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注目されるヤフーの施策、日本から新たな潮流も
ソーシャル化する社会が世界を大きく変え始めた〜第19回
2012年10月25日(Thu) 小川 和也
ヤフーは10月16日、Yahoo! JAPAN とフェイスブックのパートナーシップの一環として、トップページとYahoo!検索の「リアルタイム検索」における連携開始を発表した。
この連携内容をおさらいしておくと、次の2点が実現されたということになる。
米カリフォルニア州サニーベールのヤフー本社に掲げられたロゴ〔AFPBB News〕
(1)Yahoo! JAPAN トップページにフェイスブックの新着情報が表示されるようになる(フェイスブックにログインした状況でアクセスした場合)
(2)リアルタイム検索でフェイスブック上の全公開設定の投稿が検索対象に加えられた
この連携強化、受け止め方によっては一見さりげない。
ソーシャルメディアの中でユーザーの反応を見ていると、「ヤフーの方でもフェイスブックの新着情報チェックや投稿の検索ができるようになると便利かも」という類いのものが多く、中には「フェイスブックの投稿が検索でヒットしてしまうとは、ちょっと怖い・・・」というものも含まれている。
しかし実はこの連携、そんな反応以上に大きい意味合いを持つことを見逃すわけにはいかない。
グーグル不敗神話を打ち破ったフェイスブック
2010年3月15日(米国時間)、フェイスブックがグーグルを追い抜き、米国で最もアクセスの多いウェブサイトになったと発表された(米エクスペリアン・ヒットワイズ調査)。
同年3月第2週の米国ウェブトラフィックに占めるグーグルのシェアは7.03%であったが、フェイスブックは7.07%となり、僅差ではあってもグーグルを抜いたことが世界中で衝撃的な事実として受け止められた。
そしてこれが一過性の“アクシデント”ではなく、もはや大局的な流れであることを示したのは、2010年通年でフェイスブックが初めて米国のインターネット訪問者数シェアの首位に立ったことが明らかになったときだ。
それまでグーグルを中心とした検索エンジンは、巨大な利用ユーザー数とトラフィックを生み出す源としてインターネットの世界では絶対的な存在であった。もはやそれに対抗し得るものなど、現れないようにさえ思えた。
しかし2010年にフェイスブックがグーグルを抜いて訪問者数シェアのトップに立ったときから、ウェブトラフィックを巡る「検索エンジン対ソーシャルメディア」「グーグル対フェイスブック」という構図が生まれ、注目されるようになった。その意味では、インターネットの歴史の中でもエポックメイキングな出来事であった。
2010年に通年の訪問者数シェアの首位をグーグルから奪ったフェイスブック〔AFPBB News〕
なんといってもそれまでは、検索エンジンが目的のウェブサイトへアクセスするための起点としての圧倒的な主役を担ってきた。
特定のウェブサイトへ辿り着くためには、たいていのユーザーは検索窓にそのサイトを連想させるキーワードを入力する。それが最大のトラフィックを生む源であった。ところがフェイスブックが大量のユーザー数を抱えるようになる中で、まさかの事態が起きた。
フェイスブックに投稿されたコンテンツの多くには友人とシェアしたい情報を掲載しているサイトのリンクが含まれている。そのリンクがクリックされ目的のサイトへのトラフィックが生まれる。そのトラフィック量が検索のそれを脅かすほどに大きくなったことは、検索エンジンにとってはまさに青天の霹靂だった。
トラフィックの主導権だけではなく、検索エンジンにとって厄介だったのはユーザーの投稿を検索対象にできなかったことだ。
グーグルは創業当初から、ウェブ上にある全ての情報を整理するというミッションを掲げ、さらにはウェブ上にあるものだけではなく世界中にあるデジタルな情報をウェブにアップして検索可能なものに置き換えるよう努めていた。
しかしフェイスブックの中のユーザーが生み出す無数の投稿を検索の対象とできないことは大きな誤算で、グーグルなどの検索エンジンはそれに大きな焦りを感じた。ましてやフェイスブックの投稿の多くは、リアルタイム性の高い、フレッシュな情報だ。それらを検索の対象から取りこぼすのは許容し難い。
ちなみに、フェイスブックのユーザー数が5億人を突破したのが2010年7月。それから今日に至るまで、ユーザー数はおよそ2倍にまで成長したのだから、検索エンジンにとってのジレンマは日に日に増大していたに違いない。
“検索対ソーシャル”の構図に一石を投じた Yahoo! Japan
こうした背景から考えると、今回の Yahoo! JAPAN とフェイスブックの連携の意味合いの大きさを再認識できるのではないだろうか。
もちろん、検索対象はあくまでもフェイスブック上の全公開設定の投稿に限定されている(ゆえにユーザーにとっては投稿の公開範囲の設定がますます重要になった)。また、これだけでトラフィック源としての主導権争いの決定打になるとは言えないにせよ、ツイッターと併せて2大ソーシャルメディアを検索できる日本で唯一のサービスとなった Yahoo! JAPAN のソーシャル化は注目に値する。
Yahoo! JAPAN は、グローバルなYahoo!の中でも希少な、その国で最もアクセスの多いウェブサイトだ(参考:“World map of dominating website”)。
今回の提携強化で Yahoo! JAPAN トップページにフェイスブックの新着情報やサマリ情報が外に移動することなく表示されるようになったことは、Yahoo! JAPAN による“ユーザーの面取り能力”に少なからず寄与すると思われる。
今年6月に経営陣を一新したヤフーは、スマートフォンとソーシャルメディアへの対応を極めて重要視し、スピード感を伴ってその具体施策を連発している。その Yahoo! JAPAN のソーシャル化にとって、これはまだ入り口に過ぎないかもしれない。
「検索エンジン対ソーシャルメディア」という構図が、今後どのような変遷を遂げていくか興味深いところだが、意外とここ日本がその構図の変化の鍵を握っているのかもしれないと思わせられる Yahoo! JAPAN の動きだ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/36368
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