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「何をもって成功したか、必ず数字で示してほしい」 〜アサヒグループホールディングス イノベーションに資するIT利用の勘
http://www.asyura2.com/09/it11/msg/785.html
投稿者 MR 日時 2012 年 11 月 15 日 07:25:51: cT5Wxjlo3Xe3.
 

「何をもって成功したか、必ず数字で示してほしい」

〜アサヒグループホールディングス イノベーションに資するIT利用の勘所

2012年11月15日(木)  谷島 宣之,中村 建助

 「イノベーションとは生産性を高めること。情報システム部門はそれができるはず」。
 アサヒグループホールディングスのCIO(最高情報責任者)である本山和夫副社長はこう語る。その鍵はなんといっても人材であり、「何のために改革をし、システムを作るのか」という目的をおさえられることが重要という。
 「2020年のビジネスとITの絵を描きたい」と語る本山副社長とIT(情報技術)リサーチ大手、ガートナー ジャパンの日高信彦社長が語り合った。
(構成は谷島宣之=日経BPビジョナリー経営研究所研究員、中村建助=日経ビジネス副編集長)
日高:本山さんと情報システムの出会いはいつごろですか。

本山:ビールの鮮度管理をして、しかも在庫を減らした経験をお話しました(前編記事参照)。その辺りからですから1995年くらいですか。当時の私は情報システムの担当ではなく、物流担当という業務系の部門に所属しておりまして、鮮度管理と在庫管理の仕組みを、こうではないか、ああではないかと考えながら作っていました。

 その当時はよく、「人間の手でできないことはシステムでできないのだから、まず手でやってみよう」と話していたものです。手でやるといっても、数字は記録する。1回やってみたら、表計算ソフトに数字を入れる。

 もう1回やっては、またデータを入れる。仕組みにかかわる人間全員がデータを入れるわけです。これも一つの可視化だと思います。生産と営業と物流の担当者がそれぞれ表計算ソフトにデータを入れて送り合っていました。

 シンプルなやり方ですが、全員で数字を入れ合って、需給の計画が出来上がるという仕組みが作れました。どの立場であっても在庫が見られるような形にしたり、トータルの在庫だけではなく拠点別の在庫も見えたりするようにしました。

 こういう仕組みを整えた後で、システム部門に「情報システムでこういう形でサポートしてくれないか」と頼みました。ずっと手でやっているわけにはいきませんので。


(右)本山 和夫氏 アサヒグループホールディングス 代表取締役副社長
1972年、アサヒビール入社。物流システム本部長、執行役員SCM本部長兼IT戦略・環境社会貢献担当、執行役員戦略企画本部長、取締役兼執行役員、常務取締役兼常務執行役員、専務取締役兼専務執行役員、代表取締役副社長。2011年7月からアサヒビールホールディングス副社長。2011年3月からアサヒマネジメントサービス(現アサヒプロマネジメント)代表取締役社長を兼務
(左)日高 信彦氏 ガートナー ジャパン 代表取締役社長
1976年東京外語大外国語部卒業後、日本アイ・ビー・エム入社。96年アプリケーション・システム開発部長。2001年アジア・パシフィックCRM/BIソリューション統括。03年4月から現職。
(写真:的野 弘路、以下同)
日高:そういうふうに言ってもらったらシステム部門は分かりやすいですよね。

本山:とにかく、手段は何でもいいと思うのですが、1回は自分の手でやっておかないと分からないですよね。

日高:具体的な数字があり、何をしているかが分かりますからね。

本山:そうです。システムができ上がって効果を出すと、なるほどIT(情報技術)の人間は非常に重要な仕事をやっている、と実感しました。同時に、当時は、ITの仕事というのは、クリエイティブな仕事をするというより、言われたことをこなしていくという部分が強かったようにも思いました。

 「もう少し変わった方がいいのではないか。自分で率先してやった方がいいでしょう」などとシステム担当者たちによく言っていたのを覚えています。

業務部門任せでは良いシステムにならない

日高:その後、システム部門は変わりましたか。

本山:だんだんとシステム部門が良い意味で中心になって、いろいろ動くようになりましたね。きっかけとして、1997年に独SAPの業務パッケージソフトを入れた一件が大きかったですね。

 ただ、導入自体は大成功とは言えませんでした。業務部門が中心になってシステムを入れたのですが、結果としてパッケージに独自機能を付け加える追加開発が多くなってしまった。

 業務パッケージを入れた後に、私はITの担当になりました。導入作業が終わると、全責任はITの部門に来るわけです。業務部門の判断でこうなったとは言えない。当時のITのメンバーはいろいろと苦労することになりました。

 その後、人事のシステムを入れる機会がありました。業務部門はもちろん参画しますが、IT側も一緒になってやるように頼んだのです。こちらから色々なアイデアを出すなりして関わっていかないといけないのではないか、とも言いました。

 今ではあらゆる案件にIT側が関与するようになっています。一番関与が遅れたのは生産管理の世界ですが、今の生産管理システムを入れるときにシステム部門が中心になってやりましたからね。

日高:業務部門は過去に色々と業務改善をしてきた。それでも業務パッケージを入れる際に、改善できる余地があったということですか。その結果、追加開発が増えてしまったとか。

本山:確かに業務プロセスの改革をやっていたわけですが、当時、私はまだ物流の担当でしたけれども、よく質問しました。「それは本当の改善、改革なのだろうか。本当に必要な部分というのは、そんなことではないのではないか」と。

日高:本当に大事なところは、もっとシンプルではないかと思われたのですか。

本山:ええ。本当に大事なところ、多少人手をかけてもやらないといけないところを、ばっさりカットしてしまったり。逆にどうでもいいところに追加開発をして、結局、全然使われなかったり。そういうことがありました。

 こういう改革は一気にすべてが進むわけではありません。現実には、第1期をこうする、第2期はこうする、といった具合に何段階かに分けて考えます。だから、1期でいくら、2期でいくらと、予算を決めてスタートする。

 ところが追加開発が多すぎて、2期の途中で、3期の予算に食い込むくらい、お金を使ったわけです。トップは怒りますよね。「こういうこともやれる、ああいうこともやれると言っていた。結局、何もできてない」と。

 ただ色々勉強しましたから、2007年に、SAPの業務パッケージをバージョンアップしたときは比較的うまくいきました。1回目の導入でお金をかけたものですから、徹底的に使いまして、元を取るまでバージョンアップしなかったのです。これを当社の基盤として、食品事業のところにまで展開していこうとしています。

「何をもって成功したか、それを示せ」

日高:今の話を伺っていても、やはり経営の思いがあって、経営としてはこうしたい、だからこういうビジネスの仕組みとシステムを用意してほしい、ということがありますね。それができていないなら経営からチェックを入れる。健全というか、あるべき姿というか。

本山:それにはIT側の人間が、やったことを常にオープンにしていく必要があります。計画はこうで、どれだけの予算を使って、どういう効果があって、どうコスト低減に結び付いているか、説明する。失敗なら失敗で仕方がない、無駄なシステムを作ってしまいました、反省点はこれです、と堂々と言えばいい。社内でこう話しています。

 「何をもって成功したか、それを示すものを私のところに持ってこい」とも伝えています。システムを動かしたら、1カ月後にどうなったか。労働時間でもいいですし、営業担当者がかかわるなら訪問件数でもいいし、何がプラスだったのかということを出せ、と常に求めています。

 やはり目的ですよね。何のためにやっているのか。何のためのシステムなのか。ここを外さないようにしないといけません。そうでないと成功か失敗かも分からなくなる。このことは言い続けています。

 目的は課題の解決であって、業務の課題というのは色々ありますから、一番重要な課題が何か、そこが分からないと困ります。真の目的は何か、課題は何か、常に考えながらシステムを作ってくれるとありがたいですね。

 業務部門から言われたことが課題だと思って、そのまま作ってしまうと失敗することがある。業務部門が「作ろうよ」と言ったとき、「そんなものを作る必要はありません。やり方をこう変えれば済みます」ぐらいのことを言ってみてはどうか、とシステム部門に伝えています。

日高:ユーザーを甘やかしてはいけないですからね。

本山:もちろんシステムを作る部隊が偉くなり過ぎてもいけません。もう一つ、システム部門に言っているのは、システムが使われなかったら、作った方の責任だと思え、ということです。「作ってやったのだから使えよ」という態度ではダメです。

日高:システム開発プロジェクトが終わったら終わりではない。そこからが始まりですからね。

本山:そう、始まりです。現場では特にそうです。実際に運用してどうなるのかと。そうすると、何か作る上でも十分に話し合ってから始めるとか、展開の仕方についても全社一斉にやるのではなくて、仕事に活用できる部隊から利用を開始していくとか、念入りにシステムの研修を開くとか、色々なやり方はあると思います。現場とシステム部門の知恵の出しどころですね。

2020年のビジネスとITの姿を描く

日高:あるべき姿は何かというのをずっと考えてこられたわけですが、これから先についてはどうですか。

本山:2020年以降をどうするか、それを描こうじゃないかと言っています。

日高:それは素晴らしいですね。

本山:2016年ぐらいにはこうなる、だから今こういうふうにやろうというのはだいたい描けています。今手がけている基盤は2016年に完成する。並行して、クラウドコンピューティングで実験的なプロジェクトに取り組んでみようといったことも考えています。

 クラウドがどの辺まで行くかというのはまだ見えないところがありますが、これはという、いい技術があったら取り入れたい。だから基盤整備と並行して情報を得ておきたい。

 そうしたことが終わって次はどうするか。2020年段階を想定して、後から2年後ぐらいにまた新たなものを進めていく必要があります。そろそろ、若い人たちを集めてディスカッションしようと言っています。

日高:2020年の展望の中にはビジネスは当然として、そのころのITの世界はどうなっているのか、インターネットのソーシャルサービスはどうなっているのかという話も当然入ってきますよね。全体の構想がまとまったらぜひ聞かせてください。

本山:いや、そうではなくて、むしろこちらはいろいろと教えていただきたいのです。

 2016年の絵は、サプライチェーンの仕組みはこうだ、財務はこういう風にいこう、といったようにかなり定まってきています。でも、2020年はどういう絵だということはまだ決まっていません。いろいろなことを本当に知りたいのです。

日高:確かに私が勤めるガートナーはだいたい10年ぐらい先まで、どういうことが起こり得るかという点について予測しています。技術がどういうふうに変わって、それが社会でどういう影響を与えるかについては日頃から議論してきました。

 もともとは企業のITが進化してきたところに、ここへ来て、個人のITや社会のITが急速に進化してきた。そうすると、個人のIT、社会のITが企業に影響を与えないはずない。

 アサヒビールもそうですが、特に一般消費者向けの商品については、ブランドを個人や社会にどう伝えていくのかとか、個人が持っている意見をどう吸い上げていくのかとか、この人たちに何らかの行動をどうやって起こさせるのか、といった話になってくる。

 答えはまだ分からない。ただし、個人で相当のことができる環境ができてきた。社員全員が習熟していくわけです、まず若い人たちから。そうすると、今までとまったく違うITの世界ができてくる。

 そのときに向けて、システム部門とユーザーのあるべき姿というものを考えておかないといけません。ユーザーからどんどん提案が出てきます。それをシステム部門はうまく取り込んでいかないと、ユーザーが反発してしまう。

 さらに次に行くと、今度は機械が賢くなってくる。インターネット・オブ・シングスという言葉があります。あらゆるモノがインターネットにつながる。家電やスマートフォンをはじめ、様々なモノにセンサーが沢山付いて、周りの状況を機械が一生懸命調べてくれて、人間に報告してくれるようになる。

 そういう世界になったとき、御社のビジネスのどういうところにどういう影響を与えるのか。色々な仮説やアイデアが考えられます。誰も思い付かないようなアイデアを社員が出したときに、うまく吸い上げて、これは使える、これは使えない、と判断していく仕組みを作るのがいいのかもしれません。

 おそらく、アップル対ソニーみたいなことが、もっと大きなスケールで起きてくる。答えを私が持っているわけではありません。ただ、ITをうまく使えば、社員の皆さんで答えを探す環境は作れるはずです。

ITの部門はマーケティングを支援する

本山:それはぜひともやりたいですね。今、話されたことをもとに、こうなのではないか、ああではないか、と仮説を作ったり、実験できる人材を育てていきたい。実はたまたま今日、そういう話をITの部門長としたところでした。

 かつてはどちらかと言うと、システム担当者が「それはうちには使えない」とか、「そんなのはダメ」とか、「うちの課題にはそういうものはない」と言ってしまって、それで終わりになっていたきらいがあります。

 そうではなく、新しい情報を踏まえて、常に情報を蓄積していく中で、やはりイノベーションというか、改革や改善、改革の方だと思いますけれども、何か糸口を見いだしていく。システム担当者にはそういうトレーニングが必要だと思います。従来にも増して、色々な情報を取ってくることですね。

 ビッグデータという言葉があります。マーケティング部隊が調査して、どう活用するか考えているわけですが、ITでサポートしていく。こうしたデータ活用の仕方について、研究しているところです。このあたり、本当に面白くなりそうな気がしています。

日高:情報の流通も変わってくるかもしれません。個人のお客さんとアサヒビールさんが直接つながって、ああだこうだという話になるかもしれないですし。お客様の動きと御社の戦略がどう関わってくるかとか、色々なことが考えられます。

本山:それはマーケティングの仕事だ、と線引きしないで、ITの人たちがマーケティング部門と一緒になって、情報をどういうふうに活用するかということを考えていく。ビッグデータは一つのチャンスだと私は思っています。主体はマーケティング部門ですけれども、必ずITがかかわる部分についてはサポートするようにしていこうと。

日高:進んでいる企業の場合、情報のパターン分析をかなりやってITの部門の方からマーケティングのやり方を指導しているところもありますよ。

 競合他社の情報も全部入れ込んで、自分たちがいつどこで何をどういう価格で出せば一番売れるのかという分析とか、そこに根拠がないときにどう対応すべきかを教えてくれるモデルを作ったりしています。最初のころはマーケティング部門から煙たがられたそうですが、やってみたら結構よく当たるのですね。

イノベーションとは生産性を高めること

本山:そうした活動は大事です。どうも我々の業界は商品が現物で大量に流れるから、どうしても情報の世界に対し、何か違和感がある。情報を扱っているITの部門でさえそうです。

 なぜかというと、おそらくITが事務計算から来ているからですね。だから領域を拡大しようとしていない。もったいないことですから、我々のITの部隊には「FA(ファクトリーオートメーション)のところにも関与していけばいいではないか」と言っています。

日高:これからデジタルでマーケティングとかメディアをどう使うかといったことがすごく大事になってくる中で、ITの部門にそういう感性がないと、システム部門は昔からの事務計算のお守りだけしていなさい、という話になりかねません。

本山:おっしゃる通りですね。だから盛んに私はイノベーションについて話すようにしているのです。ただ、日本でイノベーションというと、どうしても技術革新ということになり、新たな商品を生むということになりがちです。

 ソニーやアップルがこういう素晴らしい商品を開発したとか、そういうイノベーションばかりがクローズアップされるものですから、ITの人間は、何かシステムを作ったり、機械を開発することがイノベーションだと思ってしまう。

 本当はそれだけではなくて、色々な分野の生産性を上げることもイノベーションの重要な分野でしょう。

 この間も「イノベーションとは何かについて議論しようではないか」と社内で言ったのですけれども、生産性さえ上げられれば、たとえ人口が減っても日本は発展しますよ。そういう大きな意味のイノベーションにITは使えるわけで、だからこそITの部門は本当にイノベーションの部門だと思っています。

システム部門は増強しておかないといけない

日高:イノベーションに向けて将来活躍できるリーダーたちが十分育ってきているという感じでしょうか。

本山:悩むのは、業務系で育った人間とシステム系で育った人間とのバランスですね。どういう人材が本当にシステム要員としていいのかというのは悩みどころですね。

 今のところは、業務系とシステム系を半々ぐらいにして、両方ともバランスよく育っていけるようにしています。業務系の人間がシステムで仕事してから、また現場に戻って、現場からシステム側を見て、一緒にやってもらうといったこともあります。

 さきほど、「そのシステムを作ってサポートすることはこの課題解決には結び付かない、そもそもお前のところは最初から方針が悪い」と言える行司役をしてほしいと言いました。さすがにここは、業務系出身者が言うほうがいいと思って、そういうバックグラウンドを持つ部員にやってもらっています。

日高:業務系の個人が勝手に使えるITがどんどん進化していくと業務系の方から「こういうふうにITを使ったらもっといいのではないか」という提案がいくらでも出てくるようになるでしょう。

 そういうものをシステム系の人たちもうまく使いこなしていく。もしくは共同でやっていく。極端なことを言うと、業務系とシステム系をまとめて一緒にしてしまう。こういうことをそろそろ考える時期に来ているかもしれません。

本山:インターネットが出てきて、クラウドという話になってくるなかで、なんだか大規模なプログラムを書いて、これでどうだ、という時代ではなくなってきましたね。新しい時代になったと思います。それでもやはり、システム部門は増強しておかないといけないと考えています。

日高:見方を変えれば、システム部門のやるべきことが広がってくるわけですからね。

本山:はい。みんな自信を持ってやってほしい。繰り返しになりますが、目的を押さえることと、現場のことを考える。そこをきちんと判断でき、行動できる人なら、必ず伸びます。そういう人材なら、IT部門はもちろん、営業でも営業企画でも経営企画でも、どこに行っても活躍できるはずです。

日高:そういう人たちがどんどん育ってくるような仕掛けは考えていらっしゃいますか。

本山:今は異業種交流だとか、そういう仕組みがありますから。部員たちは色々なところに出ていっています。それに業務系とシステム系の人材がしょっちゅう話をしていますし。

 一方、業務系の人間がITを活用して自分で変えていくことも必要ですね。業務部門の研修にITの話が出てこないなんてことがあるか、と言っています。財務研修でも営業研修でも物流研修でも、みんな物の流れと数字の動きでしょう。すべて情報システムですよね。

 そういう研修で、こうやって、ああやって仕事が進むと説明するわけですが、システムがダウンしたときに、受け払いを手書きできるかといったら無理です。そうなると、業務改善をやっていくためには、情報の流れを知っておかないといけない。

 それぞれの業務部門をもっとシステム部門に近い関係にして、各部門がシステムを尊重するというのもおかしいけれども、尊重ではないですね、もっと活用していく必要がある。その話を研修の中に必ず入れるようにしています。

ディスカッションできるベンダーとだけ付き合いたい

日高:話が変わりますが、パートナーとしてのITベンダーに対して何を期待されていますか。

本山:やはり、当社の課題なり何なりをある程度分かっていて、我々がこういうことをしたいと言ったときに、反論なり、逆提案してくれるITベンダーと付き合いたいと思っています。

日高:大事なことですね。言われたことだけやっていればいいという時代はもう終わりました。

本山:もちろん、我々の方から提案できる何かを持っていないといけません。ただ口を開けて待っているのではなくて、ディスカッションできる相手であってほしいのです。

日高:ガートナーは世界のCIOが何を考えているかを定期的に調査しています。皆さん、同じようなことを期待されています。要するに色々なテクノロジーを使って、これができる、あれができると提案してほしいと。

本山:ITベンダーに要求する以上、我々もやるべきことをやります。たとえば、システムを開発するときに、要件定義が曖昧で、当初の見積もりよりも多くの費用がかかることがあります。こういったとき、当初の見積もりにこだわるのでなく、客観的に考えてITベンダーが納得できる答えを、行司役のような形で示したこともあります。そうでないと、対等にディスカッションなんかできないでしょう。


日高:先ごろ、日経BP社のIT Japan Award 2012のグランプリに、御社の3Gプロジェクトが選ばれました。おめでとうございます。今日のお話を伺って、グランプリを取ったのは当然、深い思いと長い努力があったからこそだと分かりました。ありがとうございました。


谷島 宣之(やじま・のぶゆき)

日経BPビジョナリー経営研究所研究員、コンピュータ・ネットワーク局編集委員。1985年に記者となって以来、情報システム関連のテーマを取材し続けている。関わった媒体は「日経コンピュータ」「日経ウオッチャーIBM版」「日経ビズテック」「日経ビジネス」「経営とIT」など。「ビジネスとテクノロジーの一体化」に最大の関心を寄せる。


革新的経営問答

経営やビジネスを革新させることこそ、企業が成長し続ける最大の条件だ。IT(情報技術)の存在価値もここにある。「経営を革新させるIT」「ビジネスに役立つIT」を追い求める経営トップやCIO(最高情報責任者)を、ガートナー ジャパンの日高信彦社長が訪ね、経営とITのあるべき関係の真髄について語り合う。姉妹コラムにIT経営問答
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20121112/239312/?ST=print  

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コメント
 
01. 2012年11月19日 10:20:10 : iT8Ab7Pa0c
 日本の高齢者=「IT幼児」が容易に使えるような、おじい・おばあちゃまキーボードを作ったらどうか。
 キーの個数を極端に減らして、エレベーターのキーのように作られた幼児3歳用のキーボードから始めて、上向き3歳毎のKB仕様とする。ソフトで容易に作れるだろう。
 KBカバーを改善していけば、パソコン人口が、日本の高齢者間でも増えるのではないか。ごっつい太い指でも使えるように、キーの間隔を大幅に広げることも重要だろう。
 先ずは単機能のパソコンから。阿修羅の各会議室をファンクションキーにあらかじめ設定しておくとか。もう既に販売されているかもしれないな、…、以下省略。

02. 2012年11月23日 15:02:43 : ynSQvzTlvk

>日本の高齢者=「IT幼児」が容易に使えるような、おじい・おばあちゃまキーボードを作ったらどうか。

指が震えてまともに入力できないではw

マウスもダメだろうな。シングルクリックしたつもりが、ダブルクリックやトリプルクリックになったりしてw


03. 2012年12月03日 01:09:29 : OHdkCiO8Z6
アサヒ・ビール様に、

『京セラ稲盛.NET』というソルーションを提案してはどうだろう?

品格が無い、嘘つきな創価学会員を、

全員粛清するための京セラと富士通が共同開発した、

純正ソルーションでございます。

何人駆除できたかは、

具体的な数値で現れますため、非常に便利でございます。


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