★阿修羅♪ > 自然災害16 > 161.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
http://www.y-asakawa.com/message2009-1/09-message49.htm
原子炉事故の話に必ず登場するのが「メルトダウン」である。あなたは「メルトダウン」とは何のことかご存じだろうか?
原子力発電で最も重要な箇所は、燃料棒が入った原子炉の周囲である。この炉心の周囲には原子炉内の温度を下げるために冷却水が流れており、この冷却水は炉心の周囲で 、高温、高圧(約290℃、71気圧)の蒸気にされたあと、復水器内に入って海水で冷却され、熱水に戻る仕組みになっている。
もしも、こうして循環している冷却水の配管が地震などで破壊されると、冷却水の循環が断ち切られ、原子炉は空だき状態となる。冷却水で放熱できなくなればたちまち核燃料の温度は上昇し、 まっ先に融点の低い燃料被膜管が溶け、その後、燃料棒の二酸化ウランが2800℃の融点を超えて溶け出すことになる。これがメルトダウンである。
いったんメルトダウンが起きると、超高温の金属の固まりとなった燃料棒は炉心を突き抜け、炉心外に落下する。この灼熱の炉心が水蒸気と反応すると10トン爆弾に匹敵する水素爆発を起こす。また、周囲の水に触れると、水は瞬時に沸騰し急激な体積膨張、すなわち、水蒸気爆発を起こす。その結果、水素爆発や水蒸気爆発による爆風が格納容器を破壊し、内部の 「死の灰」を大気中に噴出することとなるのだ。
恐ろしいのは、原子炉の1機がメルトダウンすると、他の原子炉に飛び火して、数機が同時多発的に爆発する可能性があることである。
中部電力や政府筋は、浜岡原発についてはメルトダウンや同時多発爆発など絶対にあり得ないと主張している。しかし、先の新潟県中越沖地震による柏崎刈谷原発の被害の実態を知る我々は、 そうした関係者の発言をとうてい鵜呑みに出来ないことを知っている。
ましてや、内部告発者による設計段階における不正・不備、施工不良、検査の不備、それに老朽化による配管の減肉、ヒビ割れなどの重大欠陥を併せて考えると、地震調査委員会が想定する震度8を超す東海地震による、メルトダウンと放射能漏れの可能性は決して小さくなさそうである。 (内部告発者の戦慄的な証言は、『祈りの島「沖縄・久高島」』に掲載)
メルトダウによる被害
それでは、もしも、浜岡原発で放射能漏れ事故が発生した場合、その規模はどのくらいになるのだろうか?
浜岡原発では、1機につき1年間に約1トンのウランを燃やしている。それを考えると、1機につき、格納容器内に広島型原爆の1000倍の「死の灰 」が詰まっているいることになる。となると、数機が連鎖的に爆発する事態になったとしたら、その「死の灰」の量が膨大なものになることは想像に難くない。
さらに問題は、原子炉から「死の灰」が外に漏れた場合、「高濃度の放射能」が大気の流れに乗って静岡から3000万の人口を抱えた首都圏へと向かう可能性が大きいということである。
南西から北東に向かう風向きの大気モデルを元にした「放射能拡大のシュミレーション」(下図3参照)を見ると、神奈川、山梨、東京都、茨木、埼玉など関東一円が死の灰の降灰エリアに入 ることになるようだ。
事故当日が必ずしもこうした風向きになるとは限らないが、大気の流れは概して西から東に移動するのが通例である。それは、台風などの天気の変化やスギ花粉の移動などが名古屋から静岡、東京と移り変わることを見れば理解出来るはずだ。
どうやら、原発震災が発生した場合、 放射能による死者の数や被災者の数は静岡県より首都圏の方がはるかに多くなりそうである。
図3 放射能拡大シミュレーション
南西から北東に向かう風向きの2002年8月9日の大気モデル(静岡では、このような風向きの日が最も多い)を参考に、浜岡の地点で放射能が放射された場合、その広がり具合をシミュレーションした図。
このシミュレーションによると、1年間にわたって退去を必要とされる地域は、関東全域に及ぶ可能性がある。
八ヶ岳山麓は東京より距離的にはかなり近いが、風向きのために、放射能は茨城、福島並みに低くなりそうである。
http://www.stop-hamaoka.com/ でアニメーションを見ることもできる
転ばぬ先の杖
問題は、外に飛び出した死の灰が、一体どのくらいの速度で首都圏にたどり着くかという点である。古長谷氏は著書の中で首都圏全体を放射能が包み込むまでに要する時間を約8時間だと述べている。となると、首都圏で生活している人々が降灰までの間に危険エリアから脱出する時間はわずかしかないことになってくる。
気がついた時には、車にしろ電車にしろ移動はほとんど不可能になっているはずだから、中部電力や政府筋の発表など待っていたらとうてい間に合いそうもない。それゆえ、放射能汚染を逃れるには、もしもテレビの画面で、発電所本体から白い煙が立ち上がっているのを見たら、後先考えずにとにかく首都圏から脱出することである。
古長谷氏は、もしも脱出が不可能となったら、自宅に戻れる人は急いで戻り、会社にいる人は無理して家に戻ろうとせずに社内に立て籠もり、窓と換気扇を目張りし、放射能よけのマスクをして、何とか部屋の汚染を少なくして1週間を過ごすことだ、と述べている。どうやら、1週間が屋内に引きこもる目安となるようである。
また、降灰後の雨にも十分な注意が必要だ。引きこもり中に雨が降った場合にどうしても外出する必要が生じたら、帽子付きの雨合羽(あまがっぱ)を着用し、帰宅したら外に捨てて、中には絶対持ち込まないように注意することが肝心である。そのためには、ポリエチレン製のレインコートを何着か用意しておく必要がある。靴もまた放射能が付着するので、ポリ袋で覆って、汚染を防 ぐ必要がある。
部屋の中の放射能のチリを除去するには、国産の掃除機では無理なので、0.3μmまでのチリをゼロに出来るスウェーデン製の掃除機が必要になる。マスクは携行用のDS2防塵マスクが安全のようだ。定価は2000円ほどするようだが、1週間ほど、自宅や職場に「閉じこもる」ことを強いられたときには、DS2防塵マスクほど頼りになる放射能対策はないと いうから、各自が常に携帯したい必十品の一つである。
しかし、いずれの方法をとったところで、首都圏に生活圏を持つ3000万の人間が皆被害なしで済ますことなど出来ぬ相談である。一番の「転ばぬ先の杖」は浜岡原発の稼働を早急に中止させることである。
そのための第一歩は、一人一人が原発震災の可能性とその恐ろしさを実感し、その事実を多くの人に知らせることである。古長谷氏が事務局長を務める原発震災を防ぐ署名運動に協力することもまた重要な杖の一本である。 今一つの方法は、日々の生活の中で東海地震が原発震災へと進まないことを、心から祈願することである。
愛する子供や孫たちを白血病や甲状腺ガンから守ろうとするなら、行動するしかないのだ。それが転ばぬ先の最上の杖である。
備蓄
上記に掲げたもの以外に備えておくべき主立った品々
@ 食糧(米、缶詰、調味料、レトルト食品、飲料水、野菜ジュース、乾燥モチ、味噌、醤油、甘味類)
A トロロ昆布(放射能で一番症状が出やすい甲状腺癌を防ぐのに最も適したヨウ素をワカメの4
倍含む 但し乾いたまま沢山食べると腸内で膨張するので、お吸い物などに入れて食べること)
B トイレ対策用の大きめのポリ袋(水洗トイレの便器に2枚重ねて使用する)/使用後にかける
猫用のトイレの砂
C 窓の目張り用のポリエチレンシート、ガムテープ、サランラップ
D 停電に備えてLED(発光ダイオード)ライト(単3型アルカリ電池3本で50時間持続)
E 避難用防じんゴーグル、マスク、ポリ手袋、ポリエチレン製レインコート、リュック
概略を掲載したが、原発震災の危険性をより理解し、
十分な備えをするためには、『放射能で首都圏消滅』
(三五館刊1200円+税)を必読書とされんことを
お奨めする。
参考HP : http://www.stop-hamaoka.com/