の対応に対して厳しい論調が目立ってきている。桁が2桁足りない、という批判もある。当初の米政府の初動の遅れを指摘する声は日に日に増しているようだ。
オバマ大統領は、2005年のハリケーンカトリーナの被害の際にブッシュ大統領の受けた、メディアからの散々な悪評を思い出しているのかもしれない。だが、人命を除けば、それ以上の経済被害になることはほとんど確定的だという。
10日に一回の割合で現地視察を繰り返しているものの、打開策は見えない。きょう火曜日には、オバマ大統領は、執務室(オーバルオフィス)でのテレビ演説を行った。
全国民に向けてホワイトハウスから語りかけるのは就任以来初となるが、それだけこの事故が深刻で、場合によっては政権維持に影響するとみているようだ。
実際、USAトゥデイとギャラップ社の合同世論調査によれば、53%の米国民が今回の原油事故に関するオバマ政権の対応に不満を持っているとなっている。
米政府機関(NCAA)の最新報告によれば、発生から58日にして4億から10億ガロンもの原油がすでに流失し、メキシコ湾岸に深刻な環境被害をもたらしている。それは当然ながら、住民生活をも直撃している。
【フロリダ半島の西海岸はほぼ壊滅状態】
アラバマ州モービルでは、シーフードレストランに次のような張り紙がされているという。
〈魚介類のマーケットが閉じてしまったため、無期限休業いたします〉
レストランが休業に追い込まれるくらいだから漁業関係者はもっとひどい。中には仕事そのものに絶望し、船を捨ててしまった猟師もいるという。さらに悪いことに海洋汚染は一時的なものではなく、水面よりもむしろ海底に沈殿しているオイル被害の方が深刻だという。
現時点で1152頭ものアザラシやイルカなどの海洋動物の死亡が確認されている。それらは当然ながら全体のごく一部である。
オイル塗れになった水鳥や海カメなどの生物を助けようと、ボランティアが不眠不休で活動している。だが、救出するものの今度は放すところがなく、困惑しているのが実情だ。
海洋汚染の範囲は日に日に広がっている。海流の関係でフロリダ半島の西海岸はほぼ壊滅状態になっている。しかもその潮流はリゾートの集まる東海岸にも流れ込んでいる。今週中にはその範囲にまで、さらに2週間後にはオイルで汚れた海水がニューヨークにまで到達するという観測もある。
【菅首相の声が米国では一切聞こえてこない】
原油価格も沸騰し、一ガロン3ドル以上と、自動車社会の米国にとっては致命的な値段になっている。
米政府は、全国民に対して解決のためのアイディアを募集している。
核兵器を使ってパイプを破壊し、それによって原油の流出を止める、などという奇想天外な案まで寄せられているという。
だが、それも笑えない状況になってきた。もはや、手の打ちようのない今回の事故は、誰が解決するのか、誰が責任を取るのか、というレベルの議論ではなくなっている。
米国のみならず、カリブ海全体、ひいては地球全体の問題になりつつある。
日本政府は他人事として拱手傍観している場合ではない。事故を起こしたBPには日本企業も出資している。
ここ米国では菅直人首相、あるいは日本政府の声が一切聞こえてこないのが心配である。
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- 核兵器を使う、先例ある、詳しい記事を見たい。 kokopon 2010/6/17 22:32:10
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